元自衛官の時想(132) 第5波への対処・ワクチン接種の推進とデルタ株への危機意識の高揚

 新型コロナウイルスは、7月29日に国内で新たに確認された感染者が10,692人と初めて1万人を越えて最多を更新した。依然として非常事態である。緊急事態というより非常事態と言える。

 全国的な急速な感染拡大と重症化するデルタ株(インド)の蔓延状況から第5波に突入したと思われる。

メディアは次の通り報じた。

     東京都の新たな感染者が7月28日に続き、29日も3865人となり、過去最多を更新した。都は29日、新型コロナウイルス対応のモニタリング会議を開き、1日あたりの新規感染者数(1週間平均)が8月11日に4532人に達するとの試算を公表。都内の感染状況について、「爆発的な感染拡大に向かっている」(専門家)と危機感を露にした。

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は7月29日、参院内閣委員会の閉会中審査で、首都圏を中心とした全国的な感染拡大についてこう警告した。

 「今の最大の危機は社会一般の中で危機感が共有されてないことだ。危機感が共有されなければ、さらに感染拡大する。いずれ医療逼迫が深刻化する」

 菅義偉首相は、7月29日夕方から首相官邸で関係閣僚と対象地域などについて協議。埼玉、千葉、神奈川の首都圏3県と大阪に緊急事態宣言を再発出する方向、北海道、兵庫などへはまん延防止等重点措置を出す方向で検討している。期間は8月31日までが想定されている。

 新型コロナウイルスへの対処は、非常事態であるとの認識のもと、大戦略として全国民へのワクチン接種の完了であると強調してきたが、第5波への対処は、非常事態であるとの再認識のもと、更なるワクチン接種の推進とデルタ株に対する全国民への危機意識の高揚にあると考える。

 今や、コロナは日常化して国民の危機意識は低下している。世界の普通の国家と異なり、憲法に非常事態条項が欠落し、非常事態に強権発動ができない現状において、コロナワクチン接種の推進と危機意識の高揚が最大の決め手になるのではなかろうか。

 その成否は、最高指揮官たる内閣総理大臣をはじめとする各級のドップリーダーの断固たる決意と信念、国家の全機能を集中発揮し、できることは全て実行させる実行力にかかっている。

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