がんとの闘い(32) 自分との闘い

1.入院でカッコよくなれるか

    4月13日、晴、入院3日目である。

    入院して一番の収穫は、不謹慎ながら実はダイエットができることです。どちらかと言うと、肥満タイプで恰幅のよさそうな私を見て、がんを抱えていると思う人はいない。        

    常日頃は背筋を伸ばして堂々と歩くことにしているせいか、病を知って大抵の方が怪訝な顔をする。どうしても痩せ細ってるとのイメージがあるからであろうか。

    そのような事情で、入院間は栄養管理は適切であり、私にとってはピッタリの食事内容となっている。

    普段の食事は、 出されたものは何でも感謝・感謝と美味しく食べているので、ついつい身についてくる。

    今までの入院でもそうであった。多分少し痩せたかなといった格好になるであろう。自分の弱点を補ってくれる病院食である。ありがたい。

 

2.自分で食べに行く      

    入院間、手術当日は安静だが、翌日からは医師の許可がでれば、自分で食堂(デイルーム)に出かけて食事をすることにしている。

    食堂に行っても、手術翌日だけは、お友達の器具が付いている姿なので、給食担当も見兼ねてか運んでくれることがあるが、とにかく自分でやることにしている。

   家では上げ膳据え膳であるが、入院したら、「自分でできることは自分でやる」と決めている。

   病気、とりわけ最強の敵と闘うのに体力・気力で負けてはならないと思うからである。

    人それぞれであるが、自分の足でしっかりと歩け、箸と食器を持って食べる力がある限りは、病室へ運んでもらう上げ膳据え膳ではなく、自分でやるという積極的に立ち向かう姿勢を持ち続けたい。

     かって、「甘えの構造」という本が世間を賑わした時代があった。甘えたら際限がない。がんとの闘いは自分・甘えとの闘いでもある。

 

3.既成概念を取り払う

   過去入院術後、私の予想以上に早くシャワーの許可が出るようになった。大丈夫かなぁと昔の観念から抜け出せずいたら、やって見たらなるほどと思った。それなりの防護処置を施してあるので心配することはない。

     身動き出来ないときは看護師による体拭きはありがたいが、シャワーだと、短時間に、全身を清潔に保持できるし、精神的にもさっぱりしてくるものだ。

   これらも 設備が完備した医療施設、最新の看護・医療の進歩などからくるものであろうか。どうしても過去の経験等から既成概念から抜け出せずにいるときに、これを取り払う場面に出会うことがしばしばである。

    医学の進歩も著しいが、まだまだ「がん即死」というぬぐい難い既成概念は世間一般の概念である。

    私は自分の「がんとの闘い」で必ず乗り越えられるとの固い信念で臨んでいる。

    医学の進歩により、がんに対する既成概念が取り払われる時代が到来して欲しいと切に思う。