86歳老いる雑感( 201 ) 敬老の日における高齢者の人口及び就業の動向について

 今日は敬老の日、久しぶりの秋日和の快晴、祝日であるので玄関に国旗を掲げた。自治会主催の敬老会はコロナ緊急事態宣言下のため式典等は取りやめとなり、お祝い弁当と紅白饅頭が配られた。ありがたく美味しくいただいた。

 今朝の新聞各紙は、総務省統計局発表の高齢者(65歳以上)の人口及び高齢者の就業についてを報道した。記事は一般国民に関心のある事項のみを報じたものであることから、  総理府統計局ホ-ムベ-ジ開いて全文を読んでみた。高齢者の人口及び就業の推移と将来予測など全体像がつかめ、とても参考になった。

 新聞報道については、第一面記事としては現状程度でよいが、第三面等に全文を掲載すると新聞の役割を十分に果たすことになると思った。最近は一部報道が偏向的、恣意的とみなされるものもあるので、全文を報道して読者に判断を任せる方が信頼されることになる。

 今回発表された高齢者の人口及び就業の推移と将来予測をどのようにとらえるかは、立場によってちがうが、私は後期高齢者の一人として、高齢者の人口増加、高齢化と就業率の増加に伴って、今後のシニアクラブの運営活動にどのような影響を及ぼすのかと注目しているものである。 

 現在、高齢者人口の増加に反比例してシニアクラブへの加入率は低下し、会員数の減少と高齢化が進化しつつある。将来の高齢者の人口と就業の動向を踏まえて、今後の会員構成、新会員の参加勧誘の在り方、運営の在り方、活動内容などさらに改善向上を図るにはどうしたらよいかの視点で、この統計資料発表を機に全員で検討し対応策をさらに進めていきたいと考えている。

1.高齢者の人口     総理府統計局ホ-ムベ-ジ 出典

総人口が減少する中で、高齢者人口は3617万人と過去最多
総人口に占める割合は28.7%と過去最高

 我が国の総人口(2020年9月15日現在推計)は、前年に比べ29万人減少している一方、65歳以上の高齢者(以下「高齢者」といいます。)人口は、3617万人と、前年(3587万人)に比べ30万人増加し、過去最多となりました。総人口に占める割合は28.7%と、前年(28.4%)に比べ0.3ポイント上昇し、過去最高となりました。
   男女別にみると、男性は1573万人(男性人口の25.7%)、女性は2044万人(女性人口の31.6%)と、女性が男性より471万人多くなっています。
人口性比(女性100人に対する男性の数)をみると、15歳未満では105.0、15~64歳では102.7と男性が多いのに対し、65歳以上では77.0と女性が多くなっています。
 年齢階級別にみると、いわゆる「団塊の世代」(1947年~1949年生まれ)を含む70歳以上人口は2791万人(総人口の22.2%)で、前年に比べ、78万人増(0.7ポイント上昇)となりました。また、75歳以上人口は1871万人(同14.9%)で、前年に比べ、24万人増(0.3ポイント上昇)、80歳以上人口は1160万人(同9.2%)で、36万人増(0.3ポイント上昇)となりました。(表1)
 

表1 年齢3区分別人口及び割合(2019年、2020年)- 9月15日現在 資料:「人口推計」

 総人口に占める高齢者人口の割合の推移をみると、1950年(4.9%)以降一貫して上昇が続いており、1985年に10%、2005年に20%を超え、2020年は28.7%となりました。
 国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、この割合は今後も上昇を続け、第2次ベビーブーム期(1971年~1974年)に生まれた世代が65歳以上となる2040年には、35.3%になると見込まれています。(図1、表2)

図1 高齢者人口及び割合の推移(1950年~2040年)資料:1950年~2015年は「国勢調査」、2019年及び2020年は「人口推計」、2025年以降は「日本の将来推計人口(平成29年推計)」出生(中位)死亡(中位)推計 (国立社会保障・人口問題研究所)から作成

