この顕彰制度は、わが国の守りをはじめ、日本各地の災害派遣や緊急搬送などに活躍し、任務の枠を越えて「自己犠牲の精神で人命救助・人助けなどを行った自衛官」や、日常の行動を通じ「社会との絆を強めた自衛官」を表彰している。
選考会では、陸、海、空それぞれの専門分野で功績のあった自衛官が推薦され、尖閣諸島を含む南西地域における対領空侵犯に対する任務を遂行している第83航空隊や、心肺停止の2歳女児を救命した自衛官、砕氷艦「しらせ」艦長などとして8年間、南極観測隊を支援し国民に感銘を与えた自衛官など9人2部隊を選出した。
表彰式は10月4日、東京都新宿区のホテルグランドヒル市ケ谷で行われる。
受章自衛官は次の通り。
【陸上自衛隊】第101不発弾処理隊(沖縄・那覇)石生雅久陸曹長(50)▽第7普通科連隊本部管理中隊(京都・福知山)井本淳2等陸曹(33)、足立繁俊3等陸曹(31)▽第10後方支援連隊第1整備大隊(愛知・春日井)加藤親3等陸曹(34)▽第47普通科連隊(広島・海田市)櫻田和子予備1等陸曹(40)▽防衛部情報通信・研究課(東京・市ケ谷)萱沼文洋3等陸佐(36)
【海上自衛隊】第31航空群第71航空隊(山口・岩国)▽砕氷艦「しらせ」(神奈川・横須賀)松田弘毅1等海佐(52)
【航空自衛隊】第5高射群本部(沖縄・那覇)小林丈人1等空尉(32)▽第83航空隊(沖縄・那覇)▽第1輸送航空隊飛行群第401飛行隊(愛知・小牧)加藤治3等空佐(53)
◇
協賛=一般社団法人日本防衛装備工業会、防衛懇話会
特別協賛=航空新聞社
選考委員=志方俊之・帝京大教授▽井上和彦・ジャーナリスト▽堤富男・日本防衛装備工業会理事長▽樫山幸夫・産経新聞社論説委員長▽小林毅・産経新聞社編集局長▽関田伸雄・産経新聞社事業局長
「国民の自衛官」 表彰の特色
この表彰の特色は、任務の枠を越えて「自己犠牲の精神で人命救助・人助けなどを行った自衛官」や、日常の行動を通じ「社会との絆を強めた自衛官」を表彰することにしたことである。
自衛官が与えられた任務を果たすのは当たり前のことであるが防衛省・自衛隊の各専門分野での地道で顕著な功績を表彰する制度が更に輪をを広げて、別の角度からも顕彰が行われることを期待するものである。
自衛官が警察官・消防官・海上保安官等と最も大きく異なることは、入隊時、「事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に努め、もつて国民の負託にこたえる」と服務の宣誓をして職務の遂行に当たっていることである。文字通り「危険を顧みず」が自衛官の服務の本質であり、厳しさがある。
全国紙の場合、他紙が同類・類似の顕彰をすることはまずないであろうが、やろうと思えば視点を変えて顕彰する対象は山のごとくある。他の新聞社のほか著名な団体等が自衛官の顕彰を取り上げてほしいものである。
たとえば、北辺の地から沖縄方面の南西の離島等で黙々と勤務に励んでいる自衛官、我が国の防衛を最も底辺で支えている曹・士の階層を対象とするものなどであろう。
「市民の自衛官 」の顕彰