昭和の航空自衛隊の思い出(27)  再就職にあたっての決意

その時何を考え立ち向かったか      

    昭和の航空自衛隊の全体像を私ごときが語ることなど毛頭考えてもいないし、出来ることではない。
    大組織にあって、一隊員の勤務経験などたかがしれているが、私が歩んだ足跡を基軸に自衛官人生を綴ることはできる。
    その主点は昭和の航空自衛隊に勤務した当時を回想し、自衛官の勤務経験と生活を軸に、どのように勤務し、どんな問題と取り組み、何を考え、行動したか。どんなことに悩み、立ち向かったかなどを「昭和の航空自衛隊の思い出」として綴っている。
    「再就職にたっての決意」は、今から25・6年前の航空自衛隊の定年退官(平成2年4月)が近づいたころに記した所感である。
 自算会の採用試験を控え、心を新たにして退官後の再就職に臨む決意をまとめたものと記憶している。当時、自分の気持ちをまとめるために認めたのではないかと思われる。
 これを記したのは、自算会に的を絞って採用試験に臨む決心をしたときだったように覚えている。、特に決意したことは、新しい職場に入ったらどんなことがあっても、「自衛隊での自分自身に関することについては一切ふれない、語らない」ということであった。あくまでも自衛隊における名誉と誇りは固く自分の胸に深くしまっておくものだと考えてきた。
 「自衛隊でのことは自衛隊のときのこと」と経歴・階級・職位・取り組んだ仕事のことなど過去は一切関係なしと割り切った。きれいさっぱりと過去へのこだわりを捨て、区切りを付けた。幸い自算会に入社して、約11年間お世話になったが守り通したように思う。
 何よりも、私の期待は新しい世界で、長年の自衛隊勤務がどれだけ役立つのか、一兵卒になって全く未知の分野でどれだけのことができるのか、やってみようと決意した。言うなれば「新しいことへの挑戦」であった。
 ふり返ってみると、ごく当たり前のことを考えてやっていたのだと思った。
自算会勤務を終えて、強く印象に残っていることは、
❶調査事務所の損調職員は、過去の出身・地位・経歴等にかかわらず全員平社員から始めることであった。当時、損保・銀行・JR・自衛隊・警察・財務・林野・県庁等々のしかるべき管理職を経験し定年等で退職した人材であった。
❷各分野の専門家で豊富な管理職と社会的な経験の持ち主であったが、誰一人自慢する人はいなかった。また、損害調査業務は、各人の担当する事案が個別事案で単独・自力で処理することから独自性が高いものであった。
❸新入職員に対する損調業務の教育体制がしっかりしており、早期に一人前になれた。逐次、業務処理の機械化・コンピュ-タ-の充実が進み、精密なブログラムが組まれ改善されており、適正な損害調査・認定が進められた。 
❹調査事務所は、損調職員、課長、所長のほか一般職員から成り立っている。一番忙しいのは課長で各担当者の作業結果をチェックして決定することであった。重要な事案は所長を経て、地区本部の指導を受けた。所長は所の全般運営、地区本部への報告連絡と対外的業務処理であった。
❺奇しくも、損調職員としては、一般・後遺障害・医療調調査の全部を経験し、課長は一般調査課・後遺障害認定・医療調査課、所長は静岡・浜松の二か所で勤務することができた。至らない点が多かったが、自分なりに思い切り仕事ができ、楽しく過ごせた。
 
 次回からは、空士長で操縦学生を免となって、新天地での浜松からの歩みから綴ることにしたい。
 
「再就職にたっての決意」
1.過去のことはいっさい胸にしまって新しい分野で活動する。
  再就職は、定年により新しい世界へ踏み出すことである。永年の自衛隊勤務を卒業し、次の新しい人生への出発であり挑戦である。
 そのためには、過去の栄光や思い出は一切胸にしまって、新しい職場・環境、人間関係に溶け込み、組織の一員となり、仕事を通じて社会に貢献したい。
 
2.新しい職場で新たなる働き甲斐を見つける。
 人生にとって、生き甲斐・働き甲斐は必須である。働き甲斐は仕事を通して満足することである。自算会の仕事は、自賠責保険損害調査が主体であり、公共的・社会的な業務である。車社会に貢献する働き甲斐のある職場と確信する。
 新たな仕事と人との出会いが、私の前に大きく広がるように思えてならない。このためには、
❶どんなときでも前向きに考える。
❷誠実を基本に人間関係を保つ。
❸積極的に物事に取り組む。
 
3.充実した家庭と健康管理により豊かな人生基盤づくりに努める。
  家庭と健康は、仕事の基盤をなすものである。家庭を大切にし、健康の維持・増進に努めていきたい。
 

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《 調査事務所長在任間は、毎月1回以上部外の講師等として招かれ「自賠責保険について」講演した。静岡県市町村国保担当者に対する《国保第三者行為求償事務研修会の講演 》