元自衛官の時想(60) 国家としての猛暑災害への対処

1 猛暑は新しい災害の一つ であるとの認識と対処  

 今年の夏の猛暑は、夏の風物詩どころではなく、日本列島を襲う「猛暑災害」となっている。猛暑による死傷者の人数と広域の規模等から判断して、気象庁の警報発令といったレベルにとどまらず、国家として組織的な対処が必要ではなかろうかと考える。

   元自衛官としては、今年は早い時期からメディアの様々な情報から猛暑に係る兆候が読み取れて例年と異なるものを感じていた。危機管理的なカンから「これはただ事ではない」と認識するようになった。こうした危機感から「熱中症」や「猛暑災害」に係る事項をブログでも何回か取り上げるようになった。

2018-07-22  老いる時想(44) 臨機応変が求められる日常生活

 1   熱中症と行動中止の判断・決断の中で次のように述べた。

   これほど熱中症が社会の話題になった時代はないのではなかろうか。毎年、この時期になると、昔から 熱中症について一般的な注意喚起が行われてきたが、今年の場合は西日本の豪雨災害における甚大な被害と猛暑の来襲は過酷なものであり、熱中症対処について国民一人ひとりの意識が高まった。

   西日本豪雨災害を境に従前と熱中症予防・対処について国民の意識が大きく変わったのでなかろうか。それぞれが英知を絞ってこの危機を乗り越えていく必要があるではなかろうか。      

   最近は猛暑・熱中症の注意報、警報などがこまめに気象庁から発表されてる。テレビの毎時の天気予報でも熱中症についての予防を呼び掛けている。とりわけ、本日は39度予想もあり、最大級の熱中症の厳重警報が出されている。ここまでくると「新しい自然災害の一つ」とも言える。国家的・組織的な対処が必要とされてるのではなかろうか。

2 猛暑災害への認識と国家的・組織的な対処

 23日夕、気象庁は猛暑に関する記者会見で、最近の猛暑を「命の危険があるような暑さ」「一つの災害と認識している」と表明したことが報じられた。十分な観測機器を有し気象専門家を擁する国家機関の認識で重いものがある。

 お昼のNHKニュ-スは、総務庁消防庁の発表によると熱中症による搬送者は25,000人、うち65人が死亡したとのことであった。

 菅内閣官房長官は、「西日本と東日本を中心に連日、猛烈な暑さが続いていることについて、23日夜、民放のBS番組に出演し、対策は緊急の課題だとして、小中学校でのクーラー設置の補助や、夏休みの延長などを検討する考えを示しました。また外国人材の受け入れの拡大をめぐって、外食産業や製造業なども対象に加える必要があるという認識を示しました。

 さらに菅官房長官は「冬休みの期間を短くして、夏休みの期間を長くするとか、有識者から聞くなどして検討し考える必要があるだろう」と述べ、夏休みの延長なども検討する考えを示しました。」

 これを機会に、英知を結集して「猛暑災害」についての国家としての総合的な対処策を早急に確立し実行してもらいたい。地震・水害等と同じレベルで国家の対策会議の設置から警報・避難・行事の中止から農林・水産・外食・製造・運輸等の産業、生活・働き方、子供・高齢者対策など国・県・市町村レベルの対処計画が求められている。

 各政党にとっても早急に最も有効適切で実行できる政策提言が求められているのではなかろうか。こうしたときこそ対策処置で政策を競い政党の存在意義を高めることができる機会である。