シニアクラブ(117)   次年度役員及び活動計画構想固めと神原会会報の発行配布

   新年度が近づくにつれて、どの組織でも一番の課題は役員と活動計画構想固めである。2月の定例会で構想案を説明し大方の了解を得ることが出来た。とりわけ役員人事に関することは高齢者になればなるほど難しいものであるからである。多くのシニアクラブでも会長等役員のなり手がなくて解散した事例が発生している。いったん解散した組織を再興するには、爆発的なエネルギ-と強力な推進指導力を持ったリ-ダ-を必要としている。

 神原会の情報連絡紙を発行し、全会員に配布した。3月の総会案内と2月定例会・ゲ-ム大会を中心とした内容にした。

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神原町花の会(花美原会)(319) 平成29年度第20回浜松市花と緑のコンク-ルの表彰と講演等

   2月22日、第10回浜松市公共花壇フォ-ラムが可美公園総合センタ-行われた、当会は会長、副会長、会計等4名が参加した。

 フォ-ラムは、浜松市鈴木康友氏及び浜松花と緑の連絡協議会長野尻啓子氏の挨拶、来賓紹介の後、 平成29年度第20回浜松市花と緑のコンク-ルの表彰・講評、基調講演・「もっとキレイに咲かせたい・土と花の話」講師外山悟一氏及び事例発表・「水窪花の会」、「町の花づくりグル-プ蒲」の各代表が活動状況を発表された。

 神原町花の会(花美原会)は、地域の部で優秀賞を受賞しました。会員はもとより自治会並びに町民の皆様のご理解とご協力に深謝いたします。

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 《 開催挨拶にあたり、浜松市鈴木康友氏が浜松市における花と緑の活動の意義と成果を強調された。》

1 平成29年度第20回浜松市花と緑のコンク-ルの概要

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2 神原町花の会(花美原会)地域の部で優秀賞を受賞

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 《 神原町花の会(花美原会)は、地域の部で優秀賞を受賞した。》

 

   浜松市花と緑のコンク-ルにおける神原町花の会(花美原会)受賞歴

      応募回数及び年度

                       過去の受賞年度及び受賞内容

 平成19年「神原町まち  

 づくり構想」に基づき 

 「花と緑いっぱい区域」 

 を開設、翌年から応募

 10

 20年~29年

 

 

 地域の部

 20年優良賞、23年努力賞、24年企画賞、25年優秀賞、

 26年最優秀賞、27年最優秀賞

 平成27年度浜松市花と緑のまちづくり功労団体として表彰

 28年優秀賞、 29年優秀賞

 

3 基調講演・「もっとキレイに咲かせたい・土と花の話」講師外山悟一氏 

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《 基調講演・「もっとキレイに咲かせたい・土と花の話」講師外山悟一氏 の土づくりを中心とした話は 説得力のある貴重な役立つ内容であった。》       

 

4  事例発表・活動状況

 二つの会の素晴らしい活動状況が報告された。長年にわたって継続して活動を続けてこられたことに敬服した。

❶ 水窪花の会

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❷ 町の花づくりグル-プ蒲

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わが神久呂  地域におけるあいさつ運動と子ども達の標語

  昨年11月10日は、浜松市一斉の「ひとりひとりにいい声かけデ-」であった。

神久呂中学校区青少年健全育成会(神久呂の子をよくする会」は、「あいさつ運動」として実施した。健全育成会・教職員・保護者が一緒になって、神久呂小学校正門、神久呂中学校正門・南門、神久呂幼稚園、神田原保育園において、大勢が参加して「あいさつ」を交わした。

 私も自治会副会長・会長及びシニアクラブ会長として、長らく健全育成会の一員としてこの運動に参加してきた。地域社会における「あいさつ運動」は素晴らしい活動である。

 「あいさつ運動」の一環として、あいさつ標語の優秀作品が発表された。園・小学校・中学校の各学年一点、標語の一つ一つを見ていくと微笑みが浮かぶものがある。

あいさつは、こどもも大人も同じである。自分から相手より先に挨拶をすると気分は爽やかである。 

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《 神久呂のみんなが手をつなぐ、すばらしい「かくろ」を表現している絵である。》

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 《 平成29年度神久呂中学校区あいさつ標語 優秀作品 》 

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《 平成29年11月10日朝、神久呂小学校正門でのあいさつ運動 》 

元自衛官の時想( 41 )   平成29年度政策提言書に寄せて(4) 3 日米共同防衛・国際共同行動の実効性の確保

    平成29年11月.公益社団法人隊友会」、公益財団法人「偕行社」、公益財団法人「水交会」及び航空自衛隊退職者団体「つばさ会」の4団体が合同して作成された「平成29年度政策提言書」が発表された。

 この提言書は、長年にわたって国家防衛の任務に服したOBと現職の声なき声を代弁する内容のある提言と言って過言ではない。政策提言に寄せるOBとしての思いは、28年度政策提言書が発表された折に、ブログに記した。

 2016-11-17 元自衛官の時想(9)   隊友会・偕行社・水交会・つばさ会の4団体の「政策提言」に思う

OBとして29年度政策提言書に寄せる思い

❶    わが国の国家防衛の第一線にあって任務を全うしたOBとして、この政策提言書は、今日 厳しい環境下で世界各地における国際平和協力活動や国内での諸活動・訓練に励んでおられる自衛隊員の皆様の任務達成と安全を支える立場からも、国家存立の基本である安全保障・防衛について国民の皆様の理解が一層深まることを願ってやまない。

❷ 世界のどの国家であっても、憲法等の国家の基本法には、国家防衛、軍隊について明記している。憲法上、国を防衛するための実力組織を明記し、その地位・役割を明らかにすることが必要と考える。それは国家の平和と独立、国民の生命財産の保護・主権の基盤をなすものではなかろうか。一介の元自衛官であるが、この政策提言書の内容は多くのOBが現職当時からの長年の願望であり、政治的な駆け引きは全くなく、現実を踏まえ長期的視点に立った、実によくまとめられた内容と確信するものである。

