1 久方ぶりの大相撲の明るいニュ-ス
久方ぶりの大相撲の明るいニュ-スは、春場所で10勝をあげた貴景勝の大関昇進であろう。また、大関としての決意たる「口上」が「武士道精神を重んじ、感謝の気持ちと思いやりを忘れず相撲道に精進する」とあった。しっかりした内容でなかなかものだ。
大関に昇進した貴景勝は、兵庫県芦屋市出身の22歳、幕内では最年少、平成26年秋場所に前相撲で初土俵を踏んでから28場所での大関昇進とのことである。年6場所制となった昭和33年以降では6番目のスピード昇進で、師匠だった元横綱 貴乃花の30場所を上回った。
大関昇進に至るまでには、持ち味の突き押し相撲を徹底的に貫き、直近3場所の勝ち星の合計が昇進の目安とされる33勝を上回り34勝となった。
日本相撲協会は3月27日、次の夏場所に向けた番付編成会議と、臨時の理事会を開き貴景勝の大関昇進を正式に決めた。これを受けて、日本相撲協会の使者が、貴景勝と師匠の千賀ノ浦親方のもとへ向かい、大関昇進の伝達式が行わた。
伝達式の口上で「大関の名に恥じぬよう武士道精神を重んじ、感謝の気持ちと思いやりを忘れず相撲道に精進して参ります」と決意を述べました。
このへんのところを、NHKは次のように報じた。
「大相撲で大関に昇進した貴景勝が昇進の伝達式のあとで会見し「武士道精神」ということばを使った「口上」について「小さな頃から自分を築き上げてきたことばだし、プロに入っても何度もこのことばに救われてきた」と込めた思いを明かしました。
この中で貴景勝は「小さい頃からの夢だったし、また1つ目標が達成できてうれしい気持ちだ。場所の疲労が抜けてきたことでうれしさが増えてきた気がする」と喜びをかみしめました。
「武士道精神」ということばを使った口上は、大関昇進を確実にしてからすぐに思い浮かんだということで「小さな頃から自分を築き上げてきたことばだし、プロに入っても何度もこのことばに救われてきた。勝っておごらず、負けて腐らずということを常日頃から意識しているが、それは武士道の中から得たことばでもあるし、受けた恩は必ず返す人間になりたいという思いもある。忘れてはならないことばだ」と込めた思いを明かしました。」
「貴景勝は、入門当時は貴乃花部屋に所属し、元横綱の貴乃花親方の退職に伴って、去年秋から千賀ノ浦部屋に所属していたが「貴乃花親方の背中を見て育ったし、今の千賀ノ浦部屋でも教わることが大変多い。みんなに支えられてここまで来た。感謝の気持ちは当然あるが恩を返すという意味では、強くなって土俵で示すしかない」と2人の師匠に対し感謝の思いを話しました。」
3 貴景勝の強み
「大関関貴景勝は、小学生で相撲を始め、中学時代には全国大会で中学生横綱のタイトルを獲得した。高校は多くの関取を輩出した埼玉栄高校に進み、卒業後に貴乃花部屋に入門した。しこ名の「貴景勝」は、当時の貴乃花親方が尊敬しているという戦国時代の武将、上杉謙信のあとを継いだ上杉景勝にちなんだと言われている。
身長1メートル75センチで下から突き上げるような鋭い立ち合いと突き押しを得意とし、土俵上でほとんど表情を変えない冷静さも強みである。
去年9月の秋場所後には、貴乃花親方が日本相撲協会を退職し所属していた貴乃花部屋が消滅するといった出来事がり、千賀ノ浦部屋に移籍するなど環境に大きな変化があった。」
4 感想
貴景勝の大関昇進で頭をよぎったのは、元横綱貴乃花が率いた貴乃花部屋の事であった。この部屋が存続していればとの思いたが強かった。メディアはどこも報じない、だれも口には出さないが私と同じように、多くの人たちはそのことを思ったのではなかろうか。
大関貴景勝については、好感が持てる力士である。子どものころからの両親の教育のせいであろうか、心が強く礼儀正しく一本筋か通っている。憧れの元横綱貴乃花の薫陶を受けて相撲道を学び頼もしい限りである。千賀ノ浦親方のもとで大成してほしい力士である。まだ若い。おごらず、口上のとおり精進してほしいものだ。これからが勝負であろう。
《 産経新聞31.3.28 :掲載写真の切り抜き 》