昭和の航空自衛隊の思い出(389) 昭和62年改正の准空尉、空曹及び空士自衛官経歴管理基準(7)・異動管理② 異動者の選考等 

1. 昭和62年改正の准空尉、空曹及び空士自衛官経歴管理基準・ ダイジェスト版について

    昭和62年(1987)3月に、航空幕僚長から通達された経歴管理基準をいかに具現化し、有効に運用するかは実人員を担当する空幕人事第2班の役目であった。

     単なる通達でなく、そこに命を宿させ、准空尉、空曹及び空士自衛官の経歴管理のねらいと基準を定着させるように、特に各級指揮官及び准空尉及び空曹に周知徹底することに努めた。

    そのためにはどのような手段方法があるか検討した結果、硬い通達文面のみではなく、要点とポンチ絵的なものを入れたりして視覚に訴えることに着目して、関心と理解を容易にしようとの考えから、航空自衛隊で屈指のマンガが得意の山本茂雄1佐にお願いしてイラストを描いていただいた。

    当時、マンガは時代の流行として定着しており、班員が知恵を絞って編集したものである。今まで通達の趣旨、内容をダイジェスト版として、これほどイラストを取り入れたものはなかったので画期的なことであった。   

 初任空曹長集合教育での配布はもとより、全国の編制単位部隊以下まで配布し、隊員が身近に手にすることができるように努めた。この種のもので、これほど多くの隊員に読まれたものはなかったと自負している。     

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 《  昭和62年改正の准空尉、空曹及び空士自衛官経歴管理基準・ ダイジェスト版の表紙、このイラストは実によく経歴管理のねらいを表しており、あらゆる場所での説明・講話で使わせてもらった。》

 

2.昭和62年改正の准空尉、空曹及び空士自衛官経歴管理基準・ ダイジェスト版(6)・異動管理② 異動者の選考等

 

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 3.30年後の所感

 異動者の選考等と各種異動の推進

 航空自衛隊には、任務遂行上の多種な異動区分がありそれぞれに大きな特性があった。どうしても異動件数が多い沖縄交流などの異動が中心となるが、僻地の離島サイト、硫黄島交流は異動件数は少ないが、勤務環境は厳しく一定期間勤務したら円滑に交代するサイクルを確立する必要があった。

    創設期には、任免権者の方面隊レベル内で解決できた異動管理が、沖縄交流を契機に、各種異動区分と異動件数の増加によって、全国の部隊・機関を対象とした広域の異動管理無くして解決できない時代となっていったのである。従前方式から新しい異動方式へと転換しつつあった。

 人生至る所に青山ありであるが、困難な勤務地への適任の交代者の人選は指揮官にとって最も悩むところであった。これと並行して、どんなに勤務環境が厳しい勤務であっても、見事にその任務を果たした隊員を希望する勤務地に異動できるようにすることが重要であった。各種異動交流においては、「異動交流の良循環」を着実に推進して定着させることに努めた。

 このためには、こうした全国規模の広域の異動管理の課題こそ、中央部の人事施策によって解決することが必要であった。空幕班長として主導性を発揮して関係先との調整を密にして、各種異動交流を強力に推進することに努力を傾注した。

 その道筋をつけるための原動力となった新しい方式は、年度充員計画業務講習において全国の部隊・機関の人事担当者を一堂に集合させ、事前の周到な準備のもとに空幕人事第2班が主導してあらかじめ次年度の異動候補者名簿に希望勤務地など所要の内容を盛り込んだものを作成し、これを基に異動候補者の受け入れ先・差出先を決めていく「個別・集中調整方式」を取り入れた。毎回、各種異動交流を推進するきわめて有効な方策であったと思う。

 それまで空幕と任免権者の相互の調整に時間がかかり、困難を極めた異動交流の調整を空幕人事第2班の主導で、短時間でまとめ上げ充員計画・異動計画に計上し、実行することができたことが強く記憶に残っている。