山門の人生の教示  裸になって一から出直すと決めたら心は軽い 

 10月1日に、浜松市西区神ケ谷町天龍山洞雲寺の墓苑に詣でた。長男出産後半月を経ずして急逝した先妻を祀った墓である。私が航空自衛隊隊定年退官後に現在の定住の地に建立したものである。彼女が生まれた近くのお寺さんである。

 以来、毎月1日と15日に墓参している。今日の平安の日々に感謝をしていることを告げ、御霊の平安をお祈りしている。

 人生はさまざまな出来事が起きるものである。新妻の急逝は衝撃であった。古くよく言われた「産後の肥立が悪く」である。航空自衛隊初級幹部となった若い時代の新婚早々の出来事であった。

 今月の洞雲寺の山門入り口の掲示は、「裸になって、一から出直すと決めたら心は軽い」である。

 自分の87年の人生を振り返ると、裸になって一から出直したことは、数回ある。

 22歳の春、ジェットパイロットを志し飛行訓練に励むも、操縦適性に欠けるところがあり、諦めて新分野へ再出発した時もそうであった。

 航空自衛隊を35年余勤務して定年退官し、全く異なる自賠責保険の調査認定業務に挑戦した時もそうである。

 自ら進んで今までの仕事と全く関係のない仕事についてみようと決心し再出発した。新しい世界で、自分の実力を試してみたかったからである。

 人間一から出直す覚悟をし、全力を傾注すれば、何とか成るものだと言うことを経験した。

 結果として、一つのものを成し遂げることができた。そこには、それまでの営々と努力して積み上げた知識、経験などが生きてきたものと考える。

 物事は無から有は生まれない。有とは積み上げである。どんな事でも一生懸命努力したものは形を変えて生きてくるものである。実は振り出しに戻ったように見えて、新たなる積み上げの再出発である。

 一から出直すと決心したなら、断固として未知の世界に迷うことなく挑戦する。決断すると心は軽く成るものだ。

 脇目を降らず積み上げる。成功も失敗もあるが、ひたすら努力ではなかろうか。そこにさらなる新しい世界が開けてくる。

 山門の教示は心に響くものがある。

浜松市西区神ケ谷町天龍山洞雲寺の山門入口の掲示 令和4年10月1日撮影

裸になって一から出直すと決めたら心は軽い