昭和の航空自衛隊の思い出(241) 教育技術講話(4 ) 「教育に対する情熱・意欲と喜び」

1.教育技術課程学生に対し語りかけた短い講話「教育技術雑感」

 昭和56年8月17日~58年3月15日までの1年6ヶ月、第3術科学校第1教育部第4科長として勤務し、幹部・上級・初級人事課程、空曹要務特修課程、教育技術課程・講習及び上級空曹特別講習の教育担当の責任者となった。各課程教育は課程主任と教官が配置され教育を進める体制にあり、科長の職務は各課程主任及び教官を統括し、管理監督することにあった。

   こうした教育体制下において、科長としての担当課目のほかに、随時、教育課目の合間に当該課程の対象者に応じた内容の短いワインポイント的な講話をすることにした。

    当時のことを振り返ると、当該課程を学ぶ隊員・後輩・後継者に将来の活躍を期待して職域・職務・配置に求められる核心となるものを語りたかった。

   入隊以来、先輩たちに育てられてきた。それなりに隊務を経験してからは、職務を通じて後輩・後継者を育てることを常に心がけてきた。いつの日か教壇に立つ日があるとすれば、自分の言葉で、先輩たちから教えられ、経験したことの真髄を語り伝えたいという夢を抱いてきた。

 その内容は、自衛隊生活で経験し学んだことの中で、是非、後輩隊員・後継者に伝えたいこと、今後の勤務において迷いがあるときの道しるべとなり、職務上悩んだとき、壁にぶつかった時に参考として活かしてもらいたいことなどを自分の言葉で直接語ることにしたものであった。

   特に高邁な話でもなく、学問的なものではない。自衛隊における勤務年数と経験においては学生より数段勤務年数と多種な経験を有する先輩の立場から、教範・教程・配布資料にかかれていない事柄を中心に学生に話しかけた。

 新任教官に対する教育技術課程においては、「教育技術雑感」として7話を講話した。講話をした後、例話など省き、その日のうちに、要旨のみ印刷配布した。

2.講話その4 「教育に対する情熱・意欲と喜び 」

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   「教育に対する情熱・意欲と喜び」

1 教育とは、文字どおり教え育てることである。特技職における専門的知識、技能及び精神を教え育み、「部隊等で真に役立つ隊員」を養成するにある。

2 術科教育には、航空自衛隊の明日を担う後継者を育成する使命があり、これほど限りない夢とロマンのある仕事はないではなかろうか。      

   そこには、教え育てる情熱や意欲があればあるほど手答えがあり、教える喜び、育てる喜びがある。

3 情熱や意欲は感情であり、不変ではない。教育に従事する者は、いつも自分の胸に手を当てて教官として教育に対する情熱、意欲や喜びの度合いをはからなければならない。

    若し、情熱、意欲や喜びが感じられなくなったら自らその配置を退くべきであろう。それほど教育は厳しいものである。 

3 教育技術課程学生  

f:id:y_hamada:20160213170938j:plain《 第67期教育技術課程 s57.5.12~6.29・8名、前列左から教官平野定男1曹・課程主任渋田保磨1尉・4科先任幹部野中宏之3佐・副校長桐山敏生1佐・学校長福岡靖也将補・第1教育部長濱島誠1佐、教務課長佐藤達雄1佐・学生隊隊長等、後列は学生・学生長守屋啓1尉・大友正雄2尉・後藤和信2尉・中山博2尉・中山孝2尉・村中準之助3尉・東輝明3尉・吉田功事務官 》

4.学生8人の横顔 (教官の寸評) 

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《 卒業にあたって、課程主任から各人の横顔を贈った。それぞれの人なりがよく出ていて喜ばれた。》