老いる雑感(7)  引き際の大切さと難しさ

1.大組織における役職のバトンタッチ

 自らの出処進退は自らの決心で決め、引き際を美しく飾りたいと常々思っている。自衛隊現職時代に入間基地司令をされた白川元春将補に副官としてお仕えしたことがあった。白川司令は、その後、空将として航空幕僚副長・空幕長・統合幕僚会議議長(現統合幕僚長)を歴任されて退官された。退官されてからいろいろな役職にもつかれたが、ある歳を境にきっぱりとやめられ後輩に託された。人生の最後もしめやかに質素を旨とされた。それは見事なもので男子の美学のようなものを感じた。 

 凡人はそうはいかないが、こうした自然の薫陶の影響もあり、常に何事もけじめをつけたいと思ってきた。勤める会社を辞める時は、定年・勤務年数などの決まり通りで綺麗に退職できた。再々就職も自らの決断で打ち止めを決めた。自衛隊のOB団体の支部長などの役職も予定通り後継者を決めてバトンタッチできた。

   こうしてうまくいった背景には、バトンタッチする人材がおりかつ育成できる環境があったからだ。ありがたいこであると感謝している。 

2.地域社会における引き際の大切さと難しさ

    これに対し、地域社会においては、小さな役職といえども思い通りにはいかないことがある。これは自衛隊を退職後地域に住みお世話になる限り多少でもお役に立てばと自治会等の役を引き受けてきた。会長‣代表は組織のトップであるとともに世話役であり、諸々の調整係りのようなものである。時には事務担当であり、連絡係でもある。多様な仕事を柔軟かつ迅速に使い分けして処理することになる。 

 ただ地域社会では、自分の信条・信念にかかわらず、引き際は理屈通りに行かず難しいものがある。世間を見渡すと会長役の引き受け手がなくて組織が解散する事例が多く発生している。

 その背景には、高齢化社会が進展するにつれて、定年となっても引き続きアルバイトなどで働くケ-スが多くなっている。体力・気力もありまだまだ働ける、あるいは働かざるを得ないなどその理由は千差万別であろう。また、社会奉仕に対する意識の変化、役員に対する構成員の感謝の気持ちの希薄化などもあるかもしれない。

 このことは地域社会における自治会役員などの選考面に大きな影響を及ぼしているというよう。従来の年齢で会長等につくとすれば勤めながら会長等に就任し二つの仕事を続けていくことになる。社会の構造の変化がいろいろな面にじわじわと影響を及ぼしてきたといえるではなかろうか。

3.  ソフトランディング

 老いるということは、歳を重ねるとことである、歳を重ねるにつれて体力気力と意欲が低下してくるものだ。80歳を過ぎたたら全ての役職を辞めようと思っていたが、予定どおりいかず、そうは問屋がおろさないからだ。ぼつぼつ次の人にバトンタッチをしなければならないときがやってきている。

    若いころ飛行操縦訓練において、着陸時に、教官から操縦桿を柔らかく引いて「 ソフトランディング」「 ソフトランディング」とよく言われた。まさにこれからが人生のソフトランディングの時期になった。