❸ 国家の安全保障・防衛は、憲法とこれに基づく諸法令に基づいて行われる。民主主義国家おいては、国民の支持と国民から選ばれた政治によって達成されるものである。政策提言とされたゆえんもここにあるであろう。防衛省の防衛政策、防衛諸計画の策定はもとより、国会における安全保障、防衛政策の審議・議論、政党の政策策定・提示にあたり、この政策提言書が、一人でも多くの方に理解され支持されることを願うものである。

【 平成29年度政策提言内容 】 隊友会ホ-ムベ-ジ 出典)

3 日米共同防衛・国際共同行動の実効性の確保
 日米安全保障体制を中核とする日米同盟は、過去60年余にわたって我が国の平和と安全及びアジア太平洋地域の平和と安全に不可欠な役割を果たすとともに、国際社会の平和と安定及び繁栄にも大きく貢献してきました。
 一方で、今世紀に入り、中国やインドといった新興国の台頭によってパワーバランスに変化が生じ、国際社会における米国の影響力は相対的に低下していると言わざるを得ません。ただし、このような変化の中にあっても自由・民主主義、基本的人権の尊重、法の支配といった普遍的価値観や戦略的利益を共有している米国との同盟が、我が国の国家安全保障の基軸であり続けることに疑問の余地はありません。厳しさを増す安全保障環境の下で我が国の安全を確保し、アジア太平洋地域を始めとする国際社会の平和と安定を確実なものにしていくためには、自らが効果的な防衛力を保持していくことはもちろんですが、加えて日米共同防衛の実効性を一層高めるとともに、国際共同行動
に積極的に貢献していくことが不可欠です。
 こうした観点から平成26年7月の憲法解釈見直しを含む閣議決定「国の存立を全うし、国民を守るため切れ目のない安全保障法制の整備について」の閣議決定に続き、平成27年4月には新たな「日米防衛協力のための指針」(以下、「指針」という。)が了承されるとともに、平成27年9月には、「平和安全法制整備法案」と新法の「国際平和支援法案」が成立しました。こうした動きは、我が国の安全保障体制を強化するとともに国際社会の平和と安全に貢献するものであり、重要かつ大きな一歩として高く評価できるものです。
 ただし、法整備後もROEの策定や新装備の取得、反復訓練による習熟が必要になる等、自衛隊が実際に対応できるようになるまでには多くの時間を要するとともに、隊員が迷うことなく任務を遂行できるよう更に確実なものとする必要があります。
日米共同防衛・国際共同行動の実効性の確保に関連して以下の2点を要望いたします。


(1)日米安全保障条約の改定検討
    「指針」では、「切れ目のない」形で我が国の平和と安全を確保するための協力を充実・強化するとともに、地域・グローバルや宇宙・サイバーといった新たな戦略的領域における同盟の協力の広がりを的確に反映したものとなっています。そして、日米協力の実効性を確保するための仕組みとして同盟の調整メカニズム、共同計画の策定など協力の基盤となる取り組みが明記され、同盟調整メカニズムの具体的な活用目的として、状況を評価し、情報を共有することに加え、「柔軟に選択される抑止措置及び事態の緩和を目的とした行動を含む同盟としての適切な対応を実施するための方法を立案すること」を挙げており、日米間で平素から認識を統一させ実効性のある抑止行動にかかる選択肢を準備しておくことが求められています。
   また、安全保障関連法制整備により、現に戦闘が行われていない場所での補給や輸送が可能になるとともに、米艦防護や戦闘機への空中給油、米国に向かう弾道ミサイル対処についても実施可能となり、重要影響事態等における対米支援が大いに拡充されるものと期待しております。
    このように「指針」は、日米同盟がアジア太平洋及びこれを超えた地域に対して前向きに貢献し続ける国際的な協力の基盤であるとの認識をもとに見直されたものであり、地域及びグローバルな安全保障環境の変化に対応しています。
    そもそも「指針」は、日米安全保障条約を前提にし、両国の権利・義務の上に成り立っているものです。有事における共同作戦の立案にあたり米軍と調整する自衛官や有事において直接米軍と作戦を調整する現場の自衛官にとって何よりもかかる条約上の権利・義務が明確であることが重要です。
   また、1960年に改定された条約は、当時の日米双方の共通の関心であった極東における国際の平和及び安全の維持を基盤としており、現在の安全保障環境の変化に対応させる必要があります。
   かかる観点から日米安全保障条約そのものの改定についても検討が進められることを強く望みます。
(2)国際平和協力活動等における武器使用基準の見直し
    安保法制整備では、自衛隊の国際平和協力活動が拡充され、国連PKO等において実施できる任務が拡大(いわゆる安全確保、駆けつけ警護)され、任務に必要な武器使用権限の見直しが行われるとともに、国連が統括しない人道復興支援やいわゆる安全確保等の活動が実施できるほか、邦人の保護措置を自衛隊の部隊等が実施できるようになりました。
   これにより自衛隊による他国部隊への補給・輸送・医療支援や国連平和維持活動でより実効性のある活動が期待できます。
   しかし、武器使用権限については、安保法制整備によって「駆けつけ警護」のための武器使用や「任務遂行型武器使用」が規定されたことは大きな前進であるものの、このようなポジティブリスト方式の規定では運用に限界があると言わざるを得ません。いかに緻密に起こり得る事態を予測しようとしても現場では想定外の事態が起こりますし、その際に本国において現場で起きている事態の全貌を把握し、タイムリーに的確な指示・命令を出すことは困難と言わざるを得ません。

    また、複雑多岐にわたる規定は現場の隊員を混乱させるばかりでなく、瞬時の判断を求められる隊員を危険に陥れる可能性すらあります。国際の平和と安全の維持という共通目的をもって他国の軍隊と共同行動を行う際には、国際的な法規と慣例に則ったグローバル・スタンダードと整合させることが必要不可欠でする。

