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昭和の航空自衛隊の思い出(368) 新任空曹長教育における「准空尉・空曹及び空士人事管理」講話

 平成61年(1966)12月、空幕人事課人事第2班長に補職され、63年(1988)6月末まで務めた。空幕人事課人事第2班は、班長以下8名の陣容で、航空自衛隊全般の准空尉・空曹及び空士約3万7千名の人事に関わる施策、充員・異動・昇任・昇給等の業務を担当した。 

    班長在任間、出来る限り部隊に出かけて、部隊の状況を確認するとともに、航空自衛隊の准空尉・空曹及び空士人事に関わる施策、充員・異動・昇任などについて講話することにしていた。

 空幕の班長がそこまてしなくてもという意見もあるかもしれないが、今風でいう積極的な情報の開示であった。隊員に人事施策を広く周知徹底し、人事管理の方向を理解することによって自己の目標の設定、生活設計に資するともに働き甲斐・勤務意欲の向上につなげたいという強い思いがあったからであった。

 航空自衛隊の創設時代に、空士の勤務、昇任試験、内務班長などを経験した得難い経歴を有することを誇りにしてきた。また、人事部門において、第一線隊及び各級司令部を勤務したことも自分の持ち味でもあった。

 こうしたことから、航空自衛隊全般の准空尉・空曹及び空士人事を担当する立場になったことから、出来る限り機会を見つけて、要所要所に出かけて准空尉・空曹及び空士の職務と位置づけを力説し、航空自衛隊における准空尉・空曹及び空士の役割と人的戦力における位置づけについて触れ、世界の列国軍隊と肩を並べる航空自衛隊の准空尉・空曹及び空士の資質・能力の優れた点を積極的に講話をすることにした。

     航空自衛隊の准空尉及び曹長には、明確な職務と責任、権限を与えれば指揮官の望む活躍が期待されることは、私の目標とした心から敬愛した福田正雄大先任空曹のような人材が、部隊には多くいることを見てきた。この活用が将来の航空自衛隊の最強性・柔軟性・発展性を左右する要になると確信していたからであった。

 期せずして、班長就任に当たって、先輩の人事幹部からも空幕人事第2班長として部隊への進出や持ち味を生かして空曹教育などで大いに話をするように勧められた。

 航空自衛隊は、空曹長に昇任すると、全部隊等の新任空曹長に対して、熊谷基地に所在する航空教育隊第2教育群で「新任空曹長集合教育」を行っていた。

 空幕は、空曹長の役割・地位の確立と職務遂行能力の向上から、この集合教育を極めて重視し、上級幹部の教官派遣を行っていた。班長に配置されるや、人事課を代表し、主として「准空尉・空曹及び空士人事管理」について講話をする機会をいただいた。

 毎回、約400名の航空自衛隊の人的戦力の中核となる新任空曹長を前にしての熱誠を込めて講話をしたことが思い出される。

 准曹士人事の総元締めという空幕人事第2班長の話ということでどこに行っても熱心に耳を傾けてもらった。こうした機会を与えられたことにありがたく感謝したものであった。 

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《 昭和62年当時の熊谷基地のパンフレットの抜粋 》

1 62年度第1回初任空曹長教育の講話(62.11.10)

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《 昭和62年11月10日、新任空曹長教育において、約400名の新任空曹長に対して演題「准空尉・空曹及び空士人事管理」について話をした。講話の要約資料は配付し、准空尉・空曹及び空士経歴管理基準から始まり昇任・異動など直接自分に関わることであり、食い入るように真剣に話を聴いてくれたことが強く印象に残っている。》

 

2 62年度第2回初任空曹長集合教育の講話(63.2.4)

❶ 初任空曹長集合教育の教官派遣

 当時のメモを見ると、第2回初任空曹長集合教育の教官派遣日程表に見られるように、空幕人事教育部長那須男将補、総隊防衛部長杉山蕃将補、、以下1佐が教官として派遣された。航空自衛隊がいかに空曹長の教育に力を注いだかを知ることができる。

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❷ 准空尉・空曹及び空士人事管理 

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《 航空自衛隊における空曹長の役割は、戦力の骨幹をなす航空機・ナイキ・通信電子等の運用整備技術のみならず、部隊運営・部隊運用・戦力発揮において極めて重要なものである。隊員指導・掌握の面からも准空尉・空曹長が幹部と空曹及び空士の接点に立ち自主積極的な活動が期待された。私はどこに行っても、空曹・空士と幹部を経験した立場から「上司の望む先任空曹5章」を提唱し力説した。前職の飛集団人事班長、西警団人事部長時代では、准空尉・空曹昇任者教育に力を注いだ。3術校4科長では曹長を対象とした要務教育の充実に取り組んだ経験からも新任曹長集合教育に寄せる期待は大きいかった。長年の念願であった空曹長の地位の確立と向上が一つづつ積みあげられる状況を目のあたりにして、自分の進めてきた方向に自信を持ち、将来の発展に期待を寄せた。》

 

参照  2016-03-14 昭和の航空自衛隊の思い出(258) 上司の望む先任空曹5章

 

3 先任空曹制度と准曹士先任制度 

 先任空曹制度については、昭和60年8月航空幕僚監部人事課人事第2班に配置され、61年12月准尉・空曹・空士人事を担当する人事2班長に補職されて以来、 この間、新准空尉、空曹及び空士経歴管理基準の制定に参画し、62年度から先任空曹制度の施策化と運用、幹部自衛官同様に准空尉、空曹及び空士の個人申告制度の導入と運用を推進する役目を担うことになった。この項については別項で述べることにしている。

 現在、航空自衛隊は優れた「准曹士先任制度」を設定し運用している。 「准曹士先任制度」というと、当時担当の人事第2班石田敏晴3佐の俊腕と活動が思い出される。各国の軍隊の下士官の先任制度の状況を把握するため防衛駐在官から資料収集したり、米空軍の下士官先任制度を把握するため横田基地へ派遣したりした。

 当時、外国軍隊の下士官先任制度、航空自衛隊の先任曹制度と合わせて准曹士先任制度と空曹団の結成をどのように進めたらよいか研究中であった。こうした活動の中での新任空曹長集合教育の講話であった。