元自衛官の時想(118) 上は国家から下は地域の小集団における大事と小事

  •  大事と小事という言葉がある。最近の政治・社会全般の動向を見ていると、各級のリーダーに求める役割・職務と責任を、大事と小事をごっちゃにして、何らの区別なく課し、論じている傾向に憂慮するものである。

 国家組織はもとより地域の小さな任意団体に至るまで、組織を運営していくには、リーダーの下に役員・スタッフがおり組織的、効率的、経済的な活動がおこなれる。そのためには、それぞれの役割を分担し職務と責任を明確にして運営が行われる。

 一番身近な例では、立法の最高機関である国会論戦をテレビ中継を視聴していて、国家天下に関わる大事ではなく、枝葉末節の小事についての質問や言葉尻の揚げ足をしたり、すでに終わったことを繰り返す事例を観て一体何をやっているのだろうか、これでよいのだろうかと思うことがある。

 古今東西、国家のリーダーは国家の命運を左右する問題解決に専念し、確固たる方針・進路を明示し、細部行動は各級のリーダーやスタッフを通じて実行させればよい。

 こうした最近の状況を見ていると、大事も小事の区別なく議論したり、批判したりしている。これでよいであろうか。

 現在、私は最小単位のシニアクラブの責任者をしている。在任間は悔いのないように全力で役割を果たすことに努力している。

 特に、大事と小事の使い分けに心している。リーダーとして、単位クラブに関わる大事については、皆さんの意見要望を踏まえながら、全体や大きな流れを洞察して、明確な方針と実施要領を示し、実行に努めている。

 どちらのやり方でやっても、本来の目的を達成せできると思われるものなどはすべて、それぞれの役員に任せている。各役員については、職務と責任を分担して全幅の信頼をして任せており、適宜、この都度報告を受けている。組織運営に関する責任は、すべて組織の長にある。

 そこで、国家レベルから地域の小さな任意団体に至るまで、何が大事で、小事であるかは、自ずと決まってくるものである。しかしながら、思想、信条、考え方、立場によって、時として、大事を小事、小事を大事と判断したり、誤ることがある。

 大事を小事、小事を大事と、その辺の判断を誤ると組織に混乱や亀裂を生じたりするものだ。

 末端の小集団にあっては、リーダーは、進む方向を明確にし、組織の中核となって、先頭に立って率先垂範、行動することが求められる。そして、大事と小事を上手く使い分けながら運営することに努めている。言うは易く行いは難し、他山の石として自らを律していかなければならないと心を引き締めている。