元自衛官の時想(57) 地域社会における諸活動・ 人のために役立つ

   35年余の自衛官の職務は、危険を顧みず国家・国民に奉仕する崇高なものであった。自衛隊陸上自衛隊を経験し、航空自衛隊では、ジェット機パイロットを目指して第1期操縦学生として出発し、基本課程を修了、操縦課程で志を全うすることはできなかったが、要撃管制、人事の分野で活躍の場を与えられた。

   定年退官後も出来る限り公に奉仕できる仕事につけたらと思い、自動車保険料率算定会(現損害保険料率算出機構)調査事務所に勤務し、自賠責保険の公正の損害調査・後遺障害の認定及び医療調査に従事した。新任所員から始まり、課長・所長と責任者を勤めさせていただいた。その後、日本損害保険協会の交通事故相談所長を勤めた。ありがたいことであった。

    退職後は、地域社会において、自治会長・シニアクラブ会長など世の中とつながる仕事に関わってきた。ありがたいことである。

    一般社会における諸活動は、ボランテアであり、職業的なこととのつながりは全くなく、人のために役立つ仕事であった。これもありがたいことである。

    特に、社会人、職業人として人生の最盛期を果たした後に、高齢になって、いささかでも人のために役立つことができることは嬉しい。

 地域社会における諸活動で、自分のこころの中には、世のため人のためといった特別な思いや志を表立って打ち出したものではなく心の中に秘めたものであったが、結果的にそのことが世のため人のために役立つことになれば何よりである。

    地域社会で諸活動を行うには、❶健康とやる気・意欲、体力・気力、❷普通に生活できる経済的な基盤 ❸家族の健康と協力があってこなすことができるものである。この3条件が揃わないと継続して立ち向かうことができないものだ。

❶ 健康とやる気・意欲、体力・気力

 健康は毎日の生活にとって一大の財産である。健康ほど金銭に代えがたいものはないからである。70歳代で大病を患うこともあったが、なんとか乗り切った。健康にしてとやる気・意欲が生まれ、体力・気力が充実するものである。やる気・意欲及び体力・気力は相関関係にあると言えるのではなかろうか。

◎ やる気・意欲

 自衛隊を定年退官したときに、地域社会において、お役に立つことがあればその役割を果たしたいと思っていた。約30年近くの間に、その機会を幾たびか与えていただいた。ありがたいことである。こうしてやる気・意欲を今日まで持ち続けられたのは、若い時代に自衛隊で鍛えられた体力・気力から出てきたようにが感じている。

◎ 体力・気力

 活動の基盤になるものは、体力・気力ではなかろうか。歳とともに体力・気力は衰えるものである。80歳代に入ってからは、そのことを十分に自覚しながら諸活動に努めている。現役時代と違って自分の持てる力には限りがあるものだ。無理をしないことである。こうした点から一生懸命やる中である程度諦めも必要である。ボランティア活動はやるだけやれば、これで良しと自らに歯止めをかけて満足すべきではなかろうか。  

❷ 普通に生活できる経済的な基盤

 地域社会における諸活動で、普通に生活できる経済的な基盤がないとうまくいかない。今更大儲けも営業もできないから、普通に生活できる経済的な基盤はとても重要な要素ではなかろうか。自治会副会長に就いたときに、嘱託勤務も打ち止めと決心した。自治会長・副会長業務を一生懸命に果たそうとすると片手間では申し訳ないと思ったからである。

 資産など何もないが、ぜいたくをしなければ、経済的には年金生活でやりくりすることに割り切ることにした。地域における諸活動においては、多少、出費を余儀なくされる。こうした点からも普通に生活できる経済的な基盤が必要であることを強く感じる。

❸ 家族の健康と協力

 地域における諸活動は、家族の健康と協力なくして成り立たないものである。幸いにして元気な妻が支えてくれた。感謝の念でいっぱいである。家族が健康であって協力してくれるから諸活動もできるものだ。何事もそうであるが、家族の病気など後顧の憂いがあると活動に制約が生じてくる。今日に至るも地域社会においていろいろと活動ができる一番の大きな要素となっている。