    したがって、先進国が採用している「行ってはならない禁止事項」を規定したネガティブリスト方式への変更を強く要望します。派遣部隊の任務が拡大されることに伴っ
て、隊員が迷うことなく任務を遂行できるよう、国際平和協力活動及び邦人保護措置等の海外活動における武器使用基準の早期見直しを提言します。

 

【 平成29年度政策提言についての所感 】

❶ 日米安全保障条約の改定検討

  提言の内容について、全く同感である。 

❷ 国際平和協力活動等における武器使用基準の見直し

 軍事組織において、明確な武器使用規定は諸行動の基礎をなすものである。武器使用規定について、先進国は「行ってはならない禁止事項」を規定したネガティブリスト方式を採用している。

 これに対して、自衛隊における武器使用規定は、ポジティブリスト方式であり、運用面に限界あると提言している。これらは現場指揮官及び隊員の体験からくる切実な要望であることだ。いかに緻密に起こり得る事態を予測しようとしても現場では想定外の事態が起こり、その際に本国において現場で起きている事態の全貌を把握し、タイムリーに的確な指示・命令を出すことは困難と言わざるを得ないからである。

    また、複雑多岐にわたる規定は現場の隊員を混乱させるばかりでなく、瞬時の判断を求められる隊員を危険に陥れる可能性すらある。国際の平和と安全の維持という共通目的をもって他国の軍隊と共同行動を行う際には、国際的な法規と慣例に則ったグローバル・スタンダードと整合させることが必要不可欠ではなかろうか。

 これらの解決のリ-ドは、政治の責任であり、政治家にしかなしえないものであり、政策提言としている理由もここにあるのではなかろうか。

     どの国でも、政党間において外交と安全保障については、一枚岩であり、共通の地盤があるものである。これに対してわが国では政党間に天と地ほどの差がある。

    政党において、国家国民の守りは必要である、自衛隊は必要であるとするならば、大きな立場で提言された内容を政治の立場から調査研究・討議して政策面に反映して、国民をリードし揺るぎない国家を築いてもらいたいと願うものである。

 

 

 

航空自衛隊第1期操縦学生(59) 二十四節気と空自第1期操縦学生出身の故高橋正君

    2月19日、今日は二十四節気の雨水(うすい)、空から降るものが雪から雨に変わり、氷が溶けて水になる、という意味と言われている。草木が芽生える頃で、昔から、農耕の準備を始める目安とされてきた。
 本格的な春の訪れにはまだまだであるが、これからは三寒四温を繰り返しながら、あっという間に春はやってくるであろう。

    二十四節気というと、思い出すのは、第1期操縦学生出身の高橋正君(平成25年7月逝去)のことである。同期のよしみで、二十四節気の都度、メ-ルで亡くなられたお母様の俳句を添えて、随想と様々な写真を送ってくれたものである。

 彼は、武骨な私に自然界の移り変わり、 二十四節気を通じて季節について、彼独特のとらえ方で同期生等に「季節だより」を送ってくれたものである。

 高橋正君は、生前「大空の仲間たち」を上梓している。戦闘機部隊勤務を経て、日本航空に入社し機長として活躍した。航空自衛隊での体験のうち1期生にスポットをあてて、主として自衛隊の修業時代及び戦闘機部隊勤務時代のことを随筆調に記述している。第1期操縦学生入隊50周年に際して、平成17年8月作成、平成24年8月第4版、96ペ−ジの非売品である。
 発刊に寄せて、1期生で将官に昇進し団司令を歴任した菅原淳君と航空ジャナリストの村田博生君の二人が私たちの青春そのものの軌跡だとし、これからパイロットを志す子弟にも読ませたい小冊子だと賞賛した。 

    同期生は80の坂を上り始め、あの世へ逝くものが増えてきた。二十四節気を迎えるたびに思い出すことも多くなった。

《「大空の仲間たち」! 高橋 正著 》

 

元自衛官の時想( 40 )   空自救難ヘリ航空事故に関する航空事故調査結果と殉職隊員の葬送式(部隊葬)

 1   空自救難ヘリ航空事故に関する航空事故調査結果の発表  (航空自衛隊報道発表資料 ホ-ムベ-ジ出典)

 【お知らせ】
                                    30.2.14
                                 航空幕僚監部
      UH-60J航空事故に関する航空事故調査結果について
1 事故の概要
(1)発生日時:平成29年10月17日(火)18時02分頃
(2)発生場所:航空自衛隊浜松基地の南約31キロメートルの洋上
(3)事故機の機種等:UH-60J(58-4596号機)
(4)搭乗者: 機長 2佐 花房 明寛 42歳
                          副操縦士 2佐 杉本 英昭 46歳
                          機上整備員 1曹 吉田 貴信 40歳
                          救難員 2曹 井上 雅文 32歳
(5)経過概要
ア 浜松救難隊所属UH-60J(以下「事故機」という。)は、浜松基地の南洋上にてNVG※1を使用した夜間飛行訓練を実施するため、17時51分に同基地を離陸した。
イ 同日18時0 2分頃、管制機関のレーダ航跡モニタ画面から事故が 消失し 、航空救難活動を開始し た。
ウ 同年 11月2 日から 12月 10日にかけ 実施した水中捜索等の結果 、事故機 操 縦士等乗組員3名及び 事故機 機体(FDR ※2 /CVR ※3 を含む。)の一部発 を含む。)の一部発 を含む。)の一部発 見・収容 し、同年 12月13日、航空救難活動 を終了 した。
※1: Night Vision Goggle (乗組員装着型夜間暗視置)
※2: Flight Data Recorder (飛行諸元等記録装置)
※3: Cockpit Voice Recorder (交信音声等記録装置)
2 事故の調査
本事故の調査は、航空事故調査委員会(委員長:航空幕僚監部監理監察官)が実施した。
3 事故に至った経緯(推定)
(1)事故当日、事故機は、夜間の飛行訓練のため高度約1,000フィートで洋上を飛行中、進路上に雲を視認したことから、これを避けるべく雲の下へ向け降下を始めた。
(2)事故機機長は、NVGで雲を視認しつつ、高度500フィートへ降下しようとした。
(3)その際、当日は月明かりのない暗夜であり、雲下に降りる付近で光量不足のためNVGの視認性が低下するとともに、表示が若干遅れる特性のある一部の計器(昇降率計)を見て、実際より小さな降下率を確認したため、実際の自機の降下と自分の感覚との間にズレが生じる空間識失調に陥り、過大な降下率のまま降下を継続した。
(4)また、副操縦士は、事故機が降下する過程で飛行諸元を確認しておらず、機長に対する安全確保のための適切な助言がなされなかった。
(5)他乗組員2名については、機外の見張りを実施できていたかは不明であるが、副操縦士同様に機長に対する助言を実施していない。
(6)海面への衝突の直前、高度警報(約250フィート)が鳴っているものの、操縦者が偶然、発話中であったことなどから、警報に適切に反応しておらず、結果として事故機は降下開始から約45秒後に海面へ衝突するに至った。
4 事故の原因
本事故の主な原因は、以下のとおりである。
(1) 空間識失調の影響により、 機体の 高度及び降下率等飛行諸元の確認 が不十分 であったこと
(2) 飛行諸元を相互に確認するなど、 乗組員間 において 連携 が正しく なされていな かったこと
(3)電波高度警報の確認及び対応 が適切に なされなかったこと
5 再発防止策
(1)飛行 諸元 の確認等 、飛行に係る基本操作 を教育により 再徹底
(2)乗組員の連携要領等見直し 及び教育による再徹底
(3)電波高度警報への対応要領 を教育により再徹底
(4)NVGの運用要領等見直し及び教育による再徹底
(5) 昇降率計の表示遅延是正
上の原因を踏まえた措置実施 し、 事故の再発防止に取り組む。

