人生の終盤期を迎えるにあたって、長年保存してきた雑誌類を破棄処分した。その中の一つが、現職時代及び退官後も購読した航空自衛隊幹部会発行の「翼」である。
「翼」の創刊号が発刊されたのは昭和53(1978 )年9月であった。現職時代の40代の働き盛りで、航空自衛隊の作戦部隊の最高司令部である航空総隊司令部において人事幕僚として人的戦力の向上に精魂を傾けて勤務していた頃であった。
顧みるに「翼」は、単なる部内誌に留まらず、いろいろな人の物の見方、考え方を幅広く知る機会を与えてくれたように思う。「航空自衛隊幹部学校記事」・「鵬友」と共に、他人の借り物ではなく、自ら深く思索し自分の考えをまとめる褚端を与えてくれたように記憶している。
自衛隊という世界に留まらず、なんでも積極的かつ貪欲に吸収しながら、取捨選択をして、柔軟性と強靭性のある自衛官としての人生観、世界観、防衛についての確固たる信念と所信を保持することができたように思う。
いずれにしても、多くの部内誌、軍事専門誌、書籍は、自分の肥やしになったと感謝している。
これらは、私の精神的ハックボーンとなった航空幹部自衛官の自覚・矜持・誇りと共にあったように思うところから、退官後30年に至る今日まで大切に保存してきた。今回全部を自分で破棄処分した。
当時の航空幕僚長竹田五郎空将は、「翼」創刊号に下記のはしがきを寄せておられる。昭和50(1975)年航空総隊司令部勤務時代に、竹田空将は航空総隊司令官であられ、人事幕僚としてお仕えした。
長い 年月を経て、翼は何十冊となった。なかなか素晴らしい内容のある部内誌であることから大事に保管してきたが、今回終活の一環として全部破棄することとした。
航空自衛隊幹部学校幹部会が発行してきた 幹部学校記事」・「鵬友」の破棄に次いで、直接自らの手で全部を破棄することができた。あらためて、「翼」と歴代の編集者に深甚なる敬意と感謝申し上げるものである。
創刊号
❶ 「翼」創刊号(昭和53年9月)の表紙
❷ 発刊に寄せて 航空幕僚長 武田五郎空将
➌ 翼・創刊号(昭和53年9月)目次