はままつフラワーパーク(2) 独創的発想で勝負

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 《 はままつフラワーパークの入口及びメインエントランス下の南面を捉えた。大温室下から眺めると、自然が恵んでくれた「広大な南面」がある。「観覧席」にすると、最高の立地である。広大な高低差のある北面と噴水池が目の前にあり、無限の空間と舞台が備わっている。》

 

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《 横から見た北面、正面から見るとさらにすばらしい。はままつフラワーパークが有する最高の宝の空間資源である。これだけの空間を人工的に作り出すにはかなりの投資を必要とするであろう。大噴水と植物の絵などだけではもったいない。玉手箱の宝の空間と広大面を最大限活用できないものか。特に、夜間の光を使った夢の祭典を夢見るのは私だけの夢であろうか。》

 

公共施設の健全運営

 フラワーパークのような特殊な公共施設は、公共だからといって、経済性をまったく無視した運営が許されないことは当然である。だからといって、営利・収益だけを重視した運営も不可であろう。

   事業目的の達成と経済的 自立のバランスの取れた運営が求められるだけに難しさがあるが、メディアでも動物園、植物園、水族館等の公共施設で健全経営が進められているところの報道を見聞することがある。

   そこにはそれなりの独創的な運営、観客を呼び込む独特の発想・企画、斬新な営業の展開努力等がみられるようだ。

 一市民としては、人の心を豊かにする植物園・動物園等市民の財産である公共施設が円滑に運営されているかどうか経営面に強い関心がある。

    浜松市には、西区のフラワーパークと   浜北区のフルーツパークの二大施設がある。

    どちらも素晴らしい施設であるが、財政面では久しく赤字と言われてきた。

    豊かな財政事情のときは、それなりに許されてきたが、今や問題を解決出来ない組織は縮小・廃止し、施設を委託・売却することに展開することもあるありうる時代となった。

   まさに厳しく「事業仕分け」され、生き残りをかけた時代である。

   各種メディアの報道でもこの種の事業の成否はしばしば取り上げられたことがある。  

    市民にとって、施設の必要性は十分に理解されていても、経営面で長期にわたって独立採算がとれないと、民間への事業委託等の措置がとられたとしても、最終的には市の財政を圧迫したり、影響を与えることもある。

 

お客を呼ぶ独創的な運営

    今日の経済状況は厳しいだけに,公共施設が営業的に収入と支出のバランスを維持することは至難の業であるが、経営陣の取り組みによっては、明るいニュースを耳にするようになった。

 ちなみに、はままつフルーツパークは、平成6年(1996年)10月1日から財団法人浜松市フラワーパーク・フルーツパーク公社が管理・運営していたが、指定管理者制度の導入により、平成25年(2013年)4月1日から株式会社時之栖が指定管理者として管理・運営することとなった。

 ここでは、温帯~熱帯に育つ果樹160種4300本を栽培する農業公園があり、レストラン、ワイナリー、フルーツショップ、工房、水遊び空間などがある。

    夜には時之栖自慢のきらびやかなイルミネーションがロマンチックに演出してくれる。季節ごとに果物収穫体験やイチゴ狩りもできるようになっており、経営的にも順調であると報じられている。

 何が一番変わったかといえば、公共施設の維持管理・観客管理型の運営から徹底した「まずお客様を呼び込む」「お客様に楽しんでいただく」の観客主体の集客・観楽型へ管理・運営の大転換が図られていることである。

 

新生「はままつフラワーパーク」

  はままつフラワーパークにも新しい時代が到来し、「市民が訪れ、楽しんでいただく」独創的な取り組みが進んでいると見受けた。 

 それは、新理事長に 塚本こなみ さんが就任され、新しい発想で取り組んいることである。

    それは入場料への取り組み、集客の対応等園内を散策して強く実感した。
 私は直接の面識はないが、塚本さんは、浜松市在住、造園家と結婚し、造園について学んでいくうちに樹木に興味を持ち、平成4年に女性として日本で初めて樹木医試験に合格。平成8年にあしかがフラワーパーク( 栃木県足利市)で大藤の移植. を手がけ、成功。平成11 年、同フラワーパークの園長に就任。 平成23 年から浜松市やらまいか大使に就任。

