去る１０月6日本年度第１８回国民の自衛官の表彰式が行われました。表彰される自衛官の紹介とその功績などの記事が、毎回産経新聞に掲載されました。もったいない内容記事であることから切り抜いて紹介することにしました。
３５年余の自衛隊勤務でしたから、部隊・機関、職種や仕事内容、勤務の実態はもとより家庭生活など状況は異なってもその様子が目に浮かびます。
自衛隊勤務は、国家国民から負託された国家防衛という崇高な使命を果たすため黙々と任務を遂行しております。特に、第一線の現場で日夜勤務に精励している隊員にこうして光が当てられることはありがたいことです。毎度のことながら、わが国においてはどこにもない素晴らしい顕彰事業ではありませんか。
どの職業でも貴賤はなく社会へ貢献していますが、とりわけ、自衛隊の任務や勤務の特殊性から一般国民の目に見えにくいだけに、こうした顕彰を通じて、自衛隊員の活躍の様子が紹介され、国民の理解と支持が深まることは素晴らしい事業と言えます。
こうしたことから、毎年、選ばれた「国民の自衛官」の紹介記事を切り抜きを紹介するものです。掲載記事の後に所感を入れました。受賞された皆さんおめでとうございます。
● 第1８回国民の自衛官に９人１機関 受章者決定
災害派遣や国際貢献などで著しい功績のあった自衛官を顕彰する「第１８回国民の自衛官」（フジサンケイグループ主催、産経新聞社主管、防衛省協力）の選考が有識者ら７人によって行われ、９人１機関の受章者が決定した。
選考では、陸、海、空それぞれの専門分野で功績のあった自衛官や部隊などが推薦され、自己犠牲の精神での人命救助や、社会との絆を強める活動、自衛官としての努力や成果などが重視された。
約２７年間にわたり、潜水艦の頭脳ともいえるソナー（水中音波探知機）を操るスペシャリストを約１６０人も育成した２等海尉や、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」から新型コロナウイルス感染者１０７人を受け入れて感染者全員を退院させ、医療崩壊の防止に貢献した自衛隊中央病院が選出された。
受章自衛官、機関は次の通り。
【陸上自衛隊】第１０１不発弾処理隊（沖縄・那覇）石嶺正巳（いしみね・まさみ）陸曹長（５４）▽熊本病院（熊本・熊本）田中智子（たなか・ともこ）防衛技官（５９）▽航空学校宇都宮校教育課（栃木・北宇都宮）三上博之（みかみ・ひろゆき）１等陸尉（５５）▽自衛隊中央病院（東京・三宿）
【海上自衛隊】潜水艦救難艦ちよだ（神奈川・横須賀）熊坂雄二（くまさか・ゆうじ）准海尉（５３）▽多用途支援艦えんしゅう（神奈川・横須賀）近内淳（こんない・あつし）海曹長（４８）▽潜水艦隊司令部（神奈川・横須賀）向井真人（むかい・まさと）２等海尉（６３）
【航空自衛隊】第２輸送航空隊（埼玉・入間）後藤庄太（ごとう・しょうた）１等空曹（４１）▽第５航空団基地業務群管理隊（宮崎・新田原）坂本勝典（さかもと・かつのり）准空尉（５１）▽航空システム通信隊保全監査群システム監査隊（東京・市ケ谷）弦巻充（つるまき・みつる）１等空尉（５７）
❼ 【航空自衛隊】 第２輸送航空隊（埼玉・入間）後藤庄太１等空曹（４１）
【所感】
私は、主として昭和の時代に空自に勤務し、部隊及び各級司令部において、准尉、空曹及び空士の人事業務を担当したので、空自から毎年「国民の自衛官」として、どのような職種の隊員が顕彰されるのか、特に関心を持って見守っています。
航空自衛隊の職種は、令和２年版防衛白書や各都道府県地方協力本部のホームページでも紹介されています。わが国の空を守る任務を遂行するため約３０種に及ぶ幅広い職種があります。
准尉、空曹及び空士は、幹部より職種がさらに細分化されています。わが国を取り巻く安全保障、政治、社会全般の情勢と推移、防衛費と人的資源に対応して、適宜、職種の新設、統廃合が行われています。
私が在隊した当時は、特技職一覧表は「Ｕチート」と称して、すべての特技職を一目瞭然にして活用したものでした。
航空機整備の職種は、ヘリコプター整備(機上整備)、航空機整備(機上整備)、エンジン整備に区分されいます。
後藤庄太１曹は、輸送機の機上整備員として、総飛行時間約７千時間の練達の整備士であります。じっくりと腰を据えて真面目に職務に取り組み、信頼されるその道のベテラン中のラテランになっていったのではないでしょうか。
無事故で飛行し任務を完遂することは飛行部隊の至上命令です。機長たるパイロットの指揮のもと各職種の搭乗員の有機的な活動によってか任務を達成することができます。
輸送機の記念塗装デザインの才能も、長年輸送機と共に過ごした環境から生まれたのではないでしょうか。
いつの時代も、後藤１曹のようなしっかりと航空自衛隊を支える層の厚い空曹団が存在しています。輸送機部隊の航空機機上整備を担う人材、今後さらなる発展と活躍を祈ります。
❽ 【航空自衛隊】 第５航空団基地業務群管理隊（宮崎・新田原）坂本勝典准空尉（５１）
【所感】
坂本勝典准空尉は、新田原基地に所在する第５航空団基地業務群管理隊の隊長を補佐する「准曹士先任」です。
警備職でイラク戦争後の復興支援活動で海外に派遣されて国際貢献活動の経験を持つ経験豊富な隊員である。多国籍軍との交流なども経験されて、他国軍隊の状況と自衛隊の実力をしっかりと認識したのではないかと思います。
最近の自衛隊は、海外国際貢献で多くの隊員が外国軍隊・軍人と交流する機会があることは喜ばしいことです。
私も若い要撃管制幹部の２尉のころ、単身で厚木基地の米海兵隊に連絡幹部として派遣され、一緒に勤務をして外国軍隊の一端を見聞することができました。こうした経験から、その後の自衛官生活に確固たる信念と考えを堅持することができました。
坂本准尉は、地域でもスポーツで活躍しているとのことですが、准尉及び空曹の強みは一般的に同一基地で長期にわたり勤務し、自衛隊勤務の傍ら地域に根ざして、スポーツ等の指導者などで各方面で活躍していることです。地域では知る人ぞ知る、自衛隊さんの「地域・町の名士」として、組織のまとめ役、指導力、協調力に優れた人材として多くの自衛隊員が存在活躍しています。
私は、在隊間、准尉・上級空曹の役割に、「地域・町の名士」は「隊の名士」である。と強調していました。自衛隊基地・駐屯地と地域との共存共栄、自衛隊に対する理解に大きな役割を果たしています。
そのことが、退官後も発展して・自治会、町内会活動につながって、永住の地でやがて会長等役員として自衛隊で培った実力を発揮して地域貢献しています。
