昭和58年3月から60年7月末までの間、西部航空警戒管制団司令部人事部長として、一般幹部候補生(部内及び幹部昇任(准尉及び曹長から3尉へ)選抜試験の受験指導を団司令の意図に基づき積極的に推進した。
団司令の承認を得て、人事部長名で「一般幹部候補生(部内及び幹部昇任(准尉及び曹長から3尉へ)選抜試験の受験指導について」を直轄部隊長及び司令部部長等に業務連絡した内容の一部を紹介する。
第1項の、なぜ各級指揮官が部下隊員に選抜試験の受験指導にあたるのかとの問いと答えは、私自身が部内幹候の選抜試験に挑戦合格し、初級幹部となり、第一線部隊勤務の中で自然に固まった思いであり信念ともなったものであった。
単に人事部長という職責・立場からではなく、どこに行っても部隊と隊員にとっての意義を熱誠をもって説き、先頭に立って受験指導要綱の具現化を図った。
1. 一般幹部候補生(部内及び幹部昇任(准尉及び曹長から3尉へ)選抜試験の受験指導に関
する基本的態度
各級指揮官が部下隊員に対して 、選抜試験の助言指導にあたるゆえんのものは、
第1に、隊員個々が、自衛隊生活において、目標をもって努力し隊員生活を過ごすことは自衛官たる個人の充実につながり、関係上司が節度をもって適切に助言指導を与えることは、隊員指導の一環であると認識するところにある。
第2に、選抜試験を通じて得た勉学の成果が個人の目標成就となるばかりでなく、隊員の識能の向上、人的戦力の向上につながり、精強な部隊づくのりの一要素となるからである。
第3に、多数の受験者の中から、難関を突破して栄冠を手にするには、鉄石の決意のもと周到な準備と計画的かつ継続した学習、常に問題意識をもって職務に精励するとともに家庭を大切にし、家族全員の愛情のこもった声援の下で全力投球して初めて目標を達成することができる。
したがって、家族との絆はもとより自衛隊生活の苦しみと喜びを体験し、より幅広い人間形成に資するとともに、選抜試験に関する助言指導を通じて上下の人間関係を強固にし、相互の信頼を増進するものである。
2. 西警団における一般幹部候補生(部内及び幹部昇任(准尉及び曹長から3尉へ)選抜試験の受験指導要綱
受験指導要綱は、第6航空団における内容とほ簿同じであるので省略する。
*昭和の航空自衛隊の思い 出(311) 一般幹部候補生(部内)選抜試験等の受験指導と合格記(1)参照
3. 昭和59年当時の一般幹部候補生(部内及び幹部昇任(准尉及び曹長から3尉へ)選抜試験の概要
4. 昭和56年~59年当時の一般幹部候補生(部内及び幹部昇任(准尉及び曹長から3尉へ)選抜試験の合格状況 合格者数/1次受験者数(倍率) 西警団―西―空自
部内 56年度 1次試験 10/403―24/1001―173/7303(42倍)
2次試験 4/403―10/ 1001― 94/7303(78倍)
57年度 1次試験 10/403―16/1014―172/7477(43倍)
2次試験 7/ 403―11/1014― 94/7477(80倍)
58年度 1次試験 14/392―26/905―215/7375(34倍)
2次試験 6/ 392―10/905―114/7375(65倍)
59年度 1次試験 12/374―29/891―239/7241(30倍)
2次試験 8/ 374―13/ 891―114/7241(64倍)
3候 57年度 1次試験 7/384―21/987―169/6349(38倍)
2次試験 5/ 384― 9/ 987― 82/6349(77倍)
58年度 1次試験 18/338―38/ 902―242/5803(24倍)
2次試験 9/338―17/902―105/5803(55倍)
59年度 1次試験 15/357―37/910―224/5625(25倍)
2次試験 11/357― 23/910―112/5625(50倍)
* 3候は、昭和55年度曹長の新設に伴い受験資格の変更があった。
5. その他
❶ 体力練成と健康管理
3候選抜試験は、1次試験に合格しても、体力検定、身体検査で不合格となるものがある。部隊活動で、任務遂行の中核となる初級幹部には充実した気力と強靭な体力が必須でありことから、体力練成と健康管理は、学科に劣らず受験準備の重要な分野であることを強調した。
❷ 受験の助言指導
受験指導要綱のとおり、受験準備は、受験者の意志と主体性が基本であり、節度ある助言指導を実施することを強調した。
❸ 「幹部への道 次はきみの番だ。」
部内幹候については、58年度合格者6名及び59年度合格者8名の合格体験記を発行した。