自治会活動(10)  神原町まちづくりに関する事項の経緯及び活動等の成果

1.自衛隊各地の勤務を通じて培ったまちづくり発想の原点

 昭和30年初頭陸上自衛隊入隊、同年6月航空自衛隊第1期操縦学生として出発、様々な職種・陸の普通科(歩兵)、総務人事・教育訓練等の管理部門、要撃管制の運用部門の経験、自衛隊内の学校は各種の英語・操縦学生基礎課程・初級操縦・空曹課程・幹部課程・幹部普通課程・指揮幕僚課程と学び、作戦部隊は小隊・隊・群・団・各級団・方面隊・総隊の各司令部・教育部隊は術科学校・飛行教育集団司令部、航空自衛隊調査隊・航空幕僚監部と全国各地を勤務した。創設期の部隊建設にも従事した。

 この35年間の勤務を通じての経験は貴重なものであった。自衛隊で育ててもらった感謝の念は強かった。

 退官していつの日か地域社会に定住するようになれば、こうした経験が役立つとすれば役立てたいと思っていた。そのきっかけは小松基地勤務当時の「十年会」とのかかわりであった。官舎地区の野立町町内会の副会長をやった当時の町の人々との交流・経験・感動といったものが、各地に勤務した土地の人情に触れ自治会・町内会の役割や実情に触れて、いつの間にか「まちづくり」に関心を持つようになった。

  

2. まちづくりに取り組んだわが戦略・戦術

 自衛隊式にいうなれば、まちづくりにあたっては、しっかりとした戦略・戦術が必要であった。この戦略・戦術を練る期間は自治会副会長の2年間であった。

 平成15年4月神原町自治会副会長に推薦され就任した。2年後の17年4月には次期自治会長が予定されていたので、この準備期間を最大限活用して「まちづくり」に関する資料収集・整理分析・研究をした。机上の空論ではなく、私なりの「図上演習」を繰り返して大きな方向性を確信しデザインを描くに至ったのである。

 それは、まちづくりの目的・ねらいをどこにおくのか、自治会総会に諮る時期・事業計画の方針にどのように織り込むのか、どんな委員会方式で取り上げていくのか、まちづくり委員会の構成・委員の選定・運営要領はどうするか、どんな方法で町民の声・要望を吸い上げ把握するのか。どんな手段が最も有効で効率的であるのか、集めた町民の声・要望をどのように整理集約するのか、数多い意見・要望をまちづくりにいかに具現化していくのか等々であった。

 したがって、平成17年4月自治会長就任後は、2か年練ってきたわが戦略・戦術をもって対処することにした。

 

3.まちづくりの声・要望の収集・集約

 人はその町に住み生活をするといろいろとまちづくりに関して意見を持っているものである。その声を上げる機会がないだけである。その多くは普段の自治会活動・事業で取り上げられて解決されていくが、少し大きな問題となると最初からあきらめてしまうことがある。

 今回のまちづくり委員会で取り上げてもらいたいとする町民の声・要望は、全町民を対象としたところに特色がある。意見というものはなかなか記入してもらえないものである。本当は意見があっても記入して出すのはめんどくさいなど、いろいろあったであろうが、期待した以上に多くの声・要望が寄せられた。ありがたかった。

 町内には各種団体がある。婦人会、子ども会、シニアクラブ、祭り青年等から集める方法もあった。今後の課題であろう。かなり広報に努めたつもりであるが、まちづくりの考え・発想をいっぺんに周知することは 困難であった。至らない点が多々あったがやり直しがきかないのが世の中である。

 

4.まちづくり委員会の活動状況の広報

 まちづくりに取り組むにあたって、町民への情報提供、特に街づくり委員会の活動状況、町民から出された意見・要望がどのように処理されているかこまめに、丁寧に「自治会だより」を毎月発行して全所帯に一部づつ配付した。

