山門の人生の教示   生きていくためにたくさんのものは要らない、勇気と希望と少しばかりの金があれば十分だ

 12月1日浜松市西区神ケ谷町天龍山洞雲寺に参詣した。墓に新しい花を供えた。

 天龍山洞雲寺山門の掲示は、「生きていくためにたくさんのものは要らない、勇気と希望と少しばかりの金があれば十分だ」であった。

 人間が生きていくためには、心身が健康であることが望ましい。長い人生においては、心身の健康もその強弱は山あり谷ありである。

 現代はあらゆるものをお金があれば住宅、家具、生活環境、食生活などを叶えることができるが、その欲望は際限がない。

 昭和生まれで、大東亜戦争と敗戦後の困難な時代を過ごしたことからすると、現代はあまりにも物的面では恵まれ過ぎているように感じている。当時からすると毎日が贅沢な生活そのものである。

 生きていくためには、健康と必要最小限の経済的基盤と生活環境があれば暮らしていけるが、現代生活は人間の心構えそのものを虚弱にしてきている。

 現代は、大災害で一切を失い避難生活などを体験しないと、生きていくためには多くのものが要らないことを悟ることが難しい時代となっている。そうしたことを経験することは多くないからだ。

 最近では、コロナ禍で失業し経済的基盤を失った方が増えてきた。個人の経済的基盤は社会の産業経済の動向と直結しており、モロに影響を受けるようになった。

 しかし、社会全般は大きく回転している。どんな境遇にあっても、新しいことに挑戦する勇気と明日への強い希望を失わなければ、未来は開けてくるものである。

 人間は誰しも欲がある。欲のない人はいないであろう。金銭も同じである。金銭欲も際限がない。普通に暮らせるお金があればよしとすれば自ずとそれなりの生活が過ごせるようになる。

 今回の教示は、人生を生きていくための基本の心構えを説いたものであろう。いつの時代、いつの世代にも腹の底に秘めておくべき生活信条であるように思う。このことをしっかりと心に刻んで、今日の恵まれた生活環境を楽しめば良いのではなかろうか。生きていくための覚悟を示しているのであろう。

 80代後半になって、高齢期の人生を振り返ると、山門の人生の教示がよく理解できる。普通に淡々と毎日を元気に過ごせることが最高の生活である。

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