 

 空自救難ヘリ航空事故に関する航空事故調査結果の報道

❶ 静岡新聞 (30.2.15  出典)

急降下に気付かず墜落 浜松ヘリ事故、空自が原因発表

 

 航空自衛隊浜松基地浜松市西区)所属のUH60J救難ヘリコプターが昨年10月に同市沖合に墜落し、乗員4人が死亡した事故で、空自は14日、機長らが機体の状態と自分の感覚にずれが生じる「空間識失調」に陥り、機体の急降下に気付かなかったことが原因と推定されると発表した。
 空自によると、事故機は夜間の洋上訓練に向かうため、高度約300メートルを飛行中、高度を下げて雲を避けようとした。しかし、月明かりもなかったため、夜間暗視装置の視認性が低下。さらに表示が実際の状態よりも数秒遅れる特性がある昇降率計を見て降下率を誤認し、空間識失調に陥ったとみられる。
  このため、通常の約2倍の降下率で急降下していることに気付かず、高度約75メートルまで低下。回収された装置に残された音声記録では、高度低下を知らせる警報音が鳴っていたにもかかわらず、乗員が反応せず、その約6秒後に墜落した。フライトレコーダー(飛行記録装置)などに墜落回避の操作が取られた形跡はなかったという。副操縦士も含め、計器類の確認不足もあったとみられる。

 空自の航空事故調査委員会は、トラブルがあったような会話記録が残っていないことなどから「機体に異常があったとは考えていない」との見解を示した。

❷ 中日新聞 (30.2.15  出典)

 浜松沖ヘリ事故 高度誤って認識し墜落

◆空自が調査結果

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 航空自衛隊浜松基地浜松市)の救難ヘリコプター「UH60J」が昨年十月、浜松市沖に墜落した事故で、浜松基地は十四日、機体の高度などを操縦士らが誤って認識する「空間識失調(くうかんしきしっちょう)」に陥ったことが原因だったとする調査結果を公表した。回収したフライトレコーダー(飛行記録装置)や操縦室内の音声データ、機体の損傷状況から推定した。

 基地などによると、事故機は昨年十月十七日午後五時五十分ごろ、夜間の救助訓練のため、浜松基地を離陸。進路上にあった雲を避けるため、高度約三百メートル地点から降下を開始した。

 乗員らは、暗闇の中でも周囲の状況を鮮明に映し出す「夜間暗視装置」をつけていたが、当時は月も出ておらず、見通しが悪かった。予定より早いペースで急降下しているのに気付かぬまま、降下開始から四十五秒後に墜落した。高度計などの確認も不十分だった。

 機体は、高度約七十五メートルと七・五メートルで警報音が二回鳴る仕組みとなっていたが、調査結果では、乗員らが飛行中の速度や高度を踏まえ、機長に適切な助言もしなかったとした。フライトレコーダーや操縦室内の音声データには、回避措置がとられた記録はなかった。

 基地は、高度計の確認や、声掛けなど基本動作の徹底を再発防止策に挙げた。

 墜落したヘリは離陸から十分後の午後六時すぎ、浜松基地南約三十一キロの海上で消息を絶った。隊員三人の死亡を確認し、捜索を終了。行方不明となっていた一人も、後に死亡が認定された。

3 殉職隊員の葬送式(部隊葬)

 浜松つばさ会ホ-ムぺ-ジ(出典)

 浜松基地部隊葬を実施

 昨年10月17日、浜松救難隊所属のUH-60J救難ヘリが遠州灘に墜落した事故で亡くなられた機長ら乗員4名の葬送式が、1月30日(火)13:00から浜松基地第2格納庫において、山本朋広防衛副大臣、丸茂吉成航空幕僚長の他、空自隊員及びご遺族、来賓等、約500名が参列し厳粛に執り行なわれた。

 式は国歌吹奏、御霊に対する敬礼から開始され、まず執行者の航空救難団司令 小川能道空将補が式辞を述べ、続いて山本防衛副大臣及び丸茂空幕長が弔辞を述べた。

 また部隊を代表し、浜松救難隊長 植野英二2佐が弔辞を述べ、有為な部下4名を失った無念さ、悲痛な気持ちを表すとともに、4名の冥福を祈りつつ、さらに任務に邁進することを誓った。

