元自衛官の時想(125) 新型コロナウイルスワクチンの供給・接種と予約騒動について

1  高齢者に対するコロナワクチン接種7月末までに完了

 政府は4月30日、7月中の全高齢者への新型コロナウイルスワクチン接種完了に向け、5月下旬〜6月最終週までの市町村ごとの配送量を各都道府県に通知した。全高齢者分の接種を賄う分量を6月末までに送る。菅義偉内閣総理大臣は同日、官邸で「7月末を念頭に終えるように全力を尽くす」と重ねて強調した旨が報じられた。 

 わが国の新型コロナ対処を初動から見ていて感じていることは、国家の危機的状況であるのに、一国の総理大臣、最高のトップリーダーが「檄」を飛ばしたり、自治体の酋長に「要請」、医師会長に「協力お願い」したりの様子をテレビを視聴するたびに、自由と民主主義を基調とし、国民から選ばれた国会において首班指名を受けて、国民から選らばれ信任された総理大臣さえ、国家の全機能発揮に関して法令等に基づき「〇〇せよ」と厳しく命令を発することができない現実があることである。

 これらを突き詰めていくと、現行の法令をもってしてもやり遂げられない憲法上の制約に行き着くのである。

 国家の緊急事態に対する基本的な骨組みが憲法において欠落していることが明白であるにも関わらず、戦後、新憲法が施行されて74年を経た今日に至るまで現行憲法の欠陥・不備が分かっているにもかかわらず、そのまま国会で議論されることもなく、改憲されることなくやってきた。国民の緊急事態に関する理解と認識、積極的な是正の支持が少なかったことにある。まさにわが国が普通の国でない現実がある。

 新型コロナウイルスと異変種の感染拡大は、わが身に降りかかるものではないと甘く見てきたツケが国家・国民に決断を迫っているように見える。

 今日は憲法記念日である。朝、玄関に国旗を掲げ、夕方収納しながら果たしてこのままで良いであろうかと思った。

2  第4波の来襲と変異株の急速拡大に対する緊急対処

 全世界がコロナとの戦いの最中にある。わが国におけるコロナウイルスは、第4波の来襲と変異種の急速拡大で多く国民の命が失われていく危機的な事態である。

 対処策については、先に元自衛官の時想(124 ) 「 新型コロナ再拡大と変異ウイルスの脅威への緊急対処」で私見を述べた。

 新型コロナウイルスについても、やれることは全てやるという国家の全機能を発揮して対処するときではなかろうか。しかし、現憲法下でやれること、やれないことの範囲と限界が国民の目にはっきりと見えてきたのである。

 新型コロナウイルスという目に見えない大敵の直接攻撃を受けて、国家として対処するのに何が欠落・不備・脆弱なのかが日常生活の中で国民に分かるようになってきた。

 新型コロナウイルスに抗するワクチン供給・接種一つとっても、先進7カ国で最低であると言われている。ワクチン製造の国家戦略が欠けていたからである。

 この原因・要因はどこにあるであろうか。さまざまな理由がいわれているが、すべて為政者の責任と言えないものがある。国家の基本的事項である憲法に緊急事態条項がないため、政府には命令権も、強制力などがないことからお願い調とならざるを得ないのである。

 国民の生命と安全を守るのが、政府の最大の責務であるが、これでは国家として、強力な対処策を遂行することができない。

 国民の生命は、一方的に新型コロナウイルスに主導権を握られ翻弄されぱなしで良いのであろうか。目先のことに囚われず国家の基本問題の解決に取り組むべき時が到来しているように思う。

 憲法記念日に際して、最近実施した各種の世論調査結果によると、改憲への賛成意見が大きくなってきたようだ。

3   新型コロナワクチン接種の騒動と対応

 今話題の高齢者のコロナウイルスワクチンの供給と接種の予約について触れることにする。

 ワクチン接種の動向については、新聞テレビ情報及び浜松市のホ-ムページで状況は承知していた。

 80歳以上の高齢者に対しては、医療従事者に次いでワクチン接種が行われるとのことであったので、接種券がどのようになるかと見守っていたら、4月26日市役所発送で28日夕方自宅のポストに届いた。

 自分自身としては、最初から接種はできるときに受ければ良いと考えていたが、状況把握のため電話等で確認することにした。

 そこで、早速、市役所からの文書の中身を点検確認し、接種の指定医療機関である地区内の医院に電話を入れたら話し中、間も無く診療の時間外となり、電話は通じても受付時間が過ぎましたとのテ-プの無情の声が聞こえるだけであった。

 翌日29日は祝日・休診ですとのテープの声が再び返ってくるだけであった。インターネットで確認しても予約の進捗状況の掲示は一切なしであった。翌30日は話し中、つながった時には個別接種,集団接種すべて予約は埋まりましたとの返事、念のために市の予約専用線にかけて確認したところすべて予約満杯であるとのことであった。

 4月30日午後は金曜会、シニアクラブの対象会員のすべてが予約できずワクチン接種対処についての不満の声とあきらめの嘆きが渦巻いていた。この接種券騒動は高齢者の多くの人々に接種の安心どころか大きな不安を与えることになった。

 この状況は、過去のトイレットペーパー、砂糖、最近のテイシユやマスクの品不足騒動が連想され、全く類似しているように見えた。

 接種券を受領した高齢者の多くの者が、当然、市役所が接種券を送付する限り、対象者のワクチン接種数量は確保されており、順番はともかく申し込めば受け付けられると思っていたことである。

 市のワクチン接種事業計画を見ると、実際は、医療従事者等及び80歳以上の高齢者約10万2千名に対し、5月9日までに準備されるものはその半分の人たちのみに1回接種できる状況にあった。

 最初の段階から半分の人は、接種を受けられないことがわかっているにも関わらず接種券が全員に発送されたところに原因があるようであった。接種券と受付申し込み騒動は、いたずらに高齢者の人心を不安に陥れることになった。罪なことをしたものである。85歳以上は大方のものが自由に車等で動けないから心労を多くした。

 その後、政府は4月30日、全自治体に対して、全高齢者のワクチン接種に関する「基本配分計画」をもってワクチンの箱数と時期を明示した。

 これによると、今後の全高齢者のワクチン接種数量は確保され、浜松市に対する数量は254箱・約30万回分も発表された。十分な数量が給付されるとのことである。

4  静岡市の高齢者ワクチン接種と田辺信宏市長の抄録

 今朝の産経新聞に掲載された田辺信宏静岡市長の会見抄録を見ると、基本的に接種券を各段階に分けて順次発送配布することにしていること、80歳以上に対するワクチン接種は対象者の2倍くらいの数量が確保されるので安心して順番を待ってくださいとの記事が掲載されていた。

 これこそが、緊急時の対処のあり方であると注目したものである。危機管理の基本はどのような事案でも同じである。事前にどのような事態が発生するかを予測して英知を集めて対処策を研究検討すれば事態対処は円滑に進むものではなかろうか。

 こうしたことがあったりで、スマホを持っていることから浜松市のLINEに加わることにした。今や情報化の時代である。正確な情報を把握する努力は歳に関係なく必要なことではなかろうか。

❶  浜松市ワクチン接種スケジュール 

   浜松市新型コロナウイルスワクチン接種事業について」出典

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❷  浜松市ワクチン接種体制

   浜松市新型コロナウイルスワクチン接種事業について」出典

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❸   産経新聞  3年5月3日 田辺信宏静岡市長の会見抄録

  ワクチン接種「枠が足りなくなることない」

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