 平成25 年4月㈶浜松市フラワー・フルーツパーク公社理事長に就任された。

 当時の新聞報道や会見記等を読むと、広大な園内に3000種もの草花が咲き誇るはままつフラワーも34年を経て、来園者数の減少や施設の老朽化など多くの問題を抱えている。

 財政的にも赤字運営を解消し、経営者的な発想で、こうした問題に積極的に取り組んでいるといわれている。

    来園者を集める、来園者を増やすことができれば、自然に財務面は豊かになり、施設の改修、内容の充実につなげることができる。

    古来、兵法と同じ、周到に練りに練った優れた戦略と意表を突く戦術がなけれは、戦勝なし。

     総指揮官の元で組織が、一丸となって、「日本一」、「集客・歓楽・満足」に英知を絞り、この難局を乗り切り、花を咲かせて欲しいものである。

 

地形を最大限活用した策案

    人が集まるのは、「話題性」と「そこでしか味わえない、見られない、聴けない、触れられない感動」があるからである。ありふれたどこにでもある総花的な策案は効果がない。

    人には他人よりも早く行って観ないと損をする、遅れをとりたくないという感情・心理がある。

 園内を回ってみて、実によく配置され、なるほどと納得するものが多くある。地形の利用・活用がすばらしい。

    たが、いくら納得しても、もう一度行きたい、季節ごとに訪れてみたいという気持ちにさせる「持続性」なければ、安定的な運営基盤につながらない。

 はままつフラワーパークの最大の利点は、平坦地ではなく、山と谷間の自然の地形を有していることである。  

    太古から山があれば、堅固な城を築き外敵を防いだように、山・台地・高台を制して、谷・川を利用して生活を豊かにした。そこには人の知恵が生かされていた。

 はままつフラワーパークにとって、入園して対面するのは広大な三次元の世界・空間があり、正面に実によく目に入る斜面が備わっている。大噴水の水場をはさんで斜面に動物たちが描かれている。

  全国的にもこれだけの高低差があり、広大な斜面・しかも二面を有するところは少ない。本当に優れた地形である。入口の南面を観客席とすれば、対面の空間と北面は実に壮大な舞台がある。

    単に植物を利用したものだけではなく、現代の光学的なもの、楽器のメッカの特性を活かした音響その他を取り入れて、「昼間の部と夜の部の演出」「見せる」「魅せる」「聴かせる」「感動を呼ぶ」「驚嘆させる」 につながるアイディアを取り入れれば、観光資源として有効ではなかろうか。どんどん集客できれば、諸問題の解決に結びついていく。

    こうした観点でみると、自然が提供してくれている環境資源をまだまだ活用し切っていないように思え、惜しまれる。 

   全国ではままつフラワーパークにしかないもの、追従ができないものを一つ持つことである。

   はままつフラワーパークのもつこの地形こそ、最大の誇れる市民財産であり、勝負をする最大の武器であることを再認識するべきではなかろうか。

  世の中は広い、その具現に当たってはその道の専門家も多いものだ。一時的な策案ではなく、はままつフラワーパークに期待するものは何なのか、先に取り上げた空間と斜面の活用だけではなく、「子供、若者の声」を生かすことができれば将来明るい展望が開けてくるに違いない。

  私も、しばしば同期生会等で館山寺温泉に宿泊することがあるが、はままつフラワーパークとの連結が薄いように感じる。はままつフラワーパークに「全国に誇れる自慢の物」を作り出せれるかどうかは、将来の館山寺温泉の発展維持、地域振興につながる問題であるように思う。