浜ちゃん日記   棟上げ式・建前での餅まき

1 遠州地方の上棟式と餅まき

   快晴の1日であった。夕方にお隣の親類の方が隣町に新築し、建前の餅まきがあるからと案内をいただいたので散歩を兼ねて出かけてみた。一般的にはかたぐるしい「上棟式」というより俗に「「建前」ということがが使われているのではなかろうか。

    当遠州地方には、昔から建前での餅まきが行われている。私も平成2年の定年退官で当地への自宅建設にあたって、現職当時、千葉の官舎住まいの時、全国的な建築会社と契約を結んだ。

   退官して浜松の妻の実家の近くに居住して、自宅建設の段階になって、上棟式や餅まきの意義などもよく理解できた。当時、遠州地方では、建前の餅まきは一般的な慣習であり、親戚縁者からも当然との雰囲気であったように記憶している。従って当たり前のごとく棟上式の餅まきを行った。

2 自宅建設と上棟式・餅まき

    はるか30年近く前を振り返ってみると、棟上式は、新築工事の棟上げが完了した日の夕方に、棟梁の采配の元に「今日までの無事な工事に感謝」し、建物の守護神と匠の神を祀って、「上棟以降の工事の安全」と「 完成後の建物の無事」を祈願した。その儀式を行ってから2階から餅まきを行なったものである。

    当時、上棟式用の餅を餅屋に頼み、子供用に駄菓子の問屋に行って、お菓子を準備した事を思い出した。また、新品の小銭を用意し包んだことがある。

   屋根裏の主柱には、建物の守護神と匠の神が安置されたことを覚えている。これからもきっとわか家を守ってくれるであろう。

3 ネットで見る上棟式

 上棟式について、ネットでは「昔から上棟式は棟上げ式または建前ともいわれ、柱、梁、桁、力板などの骨組みが完成した後、棟木を取り付けて補強する際に行う儀式のことです。」あるいは、「建物の守護神と匠の神を祀って、棟上げまで工事が終了したことに感謝し、無事、建物が完成することを祈願する儀。一般的に上式は、新築の家の土台が出来上がり、柱、梁、、力板などの骨組みが完成したあと棟木を 取り付けて補強する際に行なう。」とある。

 「上棟式での餅まきは、「散餅銭の儀」という災いを祓うための儀式の中で、餅と銭をまく事がもとになっているようである。家を建てることは大きな厄災を招くという考えがあり、その厄を避けるために餅や小銭をまいて他人に持って帰ってもらうという説がある」などとある。紅白の餅についてもいろいろの説があるようである。

4 最近の遠州地方の傾向

 遠州地方では、地鎮祭は神主さんが執行しているが、上棟式の方は神主さんによる執行はあま見られなくなった。大体が略式で棟梁のもとに執り行われている。さらに、略式の上棟式そのものを行わない家・施主が増えてきたように感じている。

 したがって、上棟式の餅まきは半々くらいか、それより少ないと見受ける。昔からその土地で育った農家等出身者は餅まきを行っているが、他地区からの若い世代では少しづつ減ってきているように感じられるがどうであろうか。 

5 一生の一大事業と安心安全の守護神

 家屋の建築は一生に一度か二度の大事業であり、完成までの安全や無事を祈願することはもとより、建物の守護神と匠の神が家屋の中心部に祀っており、そこに生活をする人々を見守っていると考えると昔からの生活の知恵というものがよく活かされるいることに気付くのである。

 紅白の餅まきも隣近所へのあいさつ代わりとわが家の繁栄を託しての気持ちであったが、ものの見方や価値観は時代とともに大きく変化してきている。これも時代の流れであろうか。

 昔は上棟式後に棟梁・大工等工事関係者と施主家族・親戚の酒席が設けられたが、現在はお祝い品を渡してお開きとしているところが多いようである。交通安全・事故防止上からも当然のことと言えるであろう。 

    雨天の場合は、餅を投げたりしないで、手配りしたりに切り替えられている。また、子供たちにお菓子・駄菓子が餅まき同様に行なわれている。

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《 建前の餅まきには、親戚・隣保・知人と子供たちが多数集まり、施主の紹介挨拶の後、紅白の餅やお菓子が多数ふるまわれ、新築を祝福した。》