天龍山洞雲寺参道の人生教導の石碑(3) 逆境に挫けず 順境におごらず

    菩提寺である浜松市西区神ケ谷町天龍山洞雲寺 には、毎月1日と15日の2回,同寺に詣でて墓参りをしている。

 参道の片側には、昭和の30年代に設置された石碑が15個建っている。檀信徒から寄進された石碑で,表面に人生の諸々の教導の言葉が銘されている。その裏側には寄進者名と建立年月日が刻まれている。

 仏様の教えでもある。日常生活における誠に含蓄のある教導の言葉である。

 墓参りの都度,立ち止まって読み返すことにしている。歳を重ねるにつれて同感することばかりである。

 わが人生を振り返り,残された人生の道標としている。

❸ 天龍山洞雲寺参道の人生教導の石碑

「逆境に挫けず 順境におごらず」 

【所感】

 人生は山あり谷あり,波瀾万丈である。人生を大海の航海に例えることがある。凪あり大嵐ありで、何事もなく順風満帆な人生を過ごす人は少ないのではなかろうか。

 この世に生を受けてから終わるまでの長い人生において、兄弟姉妹はもとより同級生,同期生などどれ一つ取り上げても同じ人生を歩むことはない。各人が異なった人生を歩んでいる。

 わが86歳の今日に至るまでの人生を振り返っても、成人後に5回ぐらいの大嵐に直面した。 

 最初は,航空自衛隊第1期操縦学生としてパイロットの道を歩んだ初期段階で,操縦適性面から免となり大空への夢は破れた。次は,奮起して勤務に精励し、妻を娶り家庭生活を築いた。新婚早々、部内幹部候補生選抜試験に合格し,初級幹部・要撃管制幹部として錬成訓練に励み一本立ちしたころ,長男が生まれるや妻は産後の肥立ちがすぐれず,あっという間に愛児を残して逝ってしまったことである。時に27歳を迎えようとする春であった。

 全く突然の人生最大の危機であった。路頭にくれたが、公私にわたり皆さんに助けられ,再び家庭を持つことができ,35年余の自衛官生活を全うし定年退官した。

 社会人として出だしの若い時代に苦難に直面した分、壮年期は大波に直面することなく熟年期を迎えた。

 3〜5回目は、70代のに入って、地域社会の諸活動を始めたころ,青天の霹靂のごとく,心房粗動,腎臓がん,膀胱がんと三大危機に直面した。幸い近代医療により今日まで元気に暮らしている。

 それらは,私の人生においての危機であり、逆境とも言えたのではなかろうかと思っている。人生いい時もあれば悪い時もあるものだ。

「逆境に挫けず、順境におごらず」素晴らしい言葉である。