自己実現の努力と豊かな人生への挑戦
自衛隊生活において、「自己実現(人生に目的や目標を持って、その実現の為に努力し成し遂げること。)」を図ることは、隊員個人の充実と豊かな人生を築くことに繋がるとの固い信念をもって、人事幕僚業務に従事してきた。どんな困難に直面しても、志のある隊員は、隊務にも積極的に取り組み部隊にとってなくてはならない人材となるからであった。
自衛官生活では様々なチャンスがある。士から曹への昇任試験、曹候への受験、部内幹部候補生や幹部昇任試験(3尉候補者)、各種要員の選抜試験、指揮幕僚課程選抜試験から大学通信教育などであった。世間でいうところの「出世」といったこととは次元が異なるものだった。
自分が定めた目標に向かって自己研鑽することは識見技能を高めることにつながり、「自衛隊生活をより一層豊かにしてくれる」ものであった。
自衛隊勤務においては、人事・教育・訓練などの諸制度が整っており、その気になれば機会が与えられていた。勤務をしながら自分が設定した目標に向かって努力することが出来る組織であった。組織が「人を育てる」システムを有していたということである。
3.服務だより
先の「自己実現の努力と豊かな人生への挑戦(1)において、❶ 部内幹部候補生選抜試験 ❷ 幹部昇任試験(3尉候補者) ❸ 部外幹部候補生試験 ❹ 一般空曹候補学生試験について、西部航空警戒管制団司令部における「服務だより」からその一部を紹介した。
今回は、❺ 大学通信教育への挑戦を取り上げます。
厳しい24時間の警戒監視などの任務につき、シフト勤務、訓練演習、その他の諸勤務を遂行しながら大学の通信教育などの勉学に励む隊員がいた。
当時、団内には大学夜間3名、大学通信教育17名、高校定時2名、高校通信1名、実に23名の若者が職務と勉学を両立させながら頑張っていた。
昭和59〜60年のことであった。ここに登場した皆さんはその後どのような人生を歩まれたであろうか。
❺ 大学通信教育への挑戦
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《 24時間の厳しい警戒監視の任務を遂行しながら青年隊員は自己実現を目指して頑張っていた。この紙面に綴られている通り、勤務と勉学との両立にあたっては先輩・同僚の協力があって成り立っていた。勉学隊員の実態や苦労の一端を取り上げて部隊全体の理解・協力・支援に努めた。各級指揮官は部下隊員の自己実現について掌握し、積極的な理解と協力支援・適切な指導ができる組織は精強な部隊でもあった。》