平成17年(2005年)4月、地域の神原町自治会長に就任して以来、毎月5日と20日の2回、「神原町自治会ニュース」を編集発行した。歳月が過ぎるのは早いもので15年が経った。
わが町に「自治会ニュース」が創設発行されるようになってから、現在に至るも継続されて情報連絡紙として大きな役割を果たしている。
「神原町自治会ニュース」を通じて、地域社会に生起する諸問題、自治会活動及び運営や地域の話題や町内で黙々と献身的に活躍する人々などを中心に、どのような問題に直面して、どのように対処したかを回顧してみたい。
自治会・町内会の運営と活動は、時代、地域によって状況は様々であるが、共通するものがあるのではなかろうか。そうした視点からすると現在及び将来において、自治会・町内会の会長、副会長、会計の三役などの役員として活動される方々に参考になる点もあるのではなかろうかと思うものである。時代の進展とともに自分たちの住む町の自治会・町内会は常に新しい課題に直面しながら前進していくものであるからだ。
❶ 自主防災隊の防災資機材の5か年整備計画の策定と逐年充実を目指す
平成17年4月、自治会長に就任するや、一番最初に行ったことは自主防災隊長として自主防災隊の編成と人員機材の掌握であった。基幹となる動力消火部は従前と同じメンバ-であり問題なかったが、自主防災隊は、自治会三役をはじめ各部・班長をもって構成されており、新年度で全員が入れ替ったことから、新たに隊を編成し役割分担を確認した。
現在は、東日本の大震災、近年の台風災害などで関心が高まっているが、地震災害については、東海地震説が発表され「明日起きても不思議ではない」という言葉がマスコミで強調されてから20年以上が経過しても、次の東海地震は発生しなかったことから、自主防災隊の装備等も昔からのものであった。古いものを更新する程度で装備機材の内容及び保有数量面からみると相当の不足が見られた。
そこで、思い切って、自主防災隊資機材整備計画(5ヵ年計画)を策定し、災害直後の人命救助体制と初期消火体制の充実を図ることにした。防災資機材の整備にあたっては、地震による倒壊家屋等の下敷きになった住民を救出・搬送するにあたって、過去の災害でどのような資機材が必要かつ有効であるが調査研究し、 自主防災隊資機材整備計画(5ヵ年計画)を作成した。5か年計画は約120万円の予算規模とした。
自主防災隊資機材整備計画の策定にあたっては、自治会役員会及び防災会議に諮り決定した。
①初期消火機材 消火器・詰め替え、街頭用消火器格納器、消火バケツ、消防ホ-ス、
筒先
②救出障害物除去及び救助用資機材 パ-ル、丸太、折りたたみハシゴ、のこぎり、
掛矢、スコップ、ツルハシ、ペンチ、鉄線ばさみ、ハンマー、ロープ、リヤカ-、
ジャッキ、エンジンカッタ-、チェ-ンソ-、投光器、工具類セット、担架、
防災組織用救急箱、三角巾
③情報伝達資機材 拡声器、無線機
④避難生活資機材 、防災用毛布、強力ライト、腕章、発動発電機、かまど、釜、鍋
やかん、ポリ容器、テント、ビニ-ルシ-ト、
⑤ その他防災活動に必要な機材 防災服、雨合羽、ヘルメット、長靴、
コ-ドリ- ル
3年間の在任間は、装備資機材計画に基づいて整備したが道半ばであった。その後、装備資機材も時代の進展とともに必要な品目もかなり変化してきている。さらに避難所の運営管理も加わり、歴代の自治会長の努力によって充実が図られている。今日においては、コロナ対処と避難所運営の課題にも直面するようになった。
❷ 東南海地震へ向けての課題、自主防災隊のあり方と対処
近年は、全般的に町民の地震・台風等の自然災害に対して関心が高まっている。特に、東海地震を含めた、東南海地震が焦点となっている。紀伊半島沖から遠州灘にかけての海域(南海トラフの東側)で周期的に発生するとされている海溝型地震である。規模は毎回M8クラスに達する巨大地震で、約100年から200年周期の発生と考えられている。
令和の時代は、平成の時代より自治会運営及び活動に関する課題が新たに生まれつつあり、自治会役員の役割がさらに大きなものが期待されるようになるであろう。
地域における自主防災隊のあり方と編成は、三つの方策がある。自治会長以下役員が主力を占める自治会主体型、自治会から独立した独立型型、自治会型と独立型との混合型であろう。独立型であっても自治会と連帯した活動となるのは当然である。どのような防災隊を編成し、運用するかは地域の特性によるのではなかろうか。
しかしながら、どのような自主防災隊の型であろうと、自然災害に際しては、災害直後の隣近所の助け合い、初動対処が自主防災隊の一番の役割である。
自主防災隊のあり方と編成についても、自治会役員を中心とした編成では、高齢化と年度ごとの交代により、自治会活動との競合、対処能力、専門性と練度維持、継続性など様々な課題を抱えるようになってきた。
こうしたことから、自治会とは別個の自主防災隊の編成について町民の皆さんに問いかけているようであるが、何事も従前と異なる大きな改革を図るには、強力なリ-ダ-シップと諸問題を克服する大きなエネルギ-を要するものである。
🔹平成17年度7月制定の神原町自主防災隊・防災資機材整備計画
神原町自治会ニュース NO12 平成17年(2005年) 11月 20日