 弔電披露の後、ご遺族4家族約30名が献花した。続いて執行者の救難団司令、さらに防衛副大臣、空幕長、国会議員、県知事等来賓が献花し、飯塚浜松つばさ会会長は、外薗つばさ会会長代理としてつばさ会を代表し、献花した。

 御霊に対する敬礼の後、儀仗隊が弔銃の斉射(2回)を行った。

 葬儀委員長の救難団飛行群司令 藤本悦夫1佐が挨拶し、葬送式の支援にあたった浜松基地等に謝辞を述べ、葬送式を終了した。

 参列者が見送る中、ご遺族は各車両に分乗し、北地区から南地区正門へと向かい、所在隊員は道路に整列して見送った。 

(内田記)

 

❷ 浜松自衛隊家族会二ュ-ス(会報)(出典)

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 《 浜松自衛隊家族会二ュ-ス(会報NO15 平成30年2月13日)出典)  

4【空自救難ヘリ航空事故に関する航空事故調査結果と殉職隊員の葬送式(部隊葬)についての所感】

❶ 救難ヘリ航空事故に関する航空事故調査結果の発表

 2月14日航空幕僚監部から救難ヘリ航空事故に関する航空事故調査結果が発表された。本事故の調査は、航空事故調査委員会(委員長:航空幕僚監部監理監察官)が実施したもので、今後の再発防止に生かしてもらいたい。

 今回の事故原因の中に、操縦士の空間識失調の影響により、 機体の 高度及び降下率等飛行諸元の確認 が不十分 であったことが公表された。「空間識失調」については、飛行職域に従事する者や航空関係者の間では「バーティゴ(vertigo)」として普通に語られている言葉であるが、一般にはなじみのない言葉であろう。

 ネットで調べると、ウイズペキァによると、

 空間識失調は、平衡感覚を喪失した状態。バーティゴ(vertigo)ともいう。

主に航空機パイロットなどが飛行中、一時的に平衝感覚を失う状態のことをいう。健康体であるかどうかにかかわりなく発生する。

 機体の姿勢(傾き)や進行方向(昇降)の状態を把握できなくなる、つまり自身に対して地面が上なのか下なのか、機体が上昇しているのか下降しているのかわからなくなる、非常に危険な状態。しばしば航空事故の原因にもなる。

 濃いの中や夜間の飛行など、地平線水平線)が見えない状況で飛行する場合に陥りやすく、また視界が広くとも雲の形や風などの気象条件、地上物の状態などの視覚的な原因、機体の姿勢やG(重力加速度)の変化などの感覚的な原因によって陥ることがある。(ウイズペキァ出典)

❷ 殉職隊員の葬送式(部隊葬)

 浜松救難隊の殉職隊員  故花房明寛2佐‣故 杉本英昭2佐・故 吉田貴信1曹・故井上雅文2曹 の葬送式が、1月30日、ご遺族をお迎えして、浜松基地北地区の第2格納庫で 、入間基地に司令部のある航空救難団司令小川能道将補が執行者となり、厳粛に執り行われた。謹んでご冥福をお祈りします。

 航空救難団の精鋭のエ-スたちの殉職は、胸が痛む思いがする。35年の自衛官生活で葬送式に何回となく参列したことがある。とりわけ、第1期操縦学生基本課程で寝食をともにし一緒に机を並べて勉学・訓練に励んだ同期生の任務遂行中の殉職は、今日も忘れることはない。国家防衛の礎となり今日の平和につながっているからである。

 この度の殉職者は、46歳から32歳の働き盛りの有為の人材で、部隊戦力の中核であった。ご遺族の心中察するものがあり、殉職隊員ご遺族への手厚い援護を期待するものである。今日及び将来において、国家防衛の任につく隊員のためにも、憲法への自衛隊の明記を切実に感じるものである。

元自衛官の時想( 39 )   平成29年度政策提言書に寄せて(3)2 安全保障法制の充実;グレーゾーン事態に応ずる法的整備

     平成29年11月.公益社団法人隊友会」、公益財団法人「偕行社」、公益財団法人「水交会」及び航空自衛隊退職者団体「つばさ会」の4団体が合同して作成された「平成29年度政策提言書」が発表された。

 この提言書は、長年にわたって国家防衛の任務に服したOBと現職の声なき声を代弁する内容のある提言と言って過言ではない。政策提言に寄せるOBとしての思いは、28年度政策提言書が発表された折に、ブログに記した。

 2016-11-17 元自衛官の時想(9)   隊友会・偕行社・水交会・つばさ会の4団体の「政策提言」に思う

OBとして29年度政策提言書に寄せる思い

❶    わが国の国家防衛の第一線にあって任務を全うしたOBとして、この政策提言書は、今日 厳しい環境下で世界各地における国際平和協力活動や国内での諸活動・訓練に励んでおられる自衛隊員の皆様の任務達成と安全を支える立場からも、国家存立の基本である安全保障・防衛について国民の皆様の理解が一層深まることを願ってやまない。

❷ 世界のどの国家であっても、憲法等の国家の基本法には、国家防衛、軍隊について明記している。憲法上、国を防衛するための実力組織を明記し、その地位・役割を明らかにすることが必要と考える。それは国家の平和と独立、国民の生命財産の保護・主権の基盤をなすものではなかろうか。一介の元自衛官であるが、この政策提言書の内容は多くのOBが現職当時からの長年の願望であり、政治的な駆け引きは全くなく、現実を踏まえ長期的視点に立った、実によくまとめられた内容と確信するものである。

❸ 国家の安全保障・防衛は、憲法とこれに基づく諸法令に基づいて行われる。民主主義国家おいては、国民の支持と国民から選ばれた政治によって達成されるものである。政策提言とされたゆえんもここにあるであろう。防衛省の防衛政策、防衛諸計画の策定はもとより、国会における安全保障、防衛政策の審議・議論、政党の政策策定・提示にあたり、この政策提言書が、一人でも多くの方に理解され支持されることを願うものである。

