自衛隊在任間大変お世話になった「幹部学校記事」と「鵬友」は、全部を破棄処分するのに3日間かかった。頑丈な留め金を外すのに結構力を要した。体力があるうちに始末できてよかったと思っている。
印象に残ったことを書き留めることにした。
❶ 航空自衛隊「幹部学校記事」創立20周年記念特集
昭和49年11号(第17巻第4号)
記事編集委員長美田裕次郎空将補のもと、幹部学校創立20周年を記念しての特集号である。成人を迎えた幹部学校が航空自衛隊幹部教育のメッカとして、いよいよその重要さを増す中で本誌の果たす使命が倍加ししっあった。
あらためて、再拝読してみて、航空自衛隊の創設期と建設期の状況が手に取るように記述され、よく理解できる内容であった。この一冊だけはもったいないので当分手元に置くことにした。
❷ 紙上ケ-ㇲスタディ 「君ならどう考える」
第6航空団司令部人事班長のとき、尉官クラスを対象に隊員指導、とりわけ服務指導の向上を目指して「服務指導研究会」を設け、毎月実際の事例を取り上げて課題を付与し、若手幹部の研究会を指導した。
また、西部警戒管制団司令部人事部長のとき、幹部教育の一環として,「鵬友」の紙上ケ-ㇲスタディ「君ならどう考える」などに積極的に参加するよう、れい下部隊長にお願いした。各部隊長のご指導もあり、毎回応募者は全国で断トツとなり、幹部の士気と能力向上に資するものがあった。優秀者の回答が3編ほど掲載されるとともに応募者名が発表されたものである。
ちなみに、一例として、昭和59年11月号(第10号第4巻)を取り上げてみた。
紹介の回答3編
① 1尉 瀬川康彦(83空)
② 1尉 斎藤弘助・若山 登・野中直久・多胡弘也(硫黄島基地隊)
③ 1尉 林 幸生(西警団)
➌ 新鵬友の購読者 昭和51年3月
鵬友は、逐年購読者が増加し、発刊の趣旨である「航空自衛隊幹部の識能の向上に資するため、広く内外の軍事研究論文を紹介するとともに、相互啓発の場とする」が実現していった。特に若手幹部の購読が増え、紙上ケ-ㇲスタディ「君ならどう考える」にみられるように、文字通り身近な「鵬友」となっていった。
❹ 指揮幕僚課程の受験・合格と自己啓発
初級幹部のころから「幹部学校記事」を愛読し、指揮幕僚課程の選抜試験問題や先輩たちの受験合格記などを読んで、当時雲の上のことであったCSに奮起して挑戦することとなった。階級と年齢制限で1回だけ受験の機会が訪れた。幸い40名の一人に選ばれ課程を卒業することができた。1年間の東京市谷における幹部学校の教育は恵まれた環境であった。
私にとって、自己啓発の基となった「幹部学校記事」と「鵬友」は、幹部自衛官としての絶え間ない勉学の道しるべとなった。自衛隊在職中は、軍事はもとより各分野の著書を購入した。物事の見方、考え方など幅広い視野で対処するようになった原点は、「幹部学校記事」と「鵬友」にあったように思う。
今回、30年以上持ち続けた多数の「幹部学校記事」と「鵬友」を破棄処分することができた。深い深い感謝の念を込めて「ありがとう」「ありがとう」と一枚一枚を破棄処分した。