元自衛官の時想( 134) 明確な国家観のもと確固たる信念と強力なリーダシップのある第100代総理大臣を選んでもらいたい

 

 菅義偉総理大臣の突然の辞意表明により、自由民主党総裁選びが行われ、わが国の第100代の新しい総理大臣が生まれることになった。

 自民党総裁選挙の立候補者も出揃ったようである。どんな方が選ばれるかは自民党の国会議員及び党員と党友の選挙によって決まる。どんな方が選ばれるか国民の一人として、関心を持って見守っている。

 86年の人生において、少年期に大東亜戦争の敗戦と混乱・再建・復興時代、青年期と壮年期に航空自衛隊の創設・建設期に35年余勤務、定年退官後30年の間に、第二の人生で自算会調査事務所と自動車保険相談所勤務、隊友会支部長、地域社会で自治会長、シニアクラブ会長を経験して、組織のトップはいかにあるべきか、どんな資質能力が求められるか、どんな修練をすべきかなどを経験してきた。

 そして帰結するものは、政治、経済産業、行政等社会のすべての分野、国家レベルから地域社会の単位団体すべての組織のトップに共通する求められる資質能力は同じであると確信する。

 特に、自衛官という立場から国家の危機管理組織の一員であったことから組織のトップがいかに重要であり、上は国家から単位組織に至るまでの命運、隆盛を左右する位置にあるということである。

 こうした視点から国家の最高責任者である内閣総理大臣には第一に 明確な国家観のもと確固たる信念と強力なリーダシップのある者、第二に国家の繁栄を図れる政策を明示できる者が選ばれることを期待する。

❶ 国家の最高指揮官に求められる資質能力は、明確な国家観と歴史観、確固たる理念と不動信念、優れた指揮統率力と実行力、強力な指導力と発信力である、これらは属人的なものであり、物の考え方と資質能力そのものである。

①明確な国家観と歴史観がある。

 国家観と歴史観は、国家・組織をどの方向に向かって運営しようとする考え方である。政策・施策の基本となるものはここから生まれる。

②確固たる理念と不動の信念がある。

 物事を理路整然と組み立てる能力と物事の考えが終始一貫し、正々堂々とぶれない信念の持ち主かどうかである。時に他に迎合し、最もらしい屁理屈をつけて筋を曲げることがあってはならない。その傾向のある者はいつの日かぶれるものである。

③優れた指揮統率力がある。

  優れた指揮能力とは、進むべき方向・方針・目標を明確にして、全ての国家機能を発揮させ、総力を集中させることができる能力である。国家経営の大戦略を描け、組織を動かし、実行できる能力である。

 指揮は、与えられた権限を最大限有効に行使し、組織的に方針・目標を達成すること、全ての責任を背負う気概のあることである。

 統率は部下を心服させる能力である。

統率力は、優れた人格、人間力である。その統率者の下で率先して働きたいとする人間的な魅力の持ち主である。

 指揮実行にあたっては、指揮官たるトップリーダーは司令部たる補佐組織を設け、有機的な活動ができることである。

組織チーム力を迅速有効に発揮する体制づくりができる能力があかどうかである。

④断固としてやり抜く実行力、指導力と発信力がある。

 トップリーダーの資質能力の中で、特に断固としてやり遂げる実行力、指導力が必須である。

 現代の情報化社会においては、発信力が必須となってきた。適宜、行動方針、実行しようとする施策の内容と現状、進捗状況と問題点・改善是正の方向を自ら発信する能力である。

❷  国家の繁栄を図れる各種の適正な政策を、明示し実行する。

 国家の繁栄を図れる政治経済、外交、安全保障、社会福祉など、一貫性、継続性のある各分野の政策・施策の明示である。

 明示した政策・施策は確実に実行する。そこには、毅然として、国民に厳しいことでも求めるべきことは求める力量・度量が必要ではなかろうか。

 どんな人物が自由民主党総裁・総理大臣に選ばれるであろうか。厳しい国際情勢と国難ともいうべき新型コロナとの戦いの最中、わが国を明確な方針のもと世界の列国と肩を並べて競争できる「普通の国」に導く総理大臣が誕生することを祈っている。