【 平成29年度政策提言内容 】 隊友会ホ-ムベ-ジ 出典)

  2 安全保障法制の充実;グレーゾーン事態に応ずる法的整備
 平成27年9月の安全保障関連法案の成立により、平時から有事に至る事態において切れ目のない対応や限定的ではありますが集団的自衛権の行使が可能となり、我が国の抑止力が大きく向上するとともに、国際社会の平和と安全に積極的に貢献することができるようになりました。
 一方で、近年の国際社会においては宣戦布告を伴う国家間の戦争は影を潜め、非国家団体による武力攻撃や領土をめぐる局地的な武力衝突といった戦争には至らない紛争(グレーゾーン事態)が大半を占めるようになっています。
    我が国におきましても、離島への武装工作員の上陸や原子力発電所に対する妨害工作といった、防衛出動を発令するには至らないものの警察力だけでは十分な対応が取れないという事態に対して、国際法上許容される範囲で適切に対応する必要があります。
 しかしながら、この度の法整備では、グレーゾーン事態における新たな権限行使を可能とする法整備や「平時における限定的な自衛権の行使」を認める解釈の変更などの根本的な改善はなされなかったため、現行の対領空侵犯措置や、海上警備行動下令時の警察活動に準じた対処と防衛出動下令後の対処の間には依然として大きな間隙が残っており、事態に応じた柔軟な対処を阻んでおります。南シナ海尖閣周辺海空域における中国の動向を考慮すれば、事態の拡大を事前に抑止するとともに、事態に応じてタイムリーかつ切れ目なく対処するための最低限の法整備について早急に着手する必要があると考えます。
 その第1は、「警戒監視」の任務化です。

 これまで自衛隊が一時も中断することなく実施してきた周辺海空域における「警戒監視」は、領域警備に限らず防衛諸活動すべての基点となる活動ですが、対領空侵犯措置任務に基づく対空警戒監視以外の活動は、防衛省設置法の「調査・研究」を根拠にしており、活動の位置付けや権限が必ずしも明確ではありません。平時において最も重要な活動である「警戒監視」を自衛隊法第6章の自衛隊の行動として規定するとともに、第7章で警戒監視行動時の権限として、「海上における治安の維持に影響を及ぼすおそれのある船舶(外国の軍艦、公船を含む)に対する質問権」を規定することを提言します。
 その第2は、「海上警備行動時の権限強化」です。

 情勢が緊迫し海上保安庁の能力を超えると判断された場合に海上警備行動が発令されますが、本活動に従事する自衛艦であっても、不法行動を行う外国軍艦や公船に対して取り得る手段は「警告」と「退去要求」を行うことだけです。このような手足を縛られた状態での自衛艦の投入は抑止効果が期待できないばかりでなく、相手にエスカレーションの口実を与える危険も孕んでおり、早急に是正する必要があります。

    このため、海上警備行動時の権限として自衛隊法第90条と同等の武器使用権限を規定し、最低限の実力行使を可能とする体制が整備されるよう要望します。
 また、当然のことながら、この種活動では外国軍艦や公船を相手にすることから判断を誤れば武力衝突に直結しますので、相手の敵対行為や侵害の程度に応じて自衛隊が取り得る対処の限度を示したネガティブリスト方式のROEを策定しておくことが不可欠であり、政府がこのROEを整備しておき、事態をコントロールしていく体制を整備されるよう要望します。
 その第3は、「新たな状況に対応する対領空侵犯措置等の充実」です。

 昨年度の中国機に対する緊急発進の異常な増加にみられるように、東シナ海上空での中国軍機の活動は、通常の訓練・演習・警戒監視等のレベルを超えており、尖閣周辺の領海及び接続水域への公船の侵入のみならず、今後は無人機等を含め侵入を繰り返し、中国が自らの領空として確保するよう実力行使する恐れがあります。

 このため、戦闘機等の頻繁な領空接近や、無人機、巡航ミサイル、洋上の公船や空母から発進するヘリコプター・戦闘機といった各種飛翔体によるあらゆる形態の領空侵犯を想定し、いかなる事態にも柔軟かつ切れ目なく対応して領空主権を厳格に防護する体制を整備されるよう要望します。
 その際、エスカレーションを防止しつつも領空保全の態度を毅然と示し、また、長期的かつ複合的な事態にも対応し得るよう、適切な対処要領を策定しておくことが不可欠であり、政府がこの要領を整備しておき、事態をコントロールしていく体制を整備されるよう要望します。
 その第4は、「自衛隊と他機関との連携等」についてです。自衛隊と警察、海上保安庁及び消防の連携や相互運用性の向上のために、共同訓練・演習の実施、更には法令の整備が必要です。平時、グレーゾーンそして有事における連携の強化は、離島防衛や大量難民の流入対処等の事態に備える上で必要であり、体制を整備されるよう要望します。
 その第5は、平時における限定的な自衛権の行使を前提として「グレーゾーン事態における新たな権限を自衛隊に付与する法制の枠組み」についても、様々な観点から検討を深められることを要望します。

 

【 平成29年度政策提言についての所感 】

      安全保障法制の充実;グレーゾーン事態に応ずる法的整備

❶ 最終的には法的整備は国政の場で解決する以外にない

 安全保障法制の充実として、グレーゾーン事態に応ずる法的整備について、政策提言書は、実に的確に足らざる事項、欠落している事項や問題点について詳しく 指摘しているので、防衛省はもとより、政治が積極的にこれが解決に向けて対処してもらいたいと願うものである.。最終的には法的整備は国政の場で解決する以外にないからである。

❷ 与野党にかかわらず、提言書に取り上げられている諸点をさらに調査研究して、安全保障法制の充実をリ-ドしてほしい

 昨今の国会の論戦を国会中継で視聴していても、自衛隊に関することから安全保障法制の充実については、ことあるたびに政争の具と化する傾向にあることを憂うるものである。国家・国民の立場から自衛隊・国の防衛が必要不可欠とする立場であるならば、我が国の防衛の立場から政策提言書に記載されたグレーゾーン事態に応ずる法的整備について積極的に議論を展開してもらいたいと思う。政党間および国政の場で、揚げ足や言葉尻をとらえて論戦をする時代はすでに終わったのではなかろうか。

