元自衛官の時想(32) 平成29年 大晦日に思うこと 

1.  今年一年を元気に過ごせたことに感謝

 平成29年の大晦日を迎えた。何よりもこの一年間、わたくしを含めて家族が平穏無事であったことに感謝している。家族の誰かが病気で入院したり、健康を害することがあるものなのに、幸いにして平安であった。先日は、お墓の清掃に出かけ墓前に感謝の言葉を述べてきた。

 80歳以上になれば、いつお迎えが来ても慌てることはない年齢である。毎日やれることはやっておくとの信念のもとに過ごしてきた。体力・気力などからやりたいことができるのもここ数年でしかないと思っている。

 シニアクラブ、花の会などの地域社会の活動、自分のためのカラオケ、写真などの趣味を楽しむことができた。感謝・感謝・感謝である。

2.二ュ-ス・記事を眼光紙背に徹して読み取る

 平成29年の年末にあたって、メディアはこの1年間の十大ニュ-スなどを取り上げたりしているが、その順位などは、それぞれの社の立場と主義・主張が反映された結果で面白い。今後ニュ-スを見るときの参考になる。

 また、今年は、トランプ米大統領の発言からフェイク二-ス・偽の二ュ-スということばが流行った。フェイク二ュ-スといかないまでも、一方的・一面的・偏向的・情緒的・感情的と思われるものもあったので、二ュ-ス・記事はしっかりと吟味し、精査しなければならない時代でもあった。知りたいのは真実・事実であるからだ。

 わたくしは自衛隊現職時代から、新聞情報などは数紙を読み比べて、しっかりと紙背を読み取ることに努めてきた。その原点は、35年余の自衛隊勤務で、自衛隊に関するもの、軍事に関するもの、広くは世界の安全保障にかかわるもので、第一線の現場から見て全く違うもの、主義・主張から捻じ曲げたもの、的が外れたものなどを見聞して、おのずと眼光紙背に徹すことに努めてきた。他の分野のこともしかりであろう。

3.衆議院議員総選挙による国民の審判と支持

 今年は、第48回衆議院議員総選挙が、10月22日投票が行われ、自民、公明両党で定数465議席過半数(233議席)を制し大勝した。この衆議院議員総選挙は、政権選択と国家の進路を問うものであった。

 安倍晋三総理大臣は、北朝鮮危機の下で、衆議院を解散する道を選んだ。総選挙は国家防衛の基本及び安全保障の骨幹をなす憲法9条改正の必要性を訴え、議論を加速させる大きな機会であった。安倍政権は、選挙を通じて国民から支持・信任されたのであり、自信をもって国民に具体案を提示し、さらなる理解と支持を得て政治を行ってもらいたい。これが政治というものである。野党は、政権与党を上回る、国民をうならせる現実的な国家戦略を示して競い、次の機会を狙えばよい。これが民主主義国家の政治統治システムである。揚げ足取りや末節のこと、本質を避けた議論などではなく、正々堂々の論戦が求められている。

4.新しい年に期待する国家防衛等の基本問題

❶ 国家防衛等の国家の基本問題を憲法改正で正す

 北朝鮮は、7月4日と28日に米本土に届く射程1万キロ以上と推定される大陸弾道ミサイルICBM)「火星14」を発射、9月3日にはICBM搭載用の水爆とする6回目の核実験、11月29日には米本土全域を攻撃できる新型ICBM「火星1」を発射し、朝鮮労働党委員長は「国家核力戦争」を宣言した。

 こうした北朝鮮問題への対処に対して、国家・国民を守るための長距離巡航ミサイルの導入一つでも、専守防衛に反するといった批判があるほど、現行憲法のもとで平和ボケしたせいか他人事のように受け止められている面があるように思われる。

 政党・政治家の議論も観念的で方向が定まらない。新しい年は、冷徹な世界の中で、普通の国家としてどうあるべきか、どのように対処するのか、国家防衛の基本及び安全保障などの骨幹をなす基本問題について、正々堂々と国民に問いかけ憲法9条を中心とした改正を推進する年にしてもらいたい。  

❷ 国難への対処に関する信任を得た総理大臣のリ-ダ-シップ発揮

 思い起こせば、安倍晋三総理大臣は、先の衆議院解散選挙にあたって、「少子高齢化、緊迫する北朝鮮情勢、まさに“国難“とも呼ぶべき事態に、強いリーダーシップを発揮する。自らが先頭に立って国難に立ち向かっていく。これがトップである私の責任であり、総理大臣としての私の使命」と述べ、「苦しい選挙戦になろうとも、国民の皆さまと乗り越えるために、どうしても国民の声を聞かなければならない、“国難突破解散“」と訴えた。

 まさしく、総選挙は、政権選択と国家の進路を問うものであった。選挙によって審判を受けた政権は、公約を果たす義務と責任がある。国家にとって、政治指導者、とりわけ内閣総理大臣の強力なリ-ダ-シップの発揮が求められる。

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