花の出会いと感想記(14) 写真で綴る ポピ-のつぼみ開花・誕生の物語

 ポピーとの出会いは、前回述べた。花についての関心は、子供の頃から家屋敷の中に、農家であったことから畑や花壇があり、いろいろな花が咲いていた。仏壇に供える花などここから切り花していたのを覚えている。

 現職時代の自衛隊勤務では、各地を転勤のたびに一軒家の官舎に入居したときは、裏庭の空き地に花壇を設けて花を咲かせたものである。

 定年退官後、地域の自治会長に就任した折、「まちづくり構想」を策定して、町民が主体となった豊かな地域社会を作ろうと提唱し主導した。その一つとして「花と緑のいっぱいあるまち」を作るため花の会を立ち上げた。

 そうした関係から約10年間花の会の代表者を務めることになった。特別に花栽培などの経験や知識があったわけではなく、まったくの素人であった。むしろ家内の方が格段上であった。

 したがって、自分の役割は会の円滑な運営に重点を置き、皆さんが楽しくかつ元気に花活動に参加できる環境作りや園芸資機材の確保、花だよりの編集発行、花コンク-ルへの挑戦による成果の持続と拡大などに努めた。花の育成管理は、草花に詳しい皆さんにお願いしてきた。

 理屈抜きで、先頭に立って10年も花畑の運営をしてくると、毎日朝昼晩と機会あるごとに花畑を訪れ花の様子を確かめることになるので、自然に実地で学ぶことが多かった。

 したがって、ポピ-に関することは体験記でもある。総じてポピ-の花は、実に繊細である。つぼみは2枚の萼(がく)片に覆われているが、開花時には萼は脱落する。

    毛の生えたつぼみは、初めは下を向いているが、次第に上を向き、真っすぐになって、しばらくすると、つぼみの先端が徐々に2つに割れて開き、薄い和紙でつくったようなしわのある花弁が現れてくる。その時は花弁を包んでいた萼は、多くは自然に脱落するが、ほんの少数が、花弁の上にちょこんと載るか、左右に踏みとどまっていることがある。一方、時間の経過とともにしわのある花びらも次第にふくらんでくる。

 完全に花弁が開き終わるころには、花びらの上に載っていた萼や左右にくっついていた萼は、ほんのわずかな風で花弁からふわりと離れ落ちていく。つぼみの時、包んできた2枚の萼・花殻が花弁から離れる様子は、大きな役目を果たして散っていく姿そのものである。自然界の全ての生きとし生けるもののに相通じるものがある。萼が声を持っておればバイバイして「花よ人様に愛でてもらえよ」「花弁に幸あれ」と別れを告げるように見える。ものにはすべて喜怒哀楽、最後には哀れというものがある。そよ風にポピ-が揺られる風情の陰にこうした萼(がく)の花物語があるのである。

 一般に花畑を訪れる方は、可憐な一輪のポピ-花の姿に接しても、こうした萼(がく)の役割など開花・誕生するまでの物語を知る由もない。しかし、つぼみがしゃんとまっすくになったポピ-を茎の部分から切って、水をたっぷりと入れた一輪挿しの小瓶で観察すると、翌日の早朝にはポピ-の開花・誕生に至る様子を観ることができる。

 10年間花の会の代表をしたときは、花畑を訪れた方には、咲いた花はその場で眺めて、つぼみのまっすくになったポピ-を家に持ち帰って、開花の様子を楽しむことを勧めてきた。無料で花摘み体験を積極的に進めた背景はそこにあった。

   ポピ-花は繊細である。切り花はそんなに長く持たない。それよりか二倍も三倍も長く楽しめて、しかも開花・誕生の物語を自分の目で観ることができる。

 ポピ-開花・誕生の過程は皆同じであるが、一つ一つの花に個性があるようにその姿、様子は異なるものだ。花弁数は普通4枚であるが、八重もありさまざまである。

 

写真で綴るポピ-の開花・誕生物語

❶ ポピ-のつぼみが二つに割れて、少し開き始めた。

(2枚の萼が少し開き、花弁が少し見えだした)

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❷ ポピ-のつぼみが二つに割れて、半分ぐらい開いた。

(2枚の萼が半分開き、しっかりと折りたたまれた花弁が半分見える)

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❸ ポピ-のつぼみが二つに割れて、花弁の上や周りに萼がついている。
(2枚の萼が完全開き、しっかりと折りたたまれた花弁の全部が見える)

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❹ ポピ-の花弁が半分ぐらいふわりと開き、花弁の上や周りに萼がついている。
(2枚の萼が完全に開き、折りたたまれた花弁がふくらみ半分ぐらい開いた。)

 

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 ❺ ポピ-の花弁が少し開いた。花弁の上や周りに萼が載っている。

(花らしく見えるようになった。しっかりと折りたたまれた花弁が膨らみ少し開いた。折り目のしわが残っている。)

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❻ ポピ-の花弁が半分開いた。花弁の上や周りに萼が載っている。

(花弁が半分開いたが、折り目のしわがある。)

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❼ ポピ-の花弁が全部開いたが折り目のしわがある。花弁の上や周りに萼が載っている。
(花弁が完全に開いたが、折り目のしわが残っている。この時、萼が花弁の上や周りに載っているのはほんのわずかである。そよ風とともに全部が脱落する。早朝の風のないときに時たま観ることができる。)

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❽ ポピ-の花弁が全部開き、花弁の上や周りに萼が載っている。この様子は、萼が貴婦人の小さな帽子にみえる。「貴婦人のエレガントな帽子」となずけた。(花弁が完全に開き、とんどしわがなくなってくる。つぼみを包んだ2枚の萼がそろっていることは珍しい。1枚の時は多くは花弁の中に納まっているが、これも風と共に去りぬである。)

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