 与野党にかかわらず、この提言書に取り上げられている諸点をさらに調査研究して、党派にかかわらず、安全保障法制の充実をリ-ドしていったら国民は拍手し支持するであろう。

❸   我が国の領土・領空・領海を守る警戒監視とスクランブル体制

  昭和の現職時代、昭和36年(1971年)、今から57年前、小牧基地に所在する管制教育団で要撃管制幹部課程を学び、同年36年9月、房総半島に位置する千葉県最高峰の愛宕山(あたごやま、408.2m)にある峰岡分屯基地・中部航空警戒管制団第44警戒群に赴任した。新任の要撃管制幹部として監視管制隊に配置され、いよいよ首都圏の空の防衛の最前線に立った。

   新任勤務地の第44警戒群は、警戒管制組織における防空指令所(ADDC)の役割を担っていた。峰岡分屯基地は、昭和35年7月米空軍から航空自衛隊がレ-ダ-基地を引き継いで1年2月程たったころであった。本部庁舎を含めて多くの建物がかまぼこ兵舎であった。

 着任するや、要撃管制実技について先輩たちの厳しい練成訓練と指導を受けて一人前になっていった。当時、「東京急行」に対するスクランブル対処手順について徹底して叩き込み、物おじせず自信をもって要撃管制等スクランブルしたものである。

 航空自衛隊の創設期における先人たちは、我が国の領空を守る警戒監視とスクランブル体制を固めて24時間緊張して任務に就いたものである。今日、時が変わり装備機材・運用方式が変わってもその心意気は同じであろう。

 ちなみに、東京急行( Tokyo Express)は、米ソの冷戦時代、ソ連戦略爆撃機偵察機、電子戦機等が日本周辺を定期的に飛行したものである。これらは千島列島に出てADIZ(防空識別圏)に沿って北海道東岸から本州太平洋側を南下し、東京に近づく飛行コ-スをとったところからこの名称がついたといわれている。

❹  ROE( Rules of Engagement)と部隊行動基準

 要撃管制官になってね一番驚いたのは、米軍にはROE(Rules of ngagement)があるのに、用語の概念としては用語集にも掲載されていたが、我が航空自衛隊にはこうしたものはなかったことである。対領空侵犯対処手順はあった。

 当時、ROEという用語そのものが、部内限りで、広く一般に用いられていなかったように記憶している。国際の軍事の世界では常識なのに、我が国ではROE(Rules of ngagement)・交戦規定と聞いただけで、一歩も二歩も腰が引けており、この用語を口にすることさえ憚れる時代であった。ましてや調査研究することさえ非難される時代であった。現在、自衛隊では。ROEは「部隊行動基」として定めている。

 ネットで調べてみると、ウイギベディアによると、

  「  交戦規定・Rules of Engagement(ROE)」とは、軍隊警察がいつ、どこで、いかなる相手に、どのような武器を使用するかを定めた基準のこと。 このような規定は時代や各組織ごとに大きく異なるものの、多くの組織が用いており、詳細にわたって定められているのが一般的。通常、敵に手の内を見せるのを防ぐため、公表されることは少ない。

 自衛隊用語では部隊行動基準という。従来、自衛隊が交戦を前提とした交戦規定を作成することには世論の懸念もあり、自衛隊ROEでは曖昧な部分が多く、領空侵犯での対処基準などはパイロットの裁量によるところが多かった。ところが、刑法との兼ね合いから、過剰防衛による刑事罰等をおそれたパイロットが武器使用判断を迷った場合、適正な対処がとれずに被弾・被撃墜に至る心配があった。

 また、自衛隊海外派遣の恒常化による部隊の武器使用の可能性の現実化や冷戦後の新たな脅威(東シナ海における中華人民共和国との海洋権益を巡る突発的軍事衝突のおそれの増大等:東シナ海ガス田問題)により、この現状が問題視されるようになった。

 そこで、2000年(平成12年)12月4日に「部隊行動基準の作成等に関する訓令」(平成12年防衛庁訓令第91号)が制定され、これに基いて部隊行動基準が作成されるようになった。その第2条においては「部隊行動基準は、国際の法規及び慣例並びに我が国の法令の範囲内で、部隊等がとり得る具体的な対処行動の限度を示すことにより、部隊等による法令等の遵守を確保するとともに、的確な任務遂行に資することを目的とする。」「部隊行動基準は、状況に応じて部隊等に示すべき基準をまとめたものであって、行動し得る地理的範囲、使用し又は携行し得る武器の種類、選択し得る武器の使用方法その他の特に政策的判断に基づく制限が必要な重要事項に関する基準を定めたものとする。」と謳われている。

 2006年防衛庁ROEを改定し、自衛隊法第95条に定められた「武器等の防護のための武器の使用」を根拠として、武器の使用を明確に任務とすることを決定した。これにより、自衛隊員が使用すべきときにためらわずに武器を用いることができるようになり、かつ、現場の自衛官が余計な政治的判断を迫られずに済むようになると期待されている。」とある。(ウイギベディア出典)

❺ ネガティブリスト方式のOREの制定

 政策提言書は、グレーゾーン事態に応ずる法的整備の方向として、海上警備行動時の権限として自衛隊法第90条と同等の武器使用権限を規定し、最低限の実力行使を可能とする体制が整備することを要望している。
 また、この種行動では外国軍艦や公船を相手にすることから判断を誤れば武力衝突に直結しますので、相手の敵対行為や侵害の程度に応じて自衛隊が取り得る対処の限度を示したネガティブリスト方式のROEを策定しておくことが不可欠であり、政府がこのROEを整備しておき、事態をコントロールしていく体制を整備されるよう要望している。

