元自衛官の時想( 131)  熱海市の大規模土石流災害について

    去る7月3日午前10時半ごろ 静岡県熱海市伊豆山地区で発生した大規模な 土石流災害の動画のすさまじさには言葉がないくらいである。東日本大震災における津波の来襲の動画を想起した。

 第2次災害を警戒しながらの警察、消防、自衛隊による1,100人体制で捜索救出活動が懸命に続けられている。救助された人は、2日間で計23人となった。

 熱海市は4日、被害にあったのは127世帯、計251人で、そのうち68人は安否が確認されている。残る147人と連絡が取れていないことを明らかにした。新聞テレビ等では、土石流が発生した当初、安否不明者約20人とも報じられていたが、その後の調査で判明したものである。また、土石流による建物被害の棟数は約130棟に上るとのことである。

 災害発生から土石流災害の全貌と発生原因、人員及び建物の被害状況、捜索救助の自衛隊等の部隊の出動状況及び人員救出状況を見守っている。

 静岡県は4日、土石流の起点をドローンで上空から撮影した動画を発表した。ぽっかりと空いた削り取られた山肌が強烈である。

 熱海市によると、土石流は全長約1キロ、最大幅約120メートル、面積は約12万平方メートル。約130棟が巻き込まれたとみている。

 また、静岡県は4日午後の災害対策本部会議で、土石流の起点にあった盛り土がすべて崩壊し、流出したと発表した。

 県によると、土石流の起点は海岸から2キロほど上流の地点である。起点の周辺では幅およそ100メートル、長さ100メートルほどにわたって、深さ10メートル程度が崩れたとみられる。周辺には開発行為による盛り土があり、土石流との因果関係はわかっていないが、県はこの盛り土がすべて流れ出ていて、土石流による被害を甚大化させた可能性があるとみているようだ。流れ出た土砂の総量は10万立方メートルと推定されている。

 どの災害でも同じであるが、災害発生時の被害状況等の情報の正確な把握は困難を極めるものである。

 今回の大規模土石流災害に関して、全力対処する一方、発生原因の究明と対処、大雨洪水警報、避難指示、避難命令の発出と伝達、住民への周知、災害発生時の対処要領、情報の収集・評価と活用、対策本部の設置と運営、総指揮官の明示と指揮命令、出動部隊の捜索救助活動要領のほか、平素における自治会・町内会の世帯及び住民の把握状況と災害時における活動状況の実態と問題点などについて、発生時から積極的に資料等を記録保存して、今後の検証体制を確立すべきではなかろうか。 

 自然災害はどこでも起こりうるものである。他所で起きていることは、いつの日かわが町や住民に降りかかることがあるとの視点で捉える必要がある。

 今回の土石流災害と対処について他山の石として、わが町の現状に当てはめて、自治体、自治会・町内会、団体等は、現状を分析、検討して問題点を把握し、対処策を確立してもらいたい。