表2 高齢者人口及び割合の推移(1950年~2040年)資料:1950年~2015年は「国勢調査」、2019年及び2020年は「人口推計」、2025年以降は「日本の将来推計人口(平成29年推計)」出生(中位)死亡(中位)推計(国立社会保障・人口問題研究所)から作成

日本の高齢者人口の割合は、世界で最高

 2020年の高齢者の総人口に占める割合を比較すると、日本(28.7%)は世界で最も高く、次いでイタリア(23.3%)、ポルトガル(22.8%)、フィンランド(22.6%)などとなっています。(表3、図2)
 

表3 高齢者人口の割合(上位10か国)(2020年)資料:日本の値は、「人口推計」の2020年9月15日現在、他国は、World Population Prospects: The 2019 Revision(United Nations)から、2020年7月1日現在の推計値を使用

図2 主要国における高齢者人口の割合の比較(2020年)資料:日本の値は、「人口推計」の2020年9月15日現在、他国は、World Population Prospects: The 2019 Revision(United Nations)から、2020年7月1日現在の推計値を使用

 高齢者の総人口に占める割合の推移をみると、各国とも上昇傾向となっています。(図3)

図3 主要国における高齢者人口の割合の推移(1950年~2065年) 資料:日本は、2015年までは国勢調査、2020年は人口推計、2025年以降は日本の将来推計人口、他国は、World Population Prospects: The 2019 Revision(UN)

 

2.高齢者の就業    総理府統計局ホ-ムベ-ジ 出典

高齢就業者数は、16年連続で増加し、892万人と過去最多

 2019年の高齢者の就業者※1)(以下「高齢就業者」といいます。)数は、2004年以降、16年連続で前年に比べ増加し、892万人と過去最多※2)となっています。
     ※1)就業者とは、月末1週間に収入を伴う仕事を1時間以上した者、又は月末1週間に仕事を休んでいた者
       ※2)比較可能な1968年以降
  
 高齢就業者数の対前年増減をみると、「団塊の世代」の高齢化などを背景に、2013年から2016年までは主に65~69歳で増加、2017年以降は「団塊の世代」が70歳を迎え始めたことなどにより、主に70歳以上で増加しています。(図4、図5)

 

図4 高齢就業者数の推移(2009年~2019年) 資料:「労働力調査」(基本集計)注1)数値は、単位未満を四捨五入しているため、合計の数値と内訳の計が一致しない場合がある。注2)2011年は、東日本大震災に伴う補完推計値

 

図5 高齢就業者数の対前年増減の推移(2009年~2019年) 資料:「労働力調査」(基本集計)注1)数値は、単位未満を四捨五入しているため、合計の数値と内訳の計が一致しない場合がある。注2)2011年及び2012年は、東日本大震災に伴う補完推計値

 

 2019年の高齢者の就業率※3)を年齢階級別にみると、2019年は65~69歳で48.4%、70歳以上で17.2%となり、年齢が高くなるとともに就業率は低くなっています。
 また、男女別にみると、男性が34.1%、女性が17.8%と、いずれも8年連続で前年に比べ上昇しています。65~69歳の就業率をみると、2014年に男性は50%、女性は30%を超え、その後も一貫して上昇しています。(図6)
   ※3)高齢者の就業率は、65歳以上人口に占める就業者の割合

 

図6 高齢者の就業率の推移(2009年~2019年) 資料:「労働力調査」(基本集計)注1)年齢階級別就業率は、各年齢階級の人口に占める就業者の割合 注2)2011年は、東日本大震災に伴う補完推計値

 

就業者総数に占める高齢就業者の割合は、13.3%と過去最高

 15歳以上の就業者総数に占める高齢就業者の割合は13.3%と、過去最高※)となっています。(図7)
   ※)比較可能な1968年以降

 

