元自衛官の時想( 96) 防衛白書と防衛4団体の安全保障に関する令和元年度政策提言書について

   令和の新時代が明けた。今年は、世界情勢が激変・流動することは間違いない。

   自衛隊OBとして、毎年関心をもっているのが当該年度の防衛白書とわが国の安全保障に関する隊友会・つばさ会等防衛4団体の政策提言書である。

  令和元年度の防衛白書は、防衛省のホームページで見ることができるが、じっくりと読むには、どうしても一冊になったものを手もとにおいた方が良い。こうしたことから毎年、浜松駅のメイワン内の谷島屋に出かけて購入してくる。

    一方、政策提言書は、隊友会、つばさ会のホームページからプリントアウトすることにしている。

    防衛白書と政策提言書は、自衛隊在職当時のことを思い出しながら、さらに、わが国の安全保障面での問題点、国際的に見て欠落してと思われる事項、隊員の立場から見た要望などさまざまなことを思い浮かべながら読むと、実によくまとまったものであると思う。

    特に、退官から30年以上たった元老兵にとって、両書は参考になることが多い。時代の経過とともに著しく進んでいること、詳しく知らなかったことなども多々ある。特に新しい領域分野のことはとても参考になる。従って積んでおく本にしないで、機会あるたびに目を通すことにしている。

    こうしたことで、わが国の安全保障、防衛問題を考え、語り、論じるには防衛白書及び隊友会等防衛4団体の政策提言書は必読の資料と確信を持って言える。

    紙面の関係で、目次のみとし細部は省略、またの機会に触れることにします。

【所感】

1  令和元年度防衛白書

❶   防衛白書が初めて出されたのは昭和45年(1970年)であった。昭和51年(1976年)第2回以降、毎年発表され、今回45回目であった。現職時代において、初の発刊から目を通してきた。

❷   発刊当時からすると、防衛省自衛隊の発展とともに内容が充実し、今や580ページ以上に及ぶ政府刊行物となっており、安全保障環境、防衛政策、自衛隊及び隊員の活動など読み応えのある日本防衛に関する一大資料が収められており、第1級の報告資料となっている。

❸   わが国の防衛問題を語たり、論じるにはこの防衛白書を読まずして意見を述べることはできないくらいになっている。一般国民に対する理解を容易にするように編集されており、読み易い。

2  隊友会等4団体の政策提言書

❶  本提言書は、隊友会が昭和47年以降行ってきた政策提言に、平成28年度から偕行社、水交会、つばさ会が加わり、防衛4団体合同で作成されたものである。

 ❷  防衛 4団体のうち隊友会、偕行社、水交会は公益社団法人であり、つばさ会は航空自衛隊退職者団体である。4団体は、陸・海・空の3自衛隊勤務経験者が中心となっている。

   提言書作成に参画した担当者は,国内外の軍事に関する幅広い知識経験,運用現場の問題点と状況を熟知し、現職隊員の心情 と要望を理解している立場から防衛諸政策・計画に反映してもらいたいとする提言内容となっている。

❸   現職の自衛隊員は,国家・国民から負託された任務をどんなに困難な状況下であっても黙々と遂行している。特に,隊員に関する身分、処遇等の改善要望は、自衛隊OBが一番よくわかっており、隊員に代わって、隊員の心を心として提言したものではなかろうか。

    OBの立場から見ると極めて妥当な提言であるように思う。防衛省はもとより関係先において提言内容が防衛政策や諸計画に取り入りれることを願う。

❹    最終的には、政策提言のすべての事項は、自衛隊憲法への明記に帰結するものである。

そうした点からも第1番に憲法改正が提言されている。当然のことと思う。

〇 令和元年度防衛白書

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〇  隊友会等4団体の政策提言書

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