浜ちゃんの散歩道( 119)  夕暮れ時と夜明け前の天空を眺め 60年前の要撃管制官時代を想う

 朝と夕は毎日休みなく訪れる。日の出と日の入り時は、人間の生活と密接な関係がある。人間の身体も自然界の営みに合わせてリズムを作っている。

 朝夕の散歩で、夕暮れ時と夜明け前の天空を眺め ると、60年前の要撃管制官時代を想うことがある。

 若い航空自衛官時代は、空の守りの第一線部隊のレ-ダ-サイトで夜中一睡もせずに要撃管制官として勤務した。小隊全員が一緒の勤務交代時に、早朝、深夜に人里離れた山頂に立って、満点の星が輝く天空や、大嵐の天空を眺めたものである。眼下には灯火が輝く平安の町並みがあった。遥か洋上には漁火が眺められた。

 交代勤務の度に、眼下に広がる静かな街並みや山野を眺めるときほど、「この平和な日本を俺たちが守るんだ」と「防衛の実任務」に就く自覚と責任を強くしたことはなかった。空の防人の使命感をひしひしと感じたものである。登山でご来光を迎える気持ちとは全く違ったものであった。

 時代が移り替わっても、半島、離島等の山頂のレ-ダ―サイト勤務は今も昔も同じである。現代の防人たちは、勤務交代のたびに、山頂に立ってどんな思いをするであろうか。

 今は下から天空を眺めるだけであるが、静かな夜明けと夕暮を散歩しながら、山頂から下界を眺めた、航空自衛官時代を想い出すことがある。自分にとっては、朝夕の天空の眺めは単なる空の風景ではなく、もっと深い深い天空に繋がっているのである。毎回同じ風景はない。天空は、刻々と変化し、新しい世界が展開するから、いつも新鮮な気持ちで散歩に出かけることになる。

❶ 8月19日晴天の夕暮れ    令和4年8月19日夕刻1815~1831撮影

❷ 8月20日曇天の夜明け        令和4年8月20日早朝0448~0453撮影