図7 就業者総数に占める高齢就業者の割合の推移(2009年~2019年) 資料:「労働力調査」(基本集計)注)2011年は、東日本大震災に伴う補完推計値

高齢就業者は、「卸売業,小売業」や「農業,林業」などで多い

   高齢就業者を主な産業別にみると、「卸売業,小売業」が126万人と最も多く、次いで「農業,林業」が108万人、「サービス業(他に分類されないもの)」が103万人、「製造業」が94万人などとなっています。
   なお、各産業の就業者に占める高齢就業者の割合をみると、「農業,林業」が52.2%と最も高く、次いで「不動産業,物品賃貸業」が26.4%、「サービス業(他に分類されないもの)」が22.6%、「生活関連サービス業,娯楽業」が18.2%などとなっています。(図8) 

 

図8 主な産業別高齢就業者数及び割合(2019年) 資料:「労働力調査」(基本集計)

高齢雇用者の4人に3人は非正規の職員・従業員
高齢者の非正規の職員・従業員は、10年間で200万人以上増加

 高齢就業者を従業上の地位別にみると、役員を除く雇用者が503万人で高齢就業者の56.9%、自営業主・家族従業者が273万人で同30.9%、会社などの役員が108万人で同12.2%となっています。さらに、高齢就業者のうち役員を除く雇用者(以下「高齢雇用者」といいます。)を雇用形態別にみると、非正規の職員・従業員77.3%を占めており、そのうちパート・アルバイトの割合が52.7%と最も高くなっています。(図9)

 

図9 従業上の地位別高齢就業者及び雇用形態別高齢雇用者の内訳(2019年) 資料:「労働力調査」(詳細集計)注)割合は内訳の合計に占める割合

 

 また、高齢雇用者について、正規及び非正規の職員・従業員の推移をみると、正規・非正規共に増加傾向で推移しています。正規の職員・従業員は、2009年(77万人)から2019年(114万人)で37万人増加し、非正規の職員・従業員は、2009年(158万人)から2019年(389万人)で231万人増加しています。(図10)

 

図10 雇用形態別高齢雇用者数及び非正規の職員・従業員の割合の推移(2009年~2019年)資料:「労働力調査」(詳細集計)注)2011年は、東日本大震災に伴う補完推計値

非正規の職員・従業員についた主な理由は、
男女とも「自分の都合のよい時間に働きたいから」が最多

 雇用形態が非正規の職員・従業員の高齢雇用者について、現在の雇用形態についた主な理由別の割合を男女別にみると、男性は「自分の都合のよい時間に働きたいから」(30.9%)が最も高く、次いで「専門的な技能等をいかせるから」(17.5%)、「家計の補助・学費等を得たいから」(16.5%)などとなっています。また、女性についても、「自分の都合のよい時間に働きたいから」(38.6%)が最も高く、次いで「家計の補助・学費等を得たいから」(21.1%)、「専門的な技能等をいかせるから」(8.2%)などとなっています。(図11)
  

図11 非正規の職員・従業員の高齢雇用者が現在の雇用形態についた主な理由別内訳(2019年)資料:「労働力調査」(詳細集計)注)割合は内訳の合計に占める割合

日本の高齢者の就業率は、主要国の中でも高い水準

 主要国における高齢者の就業率を10年前と比較すると、日本(+5.3ポイント)、カナダ(+4.3ポイント)を始め、各国とも上昇しています。2019年の日本の高齢者の就業率は24.9%となっており、主要国の中でも高い水準にあります。(図12)

  

図12 主要国における高齢者の就業率の比較(2009年、2019年)資料:日本の値は、「労働力調査」(基本集計)、他国は、OECD.Stat

<月次結果>
高齢者の就業者数、就業率共に2020年4月を底に改善傾向

 最近の高齢者の就業について、2020年7月まで月別にみると、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、高齢就業者数は前年同月と比べ2020年4月に減少したものの、5月以降増加しています。また、就業率についても、6月以降上昇しており、就業者数と同様に4月を底に改善傾向が見られます。(図13)

 

図13 高齢者の就業者数及び就業率の推移(2019年1月~2020年7月)資料:日本の値は、「労働力調査」(基本集計)