元自衛官の時想( 47 )   自衛隊の日報公表と軍事秘密に関わる政治家の意識改革及び国民への理解・啓もう

    自衛隊の日報問題については、昭和の時代35年余自衛隊に勤務したOBから見た率直な所感を、次のブログで取り上げたことがある。

2018-04-09  元自衛官の時想( 46 )   自衛隊の日報問題への対応と意識の変革

2017-07-29  元自衛官の時想(18) 日報問題と防衛省・自衛隊の対応 

 その中で、特に強調したのは、「今や政争の具と化しているが、冷静になって、自衛隊の日報をどう取り扱うのか、一般的な文書ではなく、自衛隊の日報なるものは、戦闘速報・戦闘詳報であるとの認識に立ち、国家の安全保障・自衛隊の能力・装備機材・軍事情報という高い次元から日報問題に対処すべきではないかと思うがどうであろうか。

 世界のいずれの国家・軍隊においても対象国の日報・軍事情報は最も欲しい収集内容であり、絶対に明かさないのが軍事の世界の常識であるからだ。

    自衛隊における部隊活動報告の日報に盛られる情報の漏洩は、時には国家の命運、部隊の全滅、隊員の生死を左右するものであるとの認識が、昨今の政争や議論の中に全くないことを憂うるものである。

    軍事情報の取扱と処理について国民へ積極的な理解と認識を深め、国家の安全と軍事情報の関係についての意識変革が政治家はもとより国民にも求められているのではなかろうか。

    一般の行政文書とは異なるとの認識のもとに、仕分けを明確にし、情報公開すべき内容は、積極的に国民に知らせ、理解を得ることが最も大切ではなかろうか。」と述べてきた。表現の仕方、言い方は異なるが自衛隊勤務を経験した者、多少でも軍事知識のある者の常識のようなものではなかろうか。

 先の大戦を経験し、平和憲法のもといかに軍事オンチになったとはいえ、自衛隊日報の本質を外れた政争が続き、世界の軍事常識がわが国では全く通用しないのかと危惧していた。

 ところが、本日16日、防衛省は話題の日報を公表した。この自衛隊日報公開に対して、ネット上における国民の反応傾向は、自衛隊の部隊行動に関する日報開示は、軍事秘密に対する危惧の意見が多くみられることに少なからず安堵した。

 こうした中で、本朝の産経新聞に「政論 日報公開で自衛官に危機 行政文書扱い世界の非常識」との見出しで、石鍋圭氏執筆の記事が掲載された。

 ネット上で見られるごとく、多くの国民の方が軍事に関する事項の公開について危惧するなど、すでに一歩先に進んでいるのに対して、新聞等マスメディアはどのように社会を先導していこうとしているのか注目していた。

 産経を見て、自衛隊日報の本質を突いた政論が 現れて、ようやく少しでも当たり前のことが当たり前に論ぜられるようになったのかと安心した。

    今からでも遅くはない。自衛隊日報の本質に立ち返って、与野党を問わず、軍事情報・秘密の取り扱いのあるべき姿に政治が英知を傾けて解決すべきではなかろうか。これこそが政治であり、文民統制(シビリアンコントロ-ル)というものではなかろうか。 

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 《 平成30年4月16日産経新聞の切り抜き 》