1.自衛官人生の様々な進路の選択
私は、自衛官として、陸上と航空自衛隊、新隊員・操縦学生・一般空士及び空曹・一般幹部候補生(部内)・部内出身幹部、要撃管制等作戦運用部門と人事総務等後方管理部門、レ-ダ-サイト等一線部隊・各級司令部・学校・空幕等、階級は2士から1佐まで、各種の勤務経験をしてみて、自衛官の生き方、生活はさまざまであり、どのように進むかはその人の人生観によるところが大きいと思った。また、その生き方は自分の生まれ育った環境、自衛隊における勤務環境や上官・同僚・部下との関係、家族、個人の資質能力などに影響、左右されるものがあるように思える。
自衛官生活で、目指す最終目標を幹部自衛官として活躍するか、准尉・曹長になって准曹士先任・先任伍長・職域技能の神様的存在として活躍するかの二つの大きな選択がある。
どの道も選んだとしても、自衛隊の各種任務の遂行を通じて国家・國民にご奉公することに変わりはない。
自衛官には、階級、職位、職務に違いはあっても、与えられた職務と責任を誠実に果たすことが求められており、そこには貴賎や価値の差があるわけではない。いずれを選ぶにしても、自分の歩んできた道に終生誇りを持っているかどうかではなかろうか。
私は、自分が歩んだ幹部自衛官を志すもよし、一方、私が35年余の自衛隊生活で最も尊敬した福田正雄先任空曹(現在でいえば准曹士先任)を目指すもよし、己の信念と考えで選択すれば良いのでなかろうかと思っている。
自衛隊組織がその実力を発揮するためには、どにらも必要不可欠な人材である。組織を構成する隊員が自分の職務と責任を遂行して任務を完遂することができる。
ここでは、主題を部内幹部への道に絞っていきたい。
2.幹部自衛官への様々な道
自衛隊で幹部自衛官を志すには様々な道がある。詳しくは防衛省・地方協力本部等のホ-ムぺ-ジ等で各種の採用・募集について示されている。
また、市販の自衛隊関係の受験参考書に詳しく記述されているものがあるので省略する。
法令面では、防衛庁訓令第63号・昭和33年7月23日「幹部候補者たる自衛官の任用等に関する訓令」に任用等に関する基本的事項が規定されている。これらはインタ-ネットでも見ることができる。
幹部候補者たる自衛官の任用等の主要点は、幹部候補者の種類、年齢の範囲、一般幹部候補生・医科幹部候補生・歯科幹部候補生・薬剤幹部候補生及び飛行幹部候補生の細部規定、任命権者、試験、教育訓練、幹部勤務、昇任などが定められている。
3. 操縦幹部への志が破れ部内幹部への道を選択
一般隊員から部内の選抜試験を受けて、幹部へ進む道については、当事者であった者が語ったものは少なく、詳しく触れられていない面があるので、OBの立場から思い出を含めて取り上げることにした。
❶ 部内から選抜された一般幹部候補生の任免
部内から選抜試験に合格した一般幹部候補生については、前述の防衛庁訓令第63号・昭和33年7月23日「幹部候補者たる自衛官の任用等に関する訓令」に「一般幹部候補生」の中の一つとしてその任用等が規定されている。
❷ 部内の選抜試験の受験資格
「部内幹部候補生選抜試験の受験資格」については、防衛庁訓令第63号・昭和33年7月23日「幹部候補者たる自衛官の任用等に関する訓令」の(一般幹部候補生)の関連条文の項第4条に規定されている。
第4条 次の各号の1に該当する年齢36歳未満の者で、勤務成績が優良であり、かつ、部内選抜試験に合格したものは、第1号に該当する者についてはそれぞれ当該階級において、第2号から第4号までに該当する者についてはそれぞれ陸曹長、海曹長又は空曹長に昇任させ、一般幹部候補生を命ずる。
(1) 陸曹長、海曹長又は空曹長たる自衛官
(2) 1等陸曹、1等海曹又は1等空曹たる自衛官
(3) 2等陸曹、2等海曹又は2等空曹に任用後1年を経過した自衛官
(4) 前各号に定めるもののほか、陸曹、海曹又は空曹に任用後4年を経過した年齢25歳以上の自衛官
【 訓令の主要点】は、
幹部候補生の部内選抜試験の受験資格は、36歳未満であること。(つまり35歳が上限)、勤務成績が優良であること、3等陸・海・空曹に昇任後は4年経過で25歳以上であること。一般幹部候補生に任命されたら、3曹・2曹・1曹も曹長に昇任することになる。