航空自衛隊第1期操縦学生(1)  わが青春の出発点  大空にあこがれて!

航空自衛隊第1期操縦学生(1) わが青春の出発点 大空にあこがれて!

 昭和30年6月2日は、私が第1期操縦学生として航空自衛隊に入隊した日であり、わが青春の出発点であった。毎年6月2日は、私にとって特別な「記念日」でもある。
 昨日は、航空自衛隊第1期操縦学生会の総会・懇親会に参加するため浜松から新幹線ひかりを利用して上京し、防衛省の近くにあるグランドヒル市ヶ谷で同期生と絆を深めてきた。

 毎年6月2日に同期生会を開いている。今年は入隊以来58年目となった。来賓の豊釜区隊長をお迎えして、同期生122名中35名が参加した。歳を重ねるごとに同期生の物故者42名となったが、とりわけ青年時代に志半ばにして殉職した8名の英霊の往時が偲ばれる。
  
 大空に飛躍したいとの夢を胸に、第1期操縦学生として、全国から馳せ参じた若人にとってこの日は、生涯で最も記念すべき、忘れられない日である。同期生会で顔を合わせると、時を越え同期の桜になってしまう。不思議なものだ。理屈なしに、素直に当時の青年の心にかえることができる。

 そこには、目標を同じくし、10か月の基本課程を主軸として、全員が同じ釜の飯を食い、同じ土俵で厳しい教育訓練に切磋琢磨したところにあるのではなかろうか。

 世間知らずで、生意気で、元気に満ち溢れ猪突猛進した若獅子の面々が、それなりに一途に精一杯青春を謳歌した日々がよみがえってくる。

 出発点は同じでも、その後の人生・歩んだ道は異なったが、喜寿を迎え80歳を目前にし、去来するものは「よき時代・青春を過せた」との満足感や思いは同じではなかろうか。

 わが青春の出発点は、1期生というパイオニアとしての誇りと体力、気力を充実させ、勇気をもって未知の世界へ挑戦し飛躍の基礎を築いた時期であり、人間形成の上からも大事な年代であったように思える

 顧みると、第1期操縦学生は、昭和30年6月2日207名が幹部学校(防府南、9月幹候校発足に伴い編入)に入隊、6月3日から「操縦学生基本課程」を学び、翌年3月24日187名が課程修了した。
 操縦者は、地上教育修了数182名、養成数・BASIC終了83名・FC終了63名・C・H11名・ウイングマ−ク94名であった。(操縦学生は昭和37年「航空学生」と変遷する)

 操縦者の道を進んだものはもとより、志半ばにして、操縦以外の分野に転身した者は、各職域の中核として活躍し、創設期・建設期の航空自衛隊の戦力形成に大きな功績を残した。また、民間航空等で活躍したものは、日本の航空界等の成長発展期の基盤づくりに貢献した。

 私も操縦以外の分野に転身した者の一人であるが、35年の国防の任を全うして退官することができた。今日の体力・気力・意欲の原点はすべてが青年時代に鍛えられた「操縦学生基本課程」にあったと自認している。