自治会活動(29) まちづくりに向けての自治会の役割と期待

1    自治会役員の決定に至る人間模様

   3月は年度末が近づいた。どこの地域の自治会・町内会においても総会が開かれ新役員が決まり、新旧役員の交代が行われる。自治会の役員といっても、呼び方はいろいろだが、会長・副会長・会計・部長・班長などが一般的であろう。

    役員の役職によって、選出要領も様々である。選挙によるもの、選考委員会を設けて選考するもの、話し合いによるもの、役職が一段ずつ上がっていくもの、順番制によるもの、抽選によるものなどである。

    各人が役員へつく過程もさまざまである。全く考えていなかったのに承諾せざるを得なかったもの、ある程度予期していたもの、積極的に受諾したもの、しぶしぶ了解したもの、順番で諦めてつくことになったものなど、あげたらきりがないほど事情は異なるものである。

    自治会役員につく方の状況もさまざまである。若くしてバリバリで現役で働いている方、歳をとったが元気に働いている方、定年になったが、嘱託やアルバイトで働いている方、あるていど自由な身になった方など、おかれている立場は異なるものだ。

    また、自治会活動についての知識・経験と地域の諸問題への認識、解決へ向けての取り組みの姿勢や内に秘める抱負の度合いもさまざまである。

    こうして役員選出の仕方は様々であっても、最終的には、総会で承認・決定することになる。言うなれば、構成員の総意に基づき決定された形が出来上がる。

2    役職に就いたら一生懸命にやっている

    自治会活動を班長・部長・副会長・会長・顧問相談役・監査などを経験し、全般を振り返って見ると、たいていの方が、役職に就くまでの事情・経過は異なっても、一旦その役職に就くと、共通して一生懸命に職務を果たしておられるということである。

    それまでの自治会活動に関する考え方や言動とは違って、本当に一生懸命に役割をこなす態度に驚くことがある。実際にその役職に就いてみると、自治会活動の役割やその苦労もわかり、予想以上に積極的に進んで取り組む姿を垣間見て感動することがある。

     その背景には、自治会活動は、地域社会・集団の自主的な自治活動であるが、構成員がそれぞれの立場でその役割を果たしてくれるかどうかしっかりと見守っていることではなかろうか。活動の実態が誰の目にもはっきりと見えるということである。

一旦就任すれば、どんな事情があろうが、全力を挙げて一生懸命その役割を果たすことは間違いないであろう。 

3  自治会活動の要となる自治会長

    とりわけ、自治会の役員の中でも会長と副会長人事だけは、当然のことながら特別であり重要である。班長等は普通は順番で持ち回りでありことから、文書回覧、配布などの定例的な業務が主たるものであり、自治会組織そのものへの影響は少ないが、部長以上の役職の活動状況は、直接自治会活動に多いな影響を及ぼすことがある。

    特に、自治会活動の要となる自治会長の役割は大きなものがある。自治会長のやる気、識見力量、調整力、指導力、実行力に加えて、地域の諸問題への問題意識と在任間何をやろうとするのかによって、自治会の存在意義・役割や活動の方向、内容、程度などが決まってくるからである。自治会活動は大きく変わってくるからである。 

    自治会の一般的な恒常業務だけをこなすだけであれは、可もなく不可もなく、任期を全うできるが、積極的に地域の諸問題の解決に向けて真剣に取り組んでいくかどうかによって、自治会の存在や活動の成果が地域住民の生活に影響を及ぼすことになる。

4 まちづくりへの関心と問題意識、さらには解決に向けての取り組み

 自衛隊を定年退官して地域に住み、自治会長等を経験した立場から自治会活動に参画するにあたって期待したいことを列挙してみた。

❶ 自分の住んでいる町の問題点や改善意識

 地域に住む限り、その地域にお世話になることになる。自分の住む町の問題点や改善をした方が良いと思われる点は何だろうかと、常に問題意識をもって町内を見渡すと意外にいろいろなことが浮き彫りになるものである。

❷ 自治会活動とまちづくりについて関心を持つ

 自治会活動やまちづくりについての関心は、都市部や農村部等では大きな差が出てくるものと思われる。関心があれば、自治会活動やまちづくりについて自分なりの考えやアイディア・腹案が出てくるものである。

❸ チャンスがあれば自治会活動に積極的に参画する

 働き盛りの若い時はできないが、定年を迎えてからは自治会活動へ参画するチャンスは多く訪れるものである。チャンスがあれば積極的に参画すると新しい別の世界が開けてくるものである。職業としての仕事とは別の人生を経験することが出来るのではなかろうか。