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昭和の航空自衛隊の思い出(414) 空幕人事第2班長職の総括(4)准空尉、空曹及び空士個人申告制度の導入と定着化及び運用の推進

3.  准尉、空曹及び空士個人申告制度の導入と定着化、運用の推進

❶ 自衛官の個人申告制度 

 空幕人事課勤務において、思い出深い一つに人事第2班長として、長年胸に秘めた准空尉、空曹及び空士の個人申告制度を昭和62年度から導入し、運用することができたことであった。

 第一線部隊人事班長時代から「幹部自衛官の申告制度」は早くから制定されており、その運用は定着し、幹部自衛官の経歴管理・人事管理に資するものがあった。

 部隊おいては、個人申告内容は人事幕僚としていろいろな形にまとめてあらゆる機会に指揮官に活用してもらえるように試みてきた。したがって、個人申告制度の有効性については自信を持っていたことから、申告をする幹部に対して、申告後の各級指揮官の活用についてその意義と活用方法を説いてきたものであった。

 民間企業等における申告制度についても、若い時代から資料収集し調査研究してきたので、人事幹部になりたてのころから自衛隊における個人申告制度の導入の必要性を論じてきた。

 こうした背景のもと、現場及び各級司令部の人事幕僚の勤務を通じて、准空尉、空曹及び空士の個人申告制度の導入の必要性を強く感じてきた。人事班長・人事 部長時代には独自にそれに類する事を試行したりもした。

    このブログを機会に手持ちのメモ資料を調べてみたら、南西航空混成団司令部がライフサイクルを中心とした自衛官生活設計を試行する計画が綴られていた。期せずして、同じような試みを部隊等の人事部門は実施していたのである。

❷ 曹士個人申告制度の導入の趣旨

 個人申告は、隊員の経歴管理に必要な事項・家族、身体及び資格免許等の取得状況、将来設計を考慮した異動、特技変更又は拡大、入校等についての希望、過去1年間の業績評価及び将来設計(ライフサイクル計画)を申告させ、人事管理に資することにあった。

 特に、異動管理に当たっては、任務上の要求に個人の希望を可能な限り取り入れ、異動管理を適切にし、任務遂行にまい進できる態勢を作り上げることにあった。

❸ 個人申告に、将来設計を採り入れた

 個人申告に、特に将来設計を採り入れたことは画期的なことであった。自衛官も独身から家庭を持って生活することになる。異動管理においては隊員個人の将来設計を考慮したきめ細かな配慮が必要である。

 とりわけ、航空自衛隊の部隊等は、全国各地に配置されているとともに任務の特性から離島やへき地に位置した部隊が多い。これらの部隊は多くは勤務及び生活環境が他の部隊に比較して厳しい条件下にある。

 航空自衛隊の任務遂行のためには所要の人員を充足する必要があり、かつ勤務環境の公平化、異動負担の均衡化を図る見地から所定の期間を勤務した隊員の異動交流を図る必要があった。

 個人の将来設計と異動をどのように組み合わせるか、難しい課題ではあったが積極的に取り組むこととした。前任地の西部航空警戒管制団司令部人事部長として精魂を込めて取り組んだ課題は、離島等に勤務する隊員の異動交流であった。将来への生活設計が成り立ち安心して勤務できる体制の確立であった。

❸ 個人申告を空士に採り入れた

 自衛隊は他の集団と異なり若人の集団である。これら青年隊員は航空自衛隊にとってなくてはならない存在であり、将来、人的戦力の中核となる空曹要員の母体である。社会的経験は浅いが前途有為な青年であり、航空自衛隊に限りなき夢と希望を託して志願入隊した青年である。

 空士の描く夢と希望を実現させるためには隊員個々にしっかりとした将来設計を立てさせ、目標に向かって努力をする必要がある。

 具体的な目標としては、特技能力・レベルの修得向上、資格免許の取得、継続任用、任期満了退職の進路選択、3曹昇任受験準備と挑戦、結婚への準備等があげられるが、各自が具体的な目標を設定することにあった。

 各級指揮官には、隊員個々の目標達成のために、空士の段階は成長過程にあることを認識し、自衛官及び社会人として立派に育成しようとする確固たる信念、情熱と愛情をもって助言指導することを求めた。

❹ 個人申告制度の導入に寄せた思い 

 私は、空士、3曹昇任試験、空曹、部内幹部候補生試験と歩んできただけに、この准空尉、空曹及び空士個人申告制度の導入と定着化、運用の推進には、主管班長として特別な思いがあった。

 航空自衛隊は、隊員個々の夢をはぐくむ組織であり、青年隊員を育成する場でもあると考えていた。自衛隊が国民から負託されたわが国の平和と独立を守る使命を遂行するためにはどんな任務でもやり遂げる精強な部隊づくりが必要である。部隊運用の要となるものは、人・隊員であり、指揮統率の基盤をなすものは優れた人事管理である。

 人事管理において、上からの目線だけではなく、下からの目線・横からの目線が個人申告であった。隊員個人が将来設計に向かって精進するとともに各級指揮官が有効適切に運用できれば航空自衛隊の人事管理は一層充実するであろうと思ったものである。

 准曹士に関わる人事施策・人事管理を担当する班長職に配置されて発議し実現することができた。人事第2班長職の重責を担うとともに導入に当たって関係部署から積極的な協力支援を受けたことに感謝した。

 

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《 准空尉、空曹及び空士個人申告の様式 》

 

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《 昭和の時代の隊員の経歴管理とライフサイクル 》