86歳老いる雑感(206)  健康生活の基盤は 「 歩く」能力の保持

1  健康で楽しい生活の基盤は「歩く」こと

 高齢者の最大の関心事は、「健康で楽しく日常生活が送れる」ことにあるのではなかろうか。現実は厳しく加齢とともに個人差は生まれ、気力・体力の低下が現れてくる。特に、70歳以上になると、気力・体力は年齢ではなく、個人差が顕著となってくる。

 これを防ぐために、歩く、体操する、身体を動かすなど基本的なことに努力するがこれらを維持継続することは容易なことではない。

 健康で楽しい日常生活を送るための基盤となるものが、「気力・体力」であるが、特に体力の程度によって「日常生活の質」に大きな差が出てくる。

2  「日常生活の質」を左右するのは体力

 「生活の質」の程度は、日常生活を送る上で極めて重要である。自分の体力で自分の思う通りに活動することができれば、質の高い日常生活を送ることができる。逆に自分の体力が低下すれば、自由に動けず、それだけ質の低い日常生活を余儀なくされるものである。他人に介護されるようになると日常生活の質はかなり下がってくる。

3  日常生活の決め手は「歩く」能力

 昔から歳をとると「足からくるよ」と言われている。自分がその歳になって、本当にそう思う。

 75歳、いわゆる後期高齢者に仲間入りして10年間を顧みるとき、日常生活の基本となる決め手は、「歩く」能力をどれだけ保持できるかどうかにかかっていることを実感する。

 私はこの目で、歩こうという気力が減退したり、出歩けなくなったり、歩く能力が低下するにつれて、家に留まり、他人との接触も少なくなり、地域の諸活動から遠かざっていく過程を多く見てきた。

 従って、高齢期においては、いかに「歩く」能力を維持していくかが重要となってくる。歩くのが嫌になったり、苦痛になると危険信号ではなかろうか。

4 「歩く」ことの効用

 「歩く」ことのできる人は総じて元気であり、健康である。お陰様で、私は「歩く」ことが嫌になったりすることがない。この10年間特別に意識することもなく、自然体で歩いてきた。

 シニアクラブの会長等をしたことから会報の配付等の用事で町内を歩いで回ることが多かった。散歩を兼ねて趣味の写真撮影でもよく歩くことになった。

 これらは「歩く」ということを直接に目的としたものではないが、用事を足す、写真を撮ることを通じて、結果的には、副次的に「歩く」機会が多かったと言うことである。これが健康につながったと思う。

 不整脈、がんと三つの大病以降、歩くこと、体を動かしたことが元気回復に向かったように思っている。