昭和の航空自衛隊の思い出(39) 創設期の整備学校

1. 草分け時代の整備学校

     昭和32年4月、私が着任した整備学校は昭和29年9月編成から2年半がたった時期であった。整備学校に着任して、目のあたりにしたことは、創設期の航空自衛隊だけに、航空機整備関係の教育を受けるため、毎日続々と学生要員が集結していた。教育は二部制がとられ大量の整備特技者を養成する途上にあった。

 私は、航空機計器整備員課程待ちであったが、学校本部の総務課で課程に入るまでの間、総務課でお手伝いをすることになった。しばらくして学生要員から外ずれ、正式に学校総務課員として仕事をすることになった。22歳の誕生日が近づいていた。

 

2.  創設期の浜松基地と整備学校

 当時の航空自衛隊浜松基地と整備学校はつぎのとおりであった。

 創設期の航空自衛隊

 ・昭和29年7月航空自衛隊発足   人員約6700名・航空機約150機

 ・昭和30年2月第1期公募空曹入隊

 ・昭和30年4月第1期公募新隊員入隊

 ・昭和30年5月第1期公募自衛隊生徒入隊

 ・昭和30年6月第1期公募操縦学生入隊

 

❷ 創設期の浜松基地(浜松基地ホ-ムぺ-ジから)

  浜松基地のあらまし
 浜松基地は、静岡県西部の中心的な都市、浜松市に所在します。航空自衛隊で初めて航空団が置かれるなど、航空自衛隊発祥の地としての歴史を持ってます。基地設立の頃から、パイロットや航空自衛隊の主要装備品の整備員などを教育する部隊等が置かれたことから、現在でも航空自衛隊における教育の中心地としての役割を担っています。

 歴史

  • 大正15年10月陸軍飛行第7聯隊、立川から移駐
  • 昭和08年08月浜松陸軍飛行学校設立
  • 昭和20年09月米空軍不時着飛行場として使用
  • 昭和27年10月保安隊航空学校設置(30年11月明野へ移動)
  • 昭和29年07月航空自衛隊発足、操縦学校編成(31年3月小月へ移動)
  • 昭和29年09月整備学校及び通信学校編成(34年6月それぞれ第1術科学校、第2術科学校に改称)
  • 昭和30年03月臨時教材整備隊編成(同年9月教材整備隊に改称)
  • 昭和30年09月「浜松基地」設置
  • 昭和30年09月浜松警務分遣隊新設(53年4月浜松地方警務隊に改称)
  • 昭和30月12月航空団編成
  • 昭和31年10月航空団を「第1航空団」に改称
  • 昭和32年09月浜松管制分遣隊及び浜松気象分遣隊設立(34年6月それぞれ浜松管制隊、浜松気象隊に改称)
  • 昭和33年08月浜松基地廃止、浜松南基地・浜松北基地を各設置
  • 昭和35月08月ブルーインパルス(空中機動研究班)新設(浜松北基地)
  • 昭和37年09月術科教育本部編成(浜松南基地)
  • 昭和39年12月飛行教育集団司令部、宇都宮から移駐(38年8月~)完了(浜松北基地)
  • 昭和44年01月教導高射隊編成(浜松南基地)
  • 昭和46年03月浜松救難隊編成(浜松南基地)
  • 昭和51年10月中部航空音楽隊編成(浜松南基地)
  • 昭和56年12月ブルーインパルス(戦技研究班)、松島基地へ移駐
  • 昭和60年10月第6移動警戒隊編成(浜松南基地)
  • 平成 元年03月浜松南基地・浜松北基地を統合、「浜松基地」となる。
  • 平成 元年03月飛行教育集団司令部及び術科教育本部廃止、航空教育集団新編
  • 平成10年07月教導高射隊廃止、高射教導隊新編
  • 平成11月03月警戒航空隊改編、三沢基地から浜松基地へ移駐
  • 平成11年04月航空自衛隊浜松広報館(エアーパーク)開館
  • 平成16年03月第6移動警戒隊廃止

❸ 創設期の歴代整備学校長

 整備学校は、昭和29年9月1日編成完了した。歴代学校長及び在任期間は以下のとおりであった。

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3. 整備学校の創設期の時代

 創設期の整備学校を概括すると、「昭和29年7月1日航自衛隊が創設され、隊員募集しながら保安隊等からの転換者をもって、操縦学校、幹部学校に続いて9月1日整備学校が、通信学校とともに発足した。開校時の編成は、校長以下総務部、教育部、研究部の3部制で人員は160名であった。

 教官を米留させ、その他の基幹隊員に整備教育を施しながら、教範作り、まず操縦学校等のプロペラ機整備要員260名を教育した。

 浜松基地は航空学校、操縦学校その他、多数所在し、一方、建物は古くて少なく、教場も居住施設も不足し、全員3段ベッドのすし詰めで、一部は格納庫に寝泊まりした。

 昭和30 年当地で航空団が編成された。整備学校は国産が始まったT-34、T-33並びにMSA協定によるT-6、F-86F及びⅭ-46を受領し、初級各特技の正規課程を開設し陸海自衛隊の整備員も整備学校で教育した。

 また、総務部を廃止、総務課及び学生隊を独立させて校長直轄とした。昭和31年には、上級の正規課程を増設し、この年度は早くも2,700名の学生を養成した。」と記録されている。

  

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 《 昭和32年当時 手前が2号館の整備学校 》

 

4.   現在の第1術科学校

防衛省のホ-ムぺ-ジによると、

第1術科学校

所在基地:浜松基地(静岡県)
主な任務:航空機及び航空機搭載武器等の整備に関する技術教育
  第1術科学校は、航空機の機体、エンジン、計器、油圧、搭載レーダーや誘導武器など、主に航空機関連の整備に関する教育をしています。
航空機エンジン教材による講義の様子 航空機の機体整備の様子