昭和の航空自衛隊の思い出(214)  航空総隊司令部勤務を命ずる

1.航空総隊司令部人事部勤務

 昭和52年8月1日付で航空総隊司令部勤務を命じられた。3佐・42歳であった。

初級幹部の要撃管制官の時代に、交差訓練で防空管制所(ADCC)を訪れた時、先任管制官席より更に上階に位置する作戦指揮室を見上げ、方面隊司令官、指揮班長等作戦幕僚の座席を見つめ将来指揮班の一員として末席を汚すことが出来たらと思ったことがあった。

 当時、部内幹候出身の自分にとっては、方面隊司令部以上の幕僚として勤務することは単なる憧れであり、到底かなわない夢のまた夢であった。

 それが時代の推移とともに開かれた人事管理によって、座る場所は異なったが航空方面隊司令部人事幕僚、更には実動部隊の最高司令部である航空総隊司令部勤務を命ぜられ人事幕僚として配置されたのである。身の引き締まる人事発令であった。

 この司令部で自分がなすべき任務は明確であり、毎日が修練と諸計画の作成及び実施に専念することとなった。 

 

2.小金井市自衛隊官舎

 昭和52年8月入居した官舎は、東京都小金井市本町の小規模の自衛隊官舎であった。最寄り駅は武蔵小金井駅で、近くに中学校、小学校、幼稚園があった。

 当時の住宅事情から当然ながら都会地の中の平屋の一戸建て官舎であったことから地積はかなり狭められていた。官舎地区への進入道路は狭く古くて狭い官舎であったことが印象に残っている。引っ越しの大型車が入れず、途中で小型車に積み替えて荷物を運びこんだことを覚えている。通勤は私有車で行った。

 生活環境は、都会地だけに駅前に大型店があり便利であった。地域の町内会・自治会といった地域活動には一転して係ることがなかった。もっぱら仕事中心の生活となった。 

 

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 《 一戸建の古びて狭い官舎であったが、2年間、毎日が充実したやり甲斐のある勤務ができこと、心身を休め家族と一緒に生活する場となった。》

 

3.府中基地

     当時、航空総隊司令部は府中基地に所在した。昭和50年6月、米軍が横田へ移転、約18年間の基地共同使用に終止符が打たれ、米空軍府中基地は日本側に全面返還されていた。

 私は、航空総隊司令部には昭和52年8月から54年7月までの2年間勤務した。着任しての第一印象は、米空軍司令部の名残か航空総隊司令部の2階廊下は重厚な赤じゅうたんが敷かれており、各部屋の扉は頑丈であった。廊下を歩くとき高級ホテルの廊下を静々と歩く感じであったことを覚えている。

 

府中基地の沿革については「府中基地ホ-ムぺ-ジ」よる。

 

 府中基地沿革   府中基地ホ-ムぺ-ジ(出典)

昭和15年 陸軍燃料廠として開設
 

昭和15年5月下旬、国産プラント建設のため、明石正水少佐以下15名の技術将校が府中に移駐したのが「陸軍燃料廠」の本格的出発の第一歩でした。同年7月31日には、正式に発足、昭和16年4月1日、長谷川基少将以下の本部機構が府中に進出し、陣容も画期的に充実しました。
昭和16年12月8日、石油の全面的禁輸等を動機に開戦となり、緒戦当初南方油田地帯の確保とともに原油還送も激減しました。
昭和19年3月1日燃料行政の重要性に鑑み「陸軍燃料本部」に改編されました。終戦までの5年間、航空燃料、潤滑油の供給確保を図りましたが技術開発の出発が遅れたこともあってその一部を果たしたのみでした。しかし、官民あげての技術開発は、戦後のわが国の重化学工業の発展に大きく貢献しました。

 

昭和20年 終戦後米軍管理

 

 昭和20年9月に米軍が進駐し、以後昭和32年8月までの12年間にわたり米軍府中基地としての時代が続きました。
(写真は、昭和35年頃の本部庁舎)

 

昭和32年 空自一部使用開始(開庁)

 

昭和32年日に航空集団司令部及び航空保安管制気象群本部が米軍府中基地の一隅に隊員約70名で編成され、航空自衛隊府中基地が併設されました。翌年の昭和33年8月、航空集団司令部が航空総隊司令部に改編、府中基地隊が新編され、昭和36年月航空保安管制気象団編成、航空保安管制気象群本部を廃止し、航空管制気象団司令部を編成。昭和42年10月府中基地隊が防空指揮群に改編されました。

 

昭和50年 米空軍府中基地全面返還

昭和50年6月、米軍が横田へ移転、約18年間の基地共同使用に終止符が打たれました。その間、昭和44年7月調査隊本部府中派遣班が、また、昭和50年7月には、調達実施本部府中調達管理事務所が開設しました。

 

航空総隊司令

     航空総隊は、航空自衛隊の戦闘機部隊、高射部隊及び警戒管制部隊などの防空戦闘部隊を一元的に指揮・統括している組織である。航空総隊司令官が指揮を執っており、防衛大臣から直接、指揮監督を受けることは今も昔も変わりがない。

 

 現在の航空総隊司令部   航空総隊司令部ホ-ムぺ-ジ(出典)

  

 
 航空自衛隊の戦闘機部隊、高射部隊、警戒管制部隊及び救難部隊などを指揮する組織です。 また、航空総隊司令官は弾道ミサイル防衛の統合任務部隊指揮官として弾道ミサイルに効果的に対応するための多層防衛を基本とした態勢をとっています。これに関連して、アメリカ軍との防空・ミサイル防衛の情報共有・連携強化を目的として、平成24年3月26日に在日米軍横田基地内に移転しました。