元自衛官の時想(62) 人への感謝の言葉「ありがとう」

   人の発する言葉の中で最も美しく、一番感動を呼ぶ言葉は何といっても「ありがとう」「ありがとうございます」の一語であろう。簡潔明瞭にしてこれ以上の言葉はない。日常茶飯事に使っている言葉であるが、これほど無限の力を持つ言葉はない。

 それについて思い出されるのは、平昌五輪において栄光に輝いた日本選手の言葉であった。

 ちなみに、第23回冬季オリンピック大会は、大韓民国江原道平昌で平成30年(2018年)2月9日から25日までの17日間熱戦が繰り広げられた。平昌五輪大会での日本選手の活躍は素晴らしく、獲得したメダルは金4、銀5、銅4の計13個であった。

 私が感動したのは、平昌五輪での日本選手の活躍もさることながら、栄光の金メダル等に輝いた選手が最初に発した言葉は、インタビュ-で異口同音に育ててくれた人への感謝のことば「ありがとう」「ありがとうごさいます」であった。自分を育ててくれた人への感謝の言葉の数々が今も強く印象に残っている。 

 ちなみに、2月平昌五輪が終わった時の所感を次のようにメモしていた。 

  1  日本選手のテレビ観戦と応援

 国民の多くは、日本選手の競技に注目し、テレビにかじりついての観戦であった。リアルタイムの実況中継は迫力があり、感動する場面が多くあり印象に残った。事後に編集したダイゼスト版の視聴よりはるかに迫力がある。やはり臨場感を覚えるかどうかの違いではなかろうか。 

2   スポーツ競技と極限を競う誇れる入賞

 スポーツ競技は、選手の資質能力と練成の成果であり、人間の能力の極限を競うものではなかろうか。勝負の世界は運もある。これらをすべて包括した結果が入賞につながるものであり、誇れる入賞と言える。 

3   感動を呼ぶ激戦とスポーツマンシップ

  本大会でも、多くの感動を呼ぶ激戦とスポーツマンシップを発揮した麗しい場面を拝見することがあった。とりわけ勝負を終わった後のお互い相手をたたえる場面は美しいものがあった。真剣に競い合った者同士間しかできないものであろう。相手の実力・資質能力を知り尽くしているからこそ、お互いの勝負結果を称えあうことが出来るものではなかろうか。

4  入賞者の言葉「家族へのありがとう」と陰で支えてくれた人への感謝

 入賞者のインタ-ビュ-における言葉は、全員一致して家族への感謝「ありがとう」であった。家族のみならず監督・コ-チ等の指導者から物心両面にわたって協力支援してくれた人たちの総和の力が入賞に結びついてたといえる。心からの感謝の「ありがとう」」「ありがとうごさいます」には千金の重みがあった。

5 入賞できなかった選手への思いと惜しみない応援

  世界一を競う競技である限り、入賞に輝くかどうかは厳しい世界である。人知れぬ精進努力をしても、僅差で勝敗が決まる。惜しくも入賞を逸した選手へのいたわりと惜しみない賞賛と応援は、次への飛躍につながるであろう。