航空自衛隊第1期操縦学生(64)   航空学生出身者の将官への昇進・登用と最近の航空学生の採用試験の競争率

  1  航空学生出身者の将官への昇進・登用
 毎年度ながら、航空学生出身の最優秀者の将官への昇進と将補ポストへの登用については、航空学生の処遇に関わる事であり最大の関心をもって見守っている。航空学生の処遇の最たるものは、いつの時代も最優秀者の将官人事にあり、どのように人事管理しているかの象徴・証左でもある。

 平成の初めの時代、第1期からは菅原淳君が1等空佐で航空安全管理隊司令(空将補職)に配置され、次いで空将補に昇進し第4航空団司令、兼ねて松島基地司令(平成3年(1991年)7月~4年(1992年)6月)に補職された。これが航空学生出身者の将官配置への第1号であった。以来、残念ながら現職将官に昇任・登用されていない現状がある。
 最近の状況を見ると、第12飛行教育団司令兼ねて防府北基地司令に、37期山頭彰1等空佐が平成27年(2015年)8月~30年(2018年)に補職され、空将補で退官された。次いで38期 浜 博志1等空佐 が平成30年4月 同職に補職され、空将補で退官された。次いで、平成31年4月には、航空学生40期の 樋口達巳1等空佐が第12飛行教育団司令 兼ねて防府北基地司令に補職され今日に至っている。

   航空学生出身者が抜擢されて、航空学生の揺籃の地である第12飛行教育団司令兼ねて防府北基地司令へ登用されることは誠に喜ばしい人事である。航空学生の希望の星であるからだ。最優秀者の現職将官への登用を期待するものである。
 古来.「補職は人を育てる」と言われている。優秀な人材を登用することは、航空自衛隊の航空学生の士気を高め、精強化につながり優秀な人材を確保することができる。

    航空戦力、特に航空部隊の人的戦力の中核をなす操縦者の主力は航空学生出身者である。将来にわたって、優秀な人材確保と人事処遇、部隊指揮及び士気高揚からも、さらなる人事施策がとられることが期待される。 

2  最近における航空自衛隊航空学生の応募及び採用状況の推移 
 令和元年度版の防衛白書によると、昨年4月に入隊をした平成30年度航空自衛隊第75期航空学生は応募者数1,955名(うち女子188名)に対して採用者数73名(うち女子6名)で、競争率は26.8(女子31.3)倍と公表されている。
 創設期の第1期操縦学生の入隊207名・34倍と比べても大変な競争であることを知ることができる。また、その他の各種採用試験とも比較するとその厳しさが理解できる。
 平成23年度~30年度の航空自衛隊航空学生の応募及び採用の推移を各年の防衛白書より抜粋整理したものである。29年度から応募者数が減少化傾向にあるように見られる。
年度(期)・応募者数・採用者数・競争倍率
23年度(68期) 2,823(197) 39(1) 72.4(197.0)
24年度(69期) 3,062(182) 49(2) 62.5(91.0)
25年度(70期) 3,114(217) 45    69.2
26年度(71期) 2,908(233) 50(4) 58.2(58.3)
27年度(72期) 2,820(255) 52(1) 54.2(255.0)
28年度(73期) 2,833(281)  66(6)   42.9(46.8)
29年度(74期)   2,309(227)  68(5)  34.0(45.4)

30年度(75期)   1,955(188)  73(6)   26.8(31.3)
( )は女子で内数

 ❶ 自衛官などの応募及び採用状況(平成30年度) 令和元年度防衛白書 出典

f:id:y_hamada:20200203120344j:plain

❷ 第75期航空学生課程の入隊式(平成31年4月10日) 

  防府北基地ホ-ムぺ-ジ出典

f:id:y_hamada:20200203223449j:plain

f:id:y_hamada:20200203222147j:plain

f:id:y_hamada:20200203222016j:plain

f:id:y_hamada:20200203222114j:plain

f:id:y_hamada:20200204000856j:plain

f:id:y_hamada:20200203222247j:plain