元自衛官の時想(88) 令和元年度「第17回国民の自衛官」顕彰(1)

 令和時代初の「第17回国民の自衛官表彰式」が、10月8日三笠宮家の彬子さまをお迎えして行われた。国際活動や災害派遣などで著しい功績のあった自衛官を顕彰するもので発足から17回目となる素晴らしいフジサンケイクル-プの民間事業である。

 わたくしは、常日頃から、警察官・消防官などと同じように都道府県や市町村における「市民の自衛官」の顕彰を提唱しているひとりである。

 世界のいずれの国においても、共通する国家の基本は、平和と独立の保持と国民の生命・財産を守ることにある。国家国民から負託された使命を遂行するため生命の危険を顧みず任務遂行するのが自衛官である。毎回表彰を受ける自衛隊員はその代表ではなかろうか。

 産経新聞に掲載された自衛隊員と1個部隊についての記事を紹介します。

令和元年度「第17回国民の自衛官」の表彰 

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❶ 陸自東北方面ヘリコプタ-隊 馬場正幸3等陸佐(54)

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《 記事の内容から、馬場正幸3等陸佐は陸自の陸曹航空操縦学生出身のヘリコプタ-パイロットと思われる。
   「陸曹航空操縦学生」は、陸上自衛隊の飛行幹部候補生となるべき陸曹たる自衛官である。「陸曹航空操縦学生」は、陸上自衛隊に入隊、各部隊で通常数年間の勤務中に選抜を受けて陸曹に昇任、3曹に昇任して1年以上が経過しかつ、 年令31歳未満(創設期は26歳未満であった。)の者であつて陸曹航空操縦学生試験に合格した者が、陸曹航空操縦学生を命ぜられる。
    これは陸上自衛隊だけの制度で、一定以上の部隊での経験が必須となっている点で、空自や海自のように入隊時からパイロットになるための教育を受ける「航空学生」制度はなく、大きく異なっている。また、陸・海・空の各自衛隊とも、パイロットは航空機の操縦という高度な技能を持つことなどから幹部自衛官へ任官する制度となっている。》

 

❷ 海自硫黄島航空分遣隊 石井純一 3等海佐(55)

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《 記事の内容から、石井純一3等海佐は海自の航空学生出身のヘリコプタ-パイロットと思われる。昭和58年入隊しヘリ操縦士として、通算飛行時間7千時間以上のベテランである。時間があれば愛機を磨き、痛いところはないかと声をかけるという。現場経験が豊富で度胸が据わり、愛機と対話ができる熟練のパイロットによって、極めて困難な状況下において冷静沈着にして任務が遂行できる。
「航空学生」について、平成28年度防衛白書は月のように説明している。
 航空学生は、航空自衛隊パイロット、海上自衛隊パイロット及び戦術航空士を養成する制度です。
 採用後、航空学生課程で約2年間の基礎教育を受けた後、飛行幹部候補生に進み、約2年間の飛行訓練※を経てパイロットの国家資格を取得します。その後、さらに機種別(戦闘機、輸送機、救難機)の飛行訓練を受けた後、全国の航空機部隊で訓練を積み、採用から約6年で幹部自衛官(3尉)となります。
※海自パイロットは、この時点で回転翼、固定翼、戦術航空士に分かれて教育を実施。)