昭和の航空自衛隊の思い出(242) 教育技術講話(5 ) 「ツボを押さえ、コツを教えよ」

1.教育技術課程学生に対し語りかけた短い講話「教育技術雑感」

  昭和56年8月17日~58年3月15日までの1年6ヶ月、第3術科学校第1教育部第4科長として勤務し、幹部・上級・初級人事課程、空曹要務特修課程、教育技術課程・講習及び上級空曹特別講習の教育担当の責任者となった。各課程教育は課程主任と教官が配置され教育を進める体制にあり、科長の職務は各課程主任及び教官を統括し、管理監督することにあった。

   こうした教育体制下において、科長としての担当課目のほかに、随時、教育課目の合間に当該課程の対象者に応じた内容の短いワインポイント的な講話をすることにした。

    当時のことを振り返ると、当該課程を学ぶ隊員・後輩・後継者に将来の活躍を期待して職域・職務・配置に求められる核心となるものを語りたかった。

   入隊以来、先輩たちに育てられてきた。それなりに隊務を経験してからは、職務を通じて後輩・後継者を育てることを常に心がけてきた。いつの日か教壇に立つ日があるとすれば、自分の言葉で、先輩たちから教えられ、経験したことの真髄を語り伝えたいという夢を抱いてきた。

 その内容は、自衛隊生活で経験し学んだことの中で、是非、後輩隊員・後継者に伝えたいこと、今後の勤務において迷いがあるときの道しるべとなり、職務上悩んだ時、壁にぶつかった時に参考として活かしてもらいたいことなどを自分の言葉で直接語ることにしたものであった。

   特に高邁な話でもなく、学問的なものではない。自衛隊における勤務年数と経験においては学生より数段勤務年数と多種な経験を有する先輩の立場から、教範・教程・配布資料にかかれていない事柄を中心に学生に話しかけた。

 新任教官に対する教育技術課程においては、「教育技術雑感」として7話を講話した。講話をした後、例話など省き、その日のうちに、要旨のみ印刷配布した。

2.講話その5 「ツボを押さえ、コツを教えよ 」

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    「ツボを押さえ、コツを教えよ」

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2 教育の対象者は、現場実務の実施者(担当   者)が主体であり、「実務に役立つ隊員」を養成して初めて教育任務を完了したことになる。

 実務に役立つ教育とは、教育内容が部隊等の実務と直結したものであるとともに務のツボとコツを教え学びとらせることではなかろうか。

3 教官が学生に対して、ツボを押さえて、コツを飲み込ませれば、理解が容易となり、知識・技能の修得が確実となり効率的、効果的な教育が期待できる。

 教官がツボとコツを心得た教育をすれば、理にかなった、系統だった、筋の通った教育が展開され、教育成果と教官の権威を高めることになる。

 

3 教育技術課程

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 第61教育技術課程(58.1.26~3.11・10名、前列左から教官平野定男1曹・課程主任渋田保磨1尉、第4科長濵田喜己2佐・第1教育部長濱島誠1佐・副校長山口博1佐・第2教育部長・学生隊長等、後列は学生・学生長景田宗夫・松本稔吉田茂秀‣川元吉行・友清国勝・川口忠士・長岡純一郎・梶原堅男・日野泉・内田裕昭の空曹教官  》