 諸外国の軍事組織が、「行ってはならないこと」を明確に示し、現場の各級指揮官が状況に応じて最も適切な判断処置をとることを任せるのに対して、自衛隊は「これこれはやってよい」方式で、例規されたこと以外はすべてお伺いを立てなければならない状況は政治情勢に起因しているとはいえ改善が望まれる。我が国を取り巻く安全保障環境は刻刻と変化してきている。

 相手の敵対行為や侵害の程度に応じて自衛隊が取り得る対処の限度を示したネガティブリスト方式のROEを策定しておくことが不可欠であり、政府がこのROEを整備しておき、事態をコントロールしていく体制を整備されるよう要望したのは至極当然のことであると思う。

➏ ROE( Rules of Engagement)についての研究論文

    Rules of EngagementROEについて、ネットで調べていたら防衛研究所紀要第7巻第2・3合併号(2005年3月)に次の研究論文が掲載されていたのでその一部を紹介する。とても明快なわかりやすい論文があった。軍事組織の運用にあたって、政治の役割がいかに重要であるかが理解できる内容である。政策提言としているゆえんもここにあるのではなかろうか。

ルール・オブ・エンゲージメント(ROE

――その意義と役割――橋本靖明 合田正利 

 政治と軍の活動とをリンクさせるために発展してきた規則が、交戦規定や部隊行動規則などと言われるRules of Engagement(以下、基本的にROEと記述する)である。

 軍隊の持つ破壊力が巨大化、精密化している現在、シビリアンコントロールの観点からも、軍の行動を政治的に適切に制御しつつ、軍の活動余地の範囲内で最大の効果を挙げさせることがより強く求められていると言えよう。

 我が国は近年、さまざまな分野で自衛隊を活用してきている。自衛隊は、冷戦当時の直接的軍事侵攻への対処中心のものから、テロリズム、近隣地域や他の国際地域において急速に変化する国際情勢に合わせて、体制を変化させている。このような状況の下では、従来はあまり想定してこなかった状況、地域における自衛隊活動がありえるのであって、そうした場合の行動の基準を明確にしておくことが当然に必要となる。つまり、部隊行動のための規則であるROEの充実が求められることになる。

ROEとは何か

1)各国はROEをどのように定義しているか

 『現代戦争法規論』において足立純夫教授は、「軍事力の行使は国家の政治目的を達成するために行われ、政治の統制下に置かれるとともに、やむを得ず軍事行動をとる場合にも人的及び物的被害を局限し、あわせて戦争犠牲者に対する保護を確保しなければなら」ず、「戦闘行動については、不測の事態を慎重に予測し、当該事態に対する法的評価を具体的問題に適用できるようにし、特に戦闘を行うべき事態及びその方法を細部にわたって規定する必要」があり、そのような規定は、交戦規定(Rule of Engagement)と称する規則中に表現されるとした。

米国、英国、NATO及び国連は、それぞれROEを有し、次のように定義している。

 米国(陸軍)の『野戦法務ハンドブック』によれば、ROEは、「資格ある権限者によって発せられる指令(directives)であり、米軍部隊が、遭遇した他国の部隊に対して戦闘行動を開始及び(又は)継続する状況と限界を規定するもの」とされる。

 英国では、サッチャー元首相が、「ROEとは、その範囲でなら軍部が自らの裁量で作戦上の決定を下してよいという枠組みを、政治家が承認する手段である。それは、特定の軍事作戦の遂行目的を達成するものでなければならない」と述べている。

 また、英国防省の下院外交委員会宛てメモランダム(1984年)は、ROEを、「軍の各級指揮官に対し、従うべき政治方針及び実施することができる作戦行動の限界について、指針(guidance)を与える」とし、フォークランド紛争では、「敵と交戦(engage)し得る諸状況を規定した詳細な指針で、指揮官に対し与えられるもの」とした。

 NATOによれば、「資格ある権限者によって発せられる指令(directives)であり、部隊が、遭遇した他国の部隊に対して戦闘行動を開始及び(又は)継続する状況と限界を明記するもの」がROEである。

 上記の諸例から見ると、ROEは、米国及びNATOの「資格ある権限者」、英国の「政治方針」「注意深い統制」の用語に見られるように、「軍隊が政治目的のために使用される」という前提を明確に示している。また、軍隊が、他国からの武力による侵略を排除するべく自衛権を行使するための武力行使機関であることも当然である。

 これらの事から考えると、ROEとは一般に、一定の政治目的を実現するために軍隊を使用するに際して、及び自衛権を行使するために軍隊を使用するに際して国家等が軍に課す行動規則であり、軍を政治に従わせるための一手段ということができる。

(2)ROEは何を目的としているか

 ROEは常に国家の政治目標、方針の下に策定されるが、軍事的問題とも密接に関連する。このため、米国等はROEと現場指揮官との関係等から、その目的を次のように示している。

 米国においては、ROEの目的とは、国家目標に、軍事力の使用を適合させることであり、部隊の行動を国家目標・国家方針に整合させる手段で、その時の国家方針下における対処行動のシーリングを示すことである。適切なROEが作成され示されている時、現場指揮官は、政治的判断から解放され、明示されたシーリングの下で、軍事的合理性に基づく判断措置に専念することができるのである。ROEは対処マニュアルや準拠法規そのものではない。

 英国においては、ROEは、指揮官に付与された任務を実行する際の裁量の範囲と課せられた制約の範囲を知らせる目的で示されるパラメータであり、指揮官は、状況に応じ、合法性、合理性かつ必要性に基づく、部隊へのROE適用を判断する責任を有している。ただし、ROEは、特定の任務を指定し、戦術的な指示を付与する手段として用いるものではない。作戦命令などではなく、命令を実行する際の行動尺度とでも言えばよい。

このように各国のROEの目的を全般的に捉えて言えば、指揮官に付与した任務を遂行

させるに当たって、指揮官に実行の際の裁量範囲と制約を明確に認識させることである。

この際、指揮官は任務を遂行するに当たって、状況を判断し、種々の作戦、戦術を選択することになるが、ROEの目的は、それらに関する、教義、戦術等を直接に規定するものではないということを認識する必要がある。