元自衛官の時想(75 ) 平成31年度以降に係る防衛計画の大綱への関心と期待

      平成31年度以降に係る新たな防衛力整備の指針「防衛計画の大綱」が間もなく決定されようとしている。つばさ会ホ-ムペ―ジ、防衛省自衛隊ホ-ムペ―ジ及び官邸ホ-ムペ―ジを見ながら各新聞報道の内容を自衛隊OBとして最大の関心をもって注視している。なぜならば、わが国の今後の安全保障政策の骨幹をなすものであるからだ。

 さらに、懇談会の設置目的と安倍総理大臣のあいさつにある通り、「政府の最も重大な責務は、国民の命と平和な暮らしを守り抜くことであります。我が国が独立国家として第一義的に果たすべき責任であります。激変する安全保障環境の下、この責任をしっかりと果たしていくためには、国民の生命、財産、そして領土・領海・領空は、我が国自身の自主的な、そして主体的な努力によって守る体制を抜本的に強化していかなければならないと考えています。同時に、陸・海・空という従来の区分に捉われた発想から完全に脱却し、従来の延長線上ではない、未来の礎となる真に必要な防衛力の姿へと、従来とは抜本的に異なる速度で改革を図っていかなければならないと考えています。」

 独立国家としての主体的な国防体制の強化、陸・海・空という従来の区分に捉われた発想から完全に脱却し、従来の延長線上ではない、未来の礎となる真に必要な防衛力の造成がどのような形で示されるかにあるからである。

1    防衛計画の大綱

  防衛計画の大綱について、出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』は次のように解説している。

 『防衛計画の大綱(ぼうえいけいかくのたいこう)は、日本における安全保障政策の基本的指針。概ね10年後までを念頭に置き、中長期的な視点で日本の安全保障政策や防衛力の規模を定めた指針で、これに基づいて5年ごとの具体的な政策や装備調達量を定めた中期防衛力整備計画(中期防)が策定される。略称は防衛大綱(ぼうえいたいこう)。また、各大綱は制定時の年度を基に○○大綱とも通称される。
情勢に重要な変化が生じた場合はその都度改訂されることがあり、必要がなければ10年経っても改訂されないこともある。
 かつては国防会議あるいは安全保障会議を経て、現在は国家安全保障会議を経て閣議決定される。」 

2「 多次元統合防衛力」 防衛大綱の新概念

   産経新聞ニュ-ㇲは、12/13(木) 12:52配信によと、
 「政府は13日、新たな防衛力整備の指針「防衛計画の大綱」の基本概念を「多次元統合防衛力」とする方針を固めた。陸海空3自衛隊の統合運用の範囲を、宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域にまで拡大することを目指す。与党の了承を得た上で、18日の閣議で決定する。」と報じた。

3    安全保障と防衛力に関する懇談会 

    官邸ホ-ムペ―ジによると、第7回安全保障と防衛力に関する懇談会を次のように発表している。

 平成30年12月11日、安倍総理は、総理大臣官邸で第7回安全保障と防衛力に関する懇談会を開催しました。
 総理は、冒頭の発言で次のように述べました。
「三村座長、そして北岡座長代理、また有識者の皆様におかれましては大変お忙しい中、これまで6回にわたり、安全保障と防衛力に関する懇談会の開催に加えて、3回に及ぶ外部有識者とのヒアリング、さらに自衛隊部隊の視察にも足を運んでくださり、3回という短期間に非常に集中的に御議論いただきましたことに関しまして、心から御礼を申し上げます。
 政府の最も重大な責務は、国民の命と平和な暮らしを守り抜くことであります。我が国が独立国家として第一義的に果たすべき責任であります。激変する安全保障環境の下、この責任をしっかりと果たしていくためには、国民の生命、財産、そして領土・領海・領空は、我が国自身の自主的な、そして主体的な努力によって守る体制を抜本的に強化していかなければならないと考えています。同時に、陸・海・空という従来の区分に捉われた発想から完全に脱却し、従来の延長線上ではない、未来の礎となる真に必要な防衛力の姿へと、従来とは抜本的に異なる速度で改革を図っていかなければならないと考えています。
 委員の皆様方におかれましては、我が国が直面するこの困難な課題に対し、短期間の集中的な議論の中で、それぞれの御視点や御経験を存分にいかしていただき、我が国の将来における防衛力の在り方、目指すべき方向性について大変御熱心に御議論いただきました。内閣総理大臣として、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。」

