浜ちゃん日記  地方創生市民シンポジュウムに寄せて

1.浜松都市環境フォ-ラム 

 先日9月12日、地方創生市民シンポジュウムの一環として、私のふるさと鳥取県出身石破茂大臣の特別講演「地方から創生する我が国の未来」を拝聴する機会を得るとともに「浜松型次世代交通システムと観光産業振興による地方創生」について、概要を理解することができた。

 多分、石破大臣の講演がなければこのシンポジュウムに出席する機会はなかったのではないだろうか。まちづくりに関する浜松市の諸計画等については、人一倍関心を持っている方であったが「浜松都市環境フォ-ラム」の研究検討案を聞いたのは初めてだった。

 今回、こうしたことから過去の活動成果や新聞報道など調べてみて、実際は新聞等で記事を読んだことはあるがそのまま素通りしていたことを知った。また、浜松都市環境フォ-ラム代表の内田宏康氏が若い時代からまちづくに取組み、10数年前からいろいろと研究成果を発表したり、提言され、組織として 市へ要望するなどの活動をされてきたことを知り敬意を表するものである。

 石破大臣の特別講演の言葉の如く、「まちづくりを市民一人ひとりが考える」ことは大事なことである。その点からシンポジュウムに参加した所見を記しておく。

2.どのように策案を実現するか

❶ 市民案なる浜松創生の事業中間報告

 今回のシンポジュウムは浜松創生に関し市民案なるものの中間報告がなされた。7つの事業が提示された。初めてみた内容であったが、長年にわたり真摯に調査研究討議された結果であり、各事業案とも非常に興味を引く内容であると感じた。また、協議会などの活動についても敬意を表するものである。

 中間報告なるものを聞いて感じたことは、下表の如く浜松市案と市民案の項目が並列で列記されていたが、両者の間にどのような相関関係があるのか理解が困難であった。

 浜松市案に市民案なるものをどのように取り入れ結びつけていくのかが全く見えかなったからである。単なる一組織の事業計画とは異なり、「浜松市の創生」という大事業いう立場からすると、市民から選ばれた浜松市長と市議会の積極的な共鳴と全面的な賛同を得られない限り単なる紙の上の事業計画案に終わってしまうことを危惧した。

 どのように浜松市の計画案に取り入れてもらうか、その辺の説明と筋道がなかったので、今後の大きな課題であるように感じた。

f:id:y_hamada:20150914212753j:plain

❷ LRTは地方創生の切り札となるか

 パネルディスカッションで最も注目したのは、宇都宮市副市長荒川辰男氏の説明であった。宇都宮市がLRTを導入するに至った経緯の中でどのように調査研究し事業化するに至ったのか、建設省からの有能な出向者を受け入れてその推進役として進めることができたのか、それらの説明はなかったが、多分かなり早い段階から市役所内で調査研究が行われ、事業化にこぎつけたものと推察する。

 この点、パネルディスカッションてはどのように浜松創生の切り札にするのかといった「事業の実現に向けた進め方」が焦点とならなかったのは残念であった。今後の課題は、事業推進の主体者となる浜松市においてどれだけ策案を取り入れられるのか全市的な見地からどのように浜松市案の中に取り入れて事業化できるかどうかが大きな要素になるであろう。

 何よりも本事業についての浜松市長の積極的な賛同を得られるかどうかが大きなカギとなろう。これが政治・市政というものである。何故ならばこれだけの事業となると浜松市全体に及ぶ内容であり、単に「浜松都市環境フォ-ラム」「浜松北地区交通システム推進協議会」だけではインパクトが弱く、早い段階から全市的な協議会の結成なくしてはなかなか前に進まないのではなかろうかと感じた。 

f:id:y_hamada:20150914214247j:plain

3.小さな自治会活動から見た地方創生への所見

 私はかって約1,200人の地域の自治会副会長をした折、神原町誕生50周年を迎えるにわたって、2年くらいかけて「わが町づくり」について調査研究をしたことがある。こうしたことから自治会長に就任した折、いち早く自治会総会で「まちづくり委員会」を設置し、町民の約1割にあたる人・歴代の自治会・各種団体の役員等に委員を委嘱した。

 委員会は、全町民対象のアンケ-ト調査の実施と分析検討の上、全体会議で町民の求める要望とまちづくりの姿をまとめ検討の方向を決めてから、主要項目について担当部会、専門部会に分かれのて、1年かけて研究討議して主要項目の計画を策定した。

 最後に、これらを集約してまとめ、「神原町まちづくり構想」として自治会総会で決議し、実現に向けて努力した結果90%程度を達成することができた。これらのことは2014/01/04~2/2までの自治会活動(1)~(12)「神原町まちづくり構想」として当ブログに記したことがある。

 小さな町の自治会の「神原町まちづくり構想」とはいえ、これらを策定し実行できたものは何かと考えると、その根源は「自治会の総会において議決されたもの」であること、全町民で構成される自治会の総会で選出され、信任された「自治会長の職務と権限」で実行できたのである。どんな事柄でもそこに共通するものは、トップリ-ダ-の情熱と決断力・企画力・調整力・実行力が不可欠ではなかろうか。

 浜松市は政令都市である。将来にわたって発展していくために地方創生市民シンポジュウムで論ぜられたような事業が進められるとするならば、事業を実現する鍵は市民から選ばれた市長と市議会の積極的な賛同がまず先決ではなかろうか。市政にどのように取り入れて事業化し実現するかが焦点となろう。どんな良い案であっても事業として実現できなければ夢で終わってしまうからだ。

 今後の市民シンポジュウムに浜松市を代表する市長・副市長等が参加したこの種のものが設けられるよう期待してやまない。