山門の人生の教示 「花の香りは風に逆らえば匂わず、されど善き人の香りは風に逆らっても匂う」

 8月1日、朝、浜松市西区神ケ谷町にある天龍山洞雲寺の墓園にお墓参りをした。お墓を清掃し花を手向けた。

 今月の山門入口の掲示は、「花の香りは風に逆らえば匂わず、されど善き人の香りは風に逆らっても匂う」であった。

 どんなに優れた香りをただよわせる花であっても、風に逆らえば匂わない。 これに対して、徳のある人の存在と醸し出す雰囲気、人の道にかなった行いは人の心を豊かにし、和ませるものだ。花の香りにたとえての、善き人間の香りは風に逆らっても匂うと表現したものであろう。

 なにも聖人君子でなくても、高位高官でなくても、普通に暮らす私たちは誰でも社会生活の中で良き香りを醸し出すことができる。

 人間の真価は、地位、財産ではなく、社会人として、社会のために自分の役割を果たし、他人と協調し、仲良くし、尊敬される存在として人生を終えるかどうかではなかろうか。

 誰でも、人間として、善き心を持ちたいと思っている。このため、昔から一日一善が強調されてきた。世の中は普通の人間の集まりである。市井の人間であり、平凡な人間であるが、みんな善き人間が大部分ではなかろうか。悪い人間はどちらかというと少数派である。善い人にも悪い人にもなれるのが人間である。

 人間社会は多人数で形成され活動している。各人は性格が異なり個性がある。持ち味である優れた個性を発揮しながら、社会に貢献していけば善き人の香りを自然に醸し出すことができるのではなかろうか。

❶   山門の人生の教示 令和5年8月1日早朝撮影

❷   天龍山洞雲寺   令和5年8月1日早朝撮影