 ❶ 安全保障と防衛力に関する懇談会の開催について 
  平成 30 年 8 月 27 日 内閣総理大臣決裁 
1. 開催の趣旨

我が国を取り巻く安全保障環境は、現在の「平成26年度以降に係る防衛計画の大綱 について」(平成25年12月17日安全保障会議決定・閣議決定。以下「本防衛大綱」 という。)を策定した際に想定したよりも、格段に速いスピードで厳しさと不確実性を増 している。このような認識の下、従来の延長線上ではなく、国民を守るために真に必要 な防衛力のあるべき姿を見定め、本防衛大綱を見直す。これ に関する作業に資するため、 安全保障と防衛力に関する懇談会(以下「懇談会」という。)を開催する。 
2. 構成

(1)懇談会は、別紙に掲げる者により構成し、内閣総理大臣が開催する。

(2)内閣総理大臣は、別紙に掲げる構成員の中から、懇談会の座長を依頼する。 (3)座長は、必要に応じ、別紙に掲げる構成員の中から、座長代理を指名することが

  で きる。

(4)懇談会は、必要に応じ、関係者の出席を求めることができる。 
3. その他 懇談会の庶務は、関係行政機関の協力を得て、内閣官房において処理する。

3    別紙  安全保障と防衛力に関する懇談会 構成員  
青 井 千由紀 東京大学大学院教授 
岩 﨑 茂 ANAホールディングス株式会社常勤顧問 (前統合幕僚長
加 藤 良 三 元駐米大使     
北 岡 伸 一 東京大学名誉教授・独立行政法人国際協力機構理事長    
黒 江 哲 郎 三井住友海上火災保険株式会社顧問・国家安全保障参与 (元防衛事務次官)     
坂 元 一 哉 大阪大学大学院教授    
土 屋 大 洋 慶應義塾大学大学院教授   
三 浦 瑠 麗 東京大学講師     
(座長)三 村 明 夫 新日鐵住金株式会社名誉会長

安全保障と防衛力に関する懇談会 開催状況
回 数 ・  日 時  ・  関係資料
第1回  平成30年 8月29日  議事次第・配布資料 議事要旨
第2回  平成30年 9月21日  議事次第・配布資料 議事要旨
第3回  平成30年10月 2日  議事次第・配布資料 議事要旨
第4回  平成30年10月19日 議事次第・配布資料 議事要旨
第5回  平成30年11月20日 議事次第・配布資料 議事要旨
第6回  平成30年12月5日   議事次第・配布資料
第7回  平成30年12月11日 議事次第・配布資料

 ❷  第7回 資料     平成31年度以降に係る防衛計画の大綱 骨子(案)省略

つばさ会ホ-ムペ―ジ、防衛省自衛隊ホ-ムペ―ジ及び官邸ホ-ムペ―ジ参照

大綱骨子の方向がとても分かりやすい内容となっている。

  

4    将来の防衛力検討委員会

    防衛省自衛隊ホ-ムペ―ジによると、次の通り発表している。新たな防衛計画の大綱及び次期中期防衛力整備計画が大詰めに近づいているのではなかろうか。

 12月10日(月),12月13日(木)、岩屋防衛大臣を委員長とする『将来の防衛力検討委員会』が開催されました。
「将来の防衛力検討委員会」の開催について     平成30年12月12日  防衛省
1 開催日時   平成30年12月13日(木)13:20~14:00
2 開催場所   A棟11階 第1省議室
3 議題         ,新たな防衛計画の大綱及び次期中期防衛力整備計画について
4 構成員
       委員長:防衛大臣
       委員長代理:防衛副大臣
       副委員長:防衛大臣政務官
       委員:事務次官、防衛審議官、大臣官房長、各局長、各幕僚長、情報本部長、防衛装備庁長官 等