 これだけの情報社会であるだけに、「自治会だより」はタイムリ-に進捗状況を知らせることができた。これも副会長の準備期間に構想を練って、会長就任とともに実行した。大変な作業であったが楽しくやることができた。

 どの組織でもそうであるが、町内の情報・自治会にかかわる事柄は自治会長のもとにすべて上がってくる。言うなれば「町の情報中枢」でもある。街灯の電気が切れた、ネコ・犬が惹かれて死んでいる、水道が破裂した、道路に穴が開いた、町民の逝去・葬式の日取りなどそれこそピンからキリまで毎日である。

 日常における広報活動が、まちづくりに欠かせない一体のものであることを再認識した。

 

5.神原町まちづくりに関する事項の経緯及び活動等の経過

 浜松市西区神原町自治会における「まちづくり」活動を紹介してきた。平成17年3月から3カ年の活動の記録である。

   主として「まちづくり委員会」が中心となって実施した活動をまとめたものである。

神原町まちづくりに関する事項の経緯及び活動等の経過」はつぎの通りである。

    振り返ってみると、一つの小さな町・自治会のまちづくり活動の記録であるが、町民の総力を結集すれば、かなりのことが「やれること」ことが分かった。

   問題が大きければ大きいほど、自分たちの自治会だけでは問題を解決できないこともよく分かった。浜松市役所・行政の力を借りて実現する事項も多かった。まさに「協働」の理念の重要性を知ることとなった。

 

(1) 平成17年3月~同年12月

  平成16年度自治会通常総会で「平成17年度事業計画」を承認、神原町誕生50周年を節目に、将来計画「まちづくりプラン」を作成するため、「まちづくり委員会」を立ち上げることを決定した。

 「神原町まちづくり委員会の設置及び運営要領」「委員の委嘱」を経て、9月11日第1回まちづくり委員会が行われた。

 ついで全町民を対象とした「第1回アンケ-ト調調査」が実施され、町民意見の整理・集約が行われた。これにより、委員会で取り上げる主要テ-マが決まり、検討部会の設置が行われた。

 全町民を対象としたこの種の調査が行われたことは画期的な出来事であった。「どんなまちにしたいか、委員会でとりあげてたらよいと思うテ-マ」について、全戸会員369、回答意見は311件あり、町民が最も取り上げてほしい内容は即町民の願望でもあった。

 感動したのは、神原町がこうあってほしいとするデザイン・絵にかいて提出される方もあったことである。今後50年、100年後に再びそのアンケ-トを読みなししてみたらどうなっているであろうか。

 まちづくり委員会が取り組んだ経過等場所類及びDVDに記録保存されている。 

 

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(2) 平成18年2月~ 同年7月

 ちづくり委員会は、毎月1回開催されて第8回に及び「まちづくり構想案」ができてきた。

平成18年3月の平成17年度自治会通常総会においても、神原町まちづくり委員会の活動状況」が報告され了承された。班長会も適宜開催されその都度進捗状況が報告了承された。

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 (3)平成18年7月~同年11月

  まちづくり委員会の活動が活発に行われ、健康広場場の設置について、市当局と折衝し申請書を揚げる段階に至った。また、特定事項について全町民対象の第2回アンケ-ト調査が実施された。

 

 

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( 4) 平成18年11月~19同年1月

  まちづくり委員会は、「町の花」「農園」「凧揚げ会」の専門部会に移行し、検討会が行われた。また、全町民をた対象とした第3回のアン家アンケ-ト調査が行われた。

 

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( 5) 平成19年1月~同年3月25日

 主として専門部会における検討会が行われた。「町の花」「健康農園」お囃子保存会」については構想案が出来上がるところまで進んだ。

「凧揚げ調査研究・検討会」は、かなり研究が進んだが、さらに検討を要する内容であることから保留となった。

 

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 次回は、自治会総会で報告承認された「神原町まちづくり構想」を紹介する。