87歳の雑感( 270) 4月は歳に関係なく出発の時、初心忘れるべからず、帆を上げる

 令和5年度が始まった。わが神原町自治会も班長会議など新役員体制が本格的に活動を始めた。

 昨日3日は、官庁を始め企業などの入社式の模様が新聞テレビで報道された。いずれも、新入社員の決意表明と迎える側の歓迎と期待を込めた訓辞や祝辞の記事を読みながら、今年は例年と比べて何が変わっているのだろうかと注目した。

 何事もスタートが大事である。「初心貫徹」という言葉がある通り、「初心忘れるべからす」である。そのためにはやはり自分なりの目標を持った方が良い。

 新卒の新入社員だけではない。諸団体の長や役員に選ばれて就任した人たちにとっても、就任時の決意や抱負を忘れないで、初心貫徹してもらいたい。

 私も社会人となって、さまざまな役目を経験したが、悔いることがないように目標に向かって前進してきた。やるべきこと、やらねばならないこと、やりたいと思ったことをやってきたからである。

100パーセント完璧にできなかったからといって悔いることはない。60〜80パーセントできれば上出来である。

 今日までの88年に近い人生を振り返ると、なんら悔いを残すことはない。満足感でいっぱいである。老兵は、静かに去り見守るのみである。

 とりわけ、人生最盛期の35年余の自衛隊勤務は、創設と建設の時期であったことから、創造、前進、改善向上の毎日であった。

 退官して直面したことは、社会のあらゆる面に創造、前進、改善向上を阻むものがいっぱいあるということであった。

 それは人であり、組織であり、慣習、風土などであった。それを跳ね飛ばし、乗り越えて、新しい発想と方策を掲げてその実現に精進した。全てがうまくいったわけではなく、困難に直面すると一歩後退して、次のチャンスを狙って二歩前進した。

 時代は常に推移している。世界情始め、国内外の政治・社会・産業経済・文化などから世界観・価値観など物の見方、考え方が変わってきている。

 これらを否定的に考えたり、固定観念で受け止めることはない。世の中、人の世は複雑多岐であり、考え方や見方一つでさえ、多種多様であるからだ。人間社会の実相からすると当たり前のことであるからだ。昔に比べて、現代は世の中のあらゆることの進展の速度が速くなった。

 自分の考えと軸足をしっかりと固定して、むしろ積極的に受け入れて、守るべきものはしっかりと守り、時代の波に対応していく必要がある。いわゆる柔軟性である。柔軟性のないものは壊れるか、阻害要因となることがある。

 新年度・4月は、出発の時である。希望に満ち溢れ初心が膨らむ時である。人生はやり直しが効かない。遡ることができない、やり直せないものだ。歳に関係ない。人生は永眠するまで続くからだ。

 私にとっても、4月は再出発である。再び帆をあげた。まもなく88歳の米寿を迎える。余生はゆっくり進むことにした。