元自衛官の時想( 151)  ロシアのウクライナ侵略からの教訓とわが国の防衛政策について

 ロシアのウクライナ軍事侵略は5ヶ月以上過ぎるも混沌とした状況にある。

わが国家・国民に与えた影響は、政治外交,安全保障,産業経済,社会生活等あらゆる面にわたって厳しい国際情勢の現実を思い知らしめた。

 多くのわが国民は、大東亜戦争敗戦後、幾多の外国の戦争、紛争を垣間見てきたが、今回ほど直近のロシアのウクライナ侵略は、新聞テレビなどメディアを通じて、現実の世界、自由と独立、国の守りについて身近に自分のこととして、深刻に考える機会を突きつけられたのでなかろうか。

 若い時代から35年余にわたり、陸上及び航空自衛官として、わが国の防衛の第一線で任務についた者としては、国際情勢を判断、考察するにあたっては、理想・願望と現実をはっきりと区別して、物事を考えかつ対処してきた。

 したがって、戦後の幾多の戦争・紛争で見るごとく、ロシアのウクライナ侵略は特別に驚くことでもなく、いつの時代もこうした国家と独裁者は存在するというととを認識しなければならない。

 ロシアのウクライナ侵略戦争に関して、航空自衛隊OBの論客である織田邦男氏と荒木淳一氏の所論に全く同感である。多くの OBは同じ思いをしているのではなかろうか。

 35年の自衛隊勤務経験から軍事的な国家防衛の視点か考察すると、「国家・国民と平和・自主独立・自由・民主主義を守る」ためには、次の四点に帰結できるのではなかろうかと考える。

 これは特別なことではなく、世界の主要な各国と同じように、「普通の国家」になるということである。

自衛隊が国家・国民を守るには、憲法に「自衛隊(国防軍)の明記」が不可欠である。

❷「専守防衛」では守れない。防衛力+反撃力(攻撃力)が必要である。

❸ 一国では守れない。他国と同盟を結び、自ら血を流がす決意が必要である。

❹  国家・国民を守るため、総合的な国家情報機関の設置が必要不可欠である。

 各項目の細部については、おいおい所感を記することにしている。

航空自衛隊OBの所論の紹介

 産経新聞 正論 令和4年4月6日 

 「他人事ではないウクライナの悲哀」 

麗澤大学客員教授 元空将 織田 邦男

❷ 隊友会機関紙「隊友」発煙筒  令和4年7月15日

 専守防衛の呪縛と誘惑」 

 常